ひと昔前までは生活必需品だった風呂敷。個人的には、ふとした瞬間にさりげなく風呂敷を使える人ってすごく上品だと憧れてしまう。
最近では式典のときに大人の嗜みとして使用している人も多い風呂敷だが、なぜ風呂敷と呼ぶのだろうか? 風呂と風呂敷、全く別物でないか!
実に気になる…。そんなわけで、今回は風呂敷に関する雑学を紹介していこう。
【生活雑学】風呂敷の「風呂」はどういう意味?
【雑学解説】風呂敷は昔、お風呂場で使われていた!?
驚くことなかれ、なんと風呂敷は江戸時代、お風呂場で使われていたのだ! 日本人が大好きなお風呂(銭湯)自体は室町時代から流行り、江戸時代では現代のような湯舟の中にお湯をはったものになった。
今では湯舟の中にタオルを巻いて入浴するのはNGとされているが、当時は男性は風呂ふんどし・女性は風呂用下着を着用して入るのが一般的だった。で、どこで風呂敷が登場するかというとずばり、入浴後だ。
そう、風呂敷は足ふきマットのごとく風呂上りに床に敷いて休むために使われていたのだ。たしかに風呂上りは少し休みたくなる。うん、休みたくなる気持ちが分かるぞ。
そのまま風呂上りに敷く布→風呂敷になったといわれている。なんて分かりやすいネーミングなんだ!
ちなみにこの風呂敷、お風呂のときだけでも次のように実に何役もこなすまさにお風呂の必需品だった。
- 入浴時に身につけていたふんどしや下着を包んで持ち帰る
- 脱衣かご代わりに脱いだ衣類を包んでおく
- 蒸し風呂の床に敷く
- 濡れた足を拭く
なんて優秀なんだろう! しかし、皆同じ風呂敷だと見分けがつかない。そこで他人の風呂敷と区別するために、風呂敷に家紋や屋号が染められるようになったのもこの江戸時代からだといわれている。
う~ん、風呂敷…。なんて奥が深いんだ! 実に興味深いではないか。
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【追加雑学①】奈良時代には「平包(ひらつつみ)」と呼ばれていた風呂敷
風呂敷という名前は江戸時代からだが、風呂敷自体はそれよりも前、奈良時代から存在していた。当時は風呂敷ではなく、なんと「平包(ひらつつみ)」と呼ばれていたのだ。
ちなみに、この平包という呼び方。現代でも風呂敷の包み方の1つとして残っている。ちょっとした雑学として、覚えておこう。
そして平安時代では実際に、この平包に自分の衣類を包んでなぜか頭に載せて運んでいたというのだ。なぜ平包と呼ばれていたのかは定かではないが、個人的には平たく包んだほうが頭に乗せやすく、それが名前の由来になったのではないかと想像している。
しかし、頭に載せて荷物を運ぶ…。世界のどこかで今でも行っている運搬方法をご先祖様も行っていたということだ。風呂敷め…、ますます興味深いじゃないか!
【追加雑学②】風呂敷は明治時代に一躍人気になる
お風呂上りに敷かれていた風呂敷が、現在のように物を運ぶためとして一躍大人気になったのが明治時代だ。ここで歴史を思い出してほしい。明治時代といえば鎖国の終わり。この鎖国が終わったことで海外の技術が日本に流れ込み、そのおかげで風呂敷も大量生産できるようになったというわけだ。
一躍大人気になった風呂敷は、このあと昭和40年頃まで不動の人気を築くこととなる。そして、ついに風呂敷の最大のライバル・手提げ袋やバッグが登場してくる。風呂敷の天下も幕を閉じ、世代交代していった。
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【追加雑学③】実は今!風呂敷がブームになっている!?
実は今、若者を中心に『和装ブーム』が巻き起こっており、風呂敷にもスポットライトが当たってきているのだ。でも風呂敷って年寄りくさいんじゃない? と思ったあなた! 最近の風呂敷をまず見てほしい。
どうだろう。この豊富な種類の風呂敷。実に素晴らしいじゃないか!
インパクトも抜群で普段使いにもピッタリだ。周りと差をつけたい! という人にはまさに理想のアイテムといえるだろう。
2月23日は風呂敷の日
2月23日=223=つつみ、この語呂合わせが元となり、2000年に日本風呂敷連合会が『風呂敷の日』を制定したのをご存じだろうか?
これは、昔はバッグ界のトップアイドルとして君臨していた風呂敷に、なんとかもう一度スポットライトを当てたい!という涙ぐましいPRが目的なのだ。
この風呂敷の日が成功したのかどうかは不明だが、日本人に下火の風呂敷は外国人観光客には大人気だ。なんでもこの、日本伝統のデザインがお気に入りらしい。確かに海外にはないもんな。日本人も外国人目線で風呂敷を見てみると、新しい発見があるかもしれない。
雑学まとめ
風呂敷の雑学についてご紹介してきたが、いかがだったであろうか。トップアイドルの座をつかみ取り、後輩に負け、今再び人気の盛り返しを狙っている風呂敷。この努力を知った今であれば、もう風呂敷のことをバカにはできないだろう。
この雑学をきっかけに、風呂敷でオリジナルのマイバッグを作ってみるのも良いかもしれない。きっと周りから「なんてオシャレな人だろう」と、注目の的になること間違いなしだ。