サッカーの試合で一番盛り上がるのは、なんといっても得点シーンだ。
なかなか得点が入らないスポーツなだけに、何度もゴールネットを揺らす光景を見られたときの喜びは大きいし、お気に入りの選手がハットトリックを決めたりすれば感激もひとしおだ。
知っている人も多いだろうが、ハットトリックとは同じ選手が1試合に3得点を挙げることである。
しかし…よく考えてみると、なんでハットトリックというんだ? 忍者ハットリくんみたいにすごいからとか…? いやいや…ハットトリックの由来はそのまま、帽子(ハット)のトリックなのだ!
今回はそんなハットトリックの雑学をお届けしよう!
【スポーツ雑学】サッカーのハットトリックの意味と由来とは?
【雑学解説】ハットトリックの意味と由来はクリケットから!
サッカーで使われるハットトリックの語源について、日本サッカー協会は以下のように説明している。
「語源は諸説ありますが、イギリス発祥のクリケットに由来しているといわれています。
クリケットは野球の元になったスポーツで、投手(ボーラー)は(中略)3人の打者を連続でアウトにするのは、野球以上に難しいといわれています。この偉業を成し遂げた選手には高級な帽子が贈られ、大変な名誉なこととされました。
これがサッカーでも使われるようになり、1試合で3得点した場合をハットトリックというようになりました。」
まさかまったく別のスポーツの用語だったとは!
とはいえ、サッカーもイギリス発祥のスポーツなので、同じイギリス発祥のクリケットから用語をもってきたのは自然なのかもしれない。イギリスではサッカー以上にクリケットがポピュラーだということもわかる。
サッカー以外にもハットトリックはある
クリケットからハットトリックという用語を拝借したのは、実はサッカーだけじゃない。
たとえば…
- アイスホッケー…1試合に同じ選手が3得点を挙げる
- ラグビー…1試合に同じ選手が3回トライする
- ダーツ…1ラウンドで投げる3本の矢がすべてブル(的の中央)に刺さる
- F1…ポールポジション(スタート位地の先頭)・ファステストラップ(そのレースにおけるコース一周の最高記録)・優勝のすべてを獲得
みたいな場合も、ハットトリックという言葉が使われる。なるほど、イメージが浸透しているから、それだけ「すごい!」というニュアンスも伝わりやすいしね!
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【追加雑学①】サッカーのハットトリックはどのくらい難しい?
サッカーにおけるハットトリックも、単に「すごい!」ということは理解していても、具体的にどれぐらいすごいことかは、あまりピンとこない人が多いのではないか。
これはプロサッカー1試合での両チーム合計得点の平均を踏まえるとわかりやすい。
2010~2017年3月にかけて行われたJ1の試合2178戦に対し、決まった得点は合計5895点である。これを試合数で割ると…
5895÷2178=2.7066…
となり、1試合で両チーム合わせて平均2.7点の得点が挙げられていることがわかる。つまり1チームが1試合に挙げられる得点は平均1.35点…。
要するにサッカーのハットトリックは、1人でチームの倍以上の働きをしてしまうぐらいのプレーなのだ。
サッカーのハットトリックにまつわる記録
サッカーでハットトリックが達成されることは、学生やアマチュアの試合ならともかく、プロの世界ではそうあることではない。
そんなプロサッカーの世界で、ハットトリックにまつわる記録を多くもつのが、元日本代表選手のゴンこと中山雅史選手(現アスルクラロ沼津)だ。
1998年のこと、ジュビロ磐田に所属していた中山選手は、J1リーグ公式戦で、4試合連続ハットトリックを達成。これは当時の世界記録で、ギネスブックにも掲載された。えげつない。
また、中山選手は2000年のアジアカップ予選・ブルネイ代表戦において、開始わずか3分15秒でハットトリックを達成する偉業も成し遂げている。
なんかいろいろおかしい。
実況アナウンサーも「すごい」としか言いようのない状況…。これぞ伝説である。
この記録は国際試合における最短ハットトリックとなり、こちらもギネスブックに掲載されている。
なお、中山選手の連続ハットトリックの記録は、2016年にクロアチアのステファン・ルチヤニッチによって破られた(5試合連続)。
しかし、同記録はクロアチアの地域リーグのものであり、"国内トップリーグで"という意味では、未だにゴン中山の記録は破られていないといっていい。
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【追加雑学②】プロサッカーの試合でダブルハットトリック!【動画】
同じ選手が1試合で6点取ることをダブルハットトリックという。
プロ同士の真剣勝負ではさすがにありえない…といいたいところだが、実は近年、プロの試合でもダブルハットトリックが達成された。しかも日本国内の試合で!
史上稀に見るダブルハットトリックが達成されたのは、2005年のJ1・J2入れ替え戦第2戦・当時J1の柏レイソル対J2のヴァンフォーレ甲府においてだ。
この試合で甲府のFW・バレーが6点を叩き込み見事J1昇格へと導いたのである!
私もこの試合をテレビ観戦していたが、電光掲示板に並ぶ「バレー」の文字は圧巻の一言だった。
大事な試合で、敵にダブルハットトリックを達成された柏レイソルサポーターにとっては、バレーの名前がいまだにトラウマになっているとかいないとか…。
【追加雑学③】クリケットのハットトリックは難しい?
"野球の元になったスポーツ"と聞いて、「クリケットで3連続アウトを取るのってそんなに難しいの…?」と疑問に思った人もいるかもしれない。
だって野球なら1人の投手が3人連続アウトを取るのは、そこまで難しいことではないじゃないか。「三者凡退!」なんて実況もよく聞くし。なんなら3球でスリーアウトを取ってしまう場合もある。
1試合で何個帽子もらうんだよ…という話である。
クリケットではバッターの後ろに「ウィケット」と呼ばれる3本の柱が立てられており、投手がこれにボールを当てて倒せばアウトになる。
想像しにくいという人は以下の動画で確認してほしい。
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これはなかなか倒せそうにないな…。このほかにも…
- バッターが打ったボールを守備の人がノーバウンドで取る
- バッターがウィケットに到達するより早く、守備の返球がウィケットを倒す
などが代表的なアウトの条件である。これにプラスして以下のようなルールがあるため、アウトを取るのがまた難しくなるのだ。
- 投手は6球ごとに交代
- バッターは何度空振りしてもOK
- ファールがないので、ボールがどこに転がっても打者は走れる
- 何なら打者は打っても走らなくていい(走らなければアウトにならない)
うわ…アウト取れる気しないぞこれ…。こういったルールもあって、クリケットではアウトをひとつ取るだけで、サッカーの得点シーン以上に観客が盛り上がるのだ!
クリケットでハットトリックを取ることは、まさに偉業以外の何者でもない。
クリケットの試合時間はとても長い
このようにクリケットではアウトを取るのが難しいのに加え、1イニングは基本的に10アウト制。なので試合時間がと~っても長い。
アウト以外にも「300球投げたら攻守交替」などとされているルールもあるが、国際大会などで採用されている「テストマッチ制」ではこの投球数も無制限だ。そのため1試合にかかる時間がなんと4~5日間!
月曜日から始めたら普通に週末までスケジュールが潰れてしまうではないか…。
試合中は2時間に1回ティータイムが用意されており、敵味方、審判含めてお茶を頂くという。なんとも優雅なスポーツなんだろうか。
もはやスポーツの粋を超えた社交界。さすがイギリス紳士だ。
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ハットトリックの雑学まとめ
今回はハットトリックの由来から、それにまつわるさまざまな雑学をお届けした!
クリケットから始まり、サッカーだけでなく、さまざまなスポーツで使われるようになっていったハットトリック。その使い方は「3得点を挙げる」という意味に留まらず、あらゆる偉業に当てはめられる万能な言葉である。
「これができたらハットトリック!」というような、自分だけのハットトリックを考えるのも楽しいかもしれないぞ!
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