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きっかけはヘビ!蚊取り線香がうずまきの形をしているのはなぜ?【金鳥】

雑学カンパニー編集部

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蚊取り線香がうずまき型なのは、長時間燃焼させるための秘策だったという雑学

厄介な蚊をやっつけてくれる蚊取り線香。そういえば蚊取り線香って昔からずっとうずまき型だが、もともと最初からあの形だったんだろうか? なんでまたうずまき型なんかにしたのだろう?

そういえば、最近巷ではアロマの蚊取り線香なるものも出回っているというではないか。ふ~ん…アロマねぇ…。逆に香りに虫が寄ってきそうだけど、殺虫効果はちゃんとあるのだろうか…。

まぁアロマはいいとして(いいんかい!)、蚊取り線香がうずまき型になった理由を調べてみたところ、思わぬものがそのきっかけになっていた。今回はそんな蚊取り線香の雑学をご紹介しよう。

【生活雑学】蚊取り線香がうずまき型なのは、長時間燃焼させるための秘策だった

孫ちゃん
蚊取り線香ってうずまき型のイメージがあるんだけど、最初からそうだったのかな。
おばあちゃん
最初は棒状だったらしいけど、あまりにも燃焼時間が短くてうずまき型になったって話だねぇ。うずまき型になったきっかけは、なんとヘビだったらしいよ。
孫ちゃん
えぇ~っ!?ヘビ!?

【雑学解説】創業者の妻の一言からうずまき型が生まれた!

創業者の妻の一言からうずまき型が生まれた!というトリビア

蚊取り線香をはじめて作ったのは、金鳥という商標で有名な大日本除虫菊株式会社。創業者である上山英一郎氏が、アメリカ人から除虫菊の種をもらったことからはじまる。乾燥させた除虫菊の花を粉末状にし、最初はそれをノミ取り粉として販売した。

すると上山氏、「これを燃やせば殺虫効果があるんじゃないか?」とひらめく。そして線香に練りこむことに成功。こうして1890年に、日本ではじめての蚊取り線香が誕生した。

おばあちゃん
何かを作り出して成功する人ってのは、こういうひらめきがすごいねぇ。

さて、最初は棒状だった蚊取り線香だが、これがぐるぐるのうずまき型になったのは、上山氏の妻・ゆきさんのひとことによる。燃焼時間をのばすためのアイデアをいろいろ考えていた上山氏とゆきさん。

ただ長さをのばすだけでは折れやすくなってしまう…。そんなとき、庭にとぐろを巻いたヘビがドドーン!

孫ちゃん
「ドドーン!」…じゃないよっ!ヘビの存在感すごいよ!

そこで、ゆきさんがひとこと。「あっ! これよ!」

ヘビの姿を見て、ぐるぐる巻きの形を思いついたんだとか。ヘビを見て驚いたとか腰抜かしたとかではなく、蚊取り線香のヒントにしちゃったってすごい。

最初の蚊取り線香は細い棒状のものだった

妻・ゆきさんのひとことからうずまき型がうまれたわけだが、そもそも最初の蚊取り線香は細長いまっすぐな棒状だった。蚊取り線香というよりも、まさに線香といった感じ。

20cmほどの棒が40分程度で燃え尽きてしまう。また、1本だと煙の量が少ないので、数本同時に使わないと効果が得られないという、少々使いにくいものだったのだ。

うずまき型は実際どれくらい長持ちする?

ではうずまき型になって、いったいどれくらい燃焼時間がのびたのか。

うどんくらいの太さの蚊取り線香だが、燃焼時間は10cmで約1時間とのこと。初代のうずまき型蚊取り線香は60cmなので約6時間、現在は75cmなので約7時間半の燃焼時間となっている。

棒状のときの40分と比べると、格段に燃焼時間がアップ!

「おやすみなさい」から「おはよう」まで、ちょうどいい時間だ。

孫ちゃん
あ、ほんとだ。ちょうど睡眠時間くらいなんだね。
おばあちゃん
うずまき型にするだけで、こんなにも燃焼時間が違うんだねぇ。

【追加雑学①】2本を同時に巻く「ダブルコイル」製法で生産作業を効率化

2本を同時に巻く「ダブルコイル」製法で生産作業を効率化についてのトリビア

妻のゆきさんがうずまき型をひらめいたものの、そこから商品化されるまでにはかなりの試行錯誤が…。最初はうどんのようなひも状のものを1本ずつ手で巻いていた。しかし、あまりに効率が悪い。悪すぎる。

想像してみてほしい。蚊取り線香のうずまきがくっついていたら当然燃えない。

ということは、1巻きずつ作る場合は、うずまきがくっつかないように隙間も作りながら巻いていかなきゃならない。しかも手巻き。軽くめまいを起こすくらい効率が悪い。

孫ちゃん
そうか~。最初は人の手で巻いてたんだもんね。これは大変。

そこでたどりついたのが「ダブルコイル製法」。お、なんだかちょっとかっこいい。

これは、ひも状にした長さ60cmの蚊取り線香を2本重ね、ぐるぐると巻くという方法。使うときに2本巻きを1つに分けて…という現在の形と同じだ。2本巻きの蚊取り線香が重なって、1つにまとまっている。

おばあちゃん
これはほんとよく考えたと思うよ。うずまきの隙間にもう1巻き分がぴったりはまってるから、かさばらないしねぇ。

ダブルコイルで作った場合のメリットだが、2本巻きがぴったり重なって隙間がないため強度があがり、折れにくくなる。また、1巻き分と同じ大きさで2本巻かれているので、たくさんの量を輸送できる。

こうして効率的な生産方法が確立し、ついに1902年、うずまき型の蚊取り線香が発売されたのである。

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【追加雑学②】蚊取り線香は数あれど、左巻きは金鳥だけ

蚊取り線香は数あれど、左巻きは金鳥だけというトリビア

定番の蚊取り線香からアロマ蚊取り線香といった香りつきのものまで、現在たくさんの種類の蚊取り線香が販売されている。100均でもアロマ蚊取り線香が売られているとか。知らなかった。

実は巻かれている方向にも特徴があり、中心から外側に向かって反時計回りの左巻きは金鳥の蚊取り線香だけ。金鳥以外の蚊取り線香はすべて、中心から時計回りに巻かれている右巻きだそうだ。

金鳥の蚊取り線香も、手巻きで製造していた頃は右巻きだったらしいが、1957年頃の機械化の際に他社との差別化をはかって左巻きにしたという。会社名を見なくても、うずまきの方向を見れば、金鳥のものかそうでないかはわかるってことだ。

【追加雑学③】蚊取り線香が蚊を殺せる仕組み

もともと蚊取り線香の殺虫成分は、除虫菊に含まれるピレトリンという天然のものだった。ただ天然のものは生産量が抑えられてしまうため、現在は、ピレトリンに似た成分を化学的に作ったピレスロイドが使われている。

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蚊取り線香に火をつけると、当然煙が発生する。この煙に殺虫効果があるんじゃないかと思う人がいるかもしれないが、それは間違い。殺虫成分であるピレスロイドは、燃えている部分ではなくその手前側の高温になった部分から揮発して、周りに拡散しているのだ。

孫ちゃん
え、そうなの!?煙が蚊を殺すんだと思ってた!
おばあちゃん
これは結構勘違いしてる人も多いんじゃないかねぇ。

揮発して広がったピレスロイドが蚊の体内に入り、神経を麻痺させることで蚊は死んでしまう。こう聞くと、人間やペットなどの動物は大丈夫? と心配になるが、人間などの恒温動物にはピレスロイドを分解する酵素があるので、すぐに排出されて体に害はない。

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だが1つ注意点。蚊取り線香は蚊をやっつけるものだから、当然夏に使う。

小さい子供、特に男の子がいる人にはわかるだろうが、夏はカブトムシの季節でもある。蚊取り線香はカブトムシにも殺虫効果を発揮してしまうので、もし家でカブトムシを育てているなら注意が必要だ。

孫ちゃん
これ大事!お父さんお母さんたち、うっかり蚊取り線香を使うと子供が泣いちゃうよ~。

実際に蚊取り線香の効果を動画で確認してみよう。蚊ではないが、大量発生したなんだかよくわからん小虫に蚊取り線香は効くのか!?

すごいな蚊取り線香! 効果バツグンじゃないか! というか、なぜこんなに小虫が大量発生しているんだ…。それが謎だ。

この動画見てると体中がかゆくなる…。

孫ちゃん
う…。ぞわぞわする…。そして子供がすごいテンション上がってる…。「すげ~!すげ~!」って。
おばあちゃん
ほんとに効果バツグンだねぇ。…でもなんだか…おばあちゃんも体がムズムズしてきたよ…。

雑学まとめ

改めて蚊取り線香にまつわる雑学を調べてみると、いろんな試行錯誤を経て今の形ができあがったのがよくわかる。

でも…。ヘビかぁ…。いや、すごいよゆきさん。

普通庭にヘビが出てきたら、もっとテンパるでしょ。しかし、そこでゆきさんがテンパらなかったから、うずまき型の蚊取り線香ができたってわけだ。

孫ちゃん
ヘビでこれだもん。虫なんてもう全然平気なんだろうね…。

そして知ることができてよかったのが、「カブトムシも死んじゃう」ってこと。これは子供をもつ親にとってはかなり重要事項かと。蚊取り線香に含まれる殺虫成分が、基本的に昆虫全般に効果があるようなので、カブトムシに限らず昆虫を飼っている人は気を付けてほしい。

孫ちゃん
カブトムシだったりクワガタだったり、夏は男の子の好きな昆虫がいっぱいだからね~。でも蚊が出るのも夏なんだよね~…。
おばあちゃん
ちなみに蚊取り線香は、台所で発生しやすいコバエにも効果があるみたいだよ。

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