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いろは歌の意味とは?縦読みで作者の"暗号"が明らかになる…!

雑学カンパニー編集部

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いろは歌には作者からの暗号メッセージがあるという雑学

選択問題で、「答えを次の(い)(ろ)(は)から選びなさい。」という表記の問題があっても特に何も考えず答えるだろう。

これは、昔からある「いろは歌」に基づいている。そう、ご存知いろはにほへと…の順番で。「あいうえお」の五十音順が確定するまではこのいろは順がポピュラーであった。

じつは、現在ではあまり使われなくなっているこの「いろは歌」に秘密が隠されていた…!? 今回は試験に出ることはない、いろは歌の雑学をご紹介しよう。

【面白い雑学】いろは歌の意味とは?暗号がある…?

秀吉くん
いろは歌には暗号が隠されてたんっすか?!いったいどんな…?
信長さん
複数の読み方があるが…いろは歌を縦読みすると『罪無くして(無実の罪で)自分は死ぬ』と読めるのだ。
秀吉くん
無実の罪で死ぬ…?!めっちゃ怖!!

【雑学解説】いろは歌の意味と漢字

隠された作者の思いについてのトリビア

いろは歌は、音の異なる清音(濁点や半濁点をつけない仮名)47文字を一度も重複させることなく使用して、さらに詩として意味をもたせたとてもよくできた歌である。七五調でかかれた韻文で、仮名を稽古するときの手本として広く用いられていた。

秀吉くん
僕、いろは歌の響き好きっすよ。きれいっすよね。

作者は不明で10世紀末から11世紀半ばまでの間に成立したものだ。その歌に込められた思い、解釈は諸説あるが、まず全文を記すとしよう。

いろは歌 全文

いろはにほへと ちりぬるを

わかよたれそ つねならむ

うゐのおくやま けふこえて

あさきゆめみし ゑひもせす

いまのところ、この仮名の並びに意味があるなんてまったくさっぱりなんのこっちゃなので、もう少し詳しく紐解いていく。

仏教の教えを説く歌

一般的にいわれているのは、仏教の教えである涅槃経(ねはんきょう)にある「諸行無常・是生滅法・生滅滅已・寂滅為楽(しょぎょうむじょう・ぜしょうめっぽう・しょうめつめつい・じゃくめついらく)」の教えを和訳した、仏教の教えを説く歌だというもの。

信長さん
まずは漢字版からみていくぞ。
いろは歌 漢字版

色は匂へど 散りぬるを

我が世誰ぞ 常ならむ

有為の奥山 今日越えて

浅き夢見じ 酔ひもせず

いろは歌を訳すると…。

香りよく咲いた花もたちまち散り(諸行無常)

人が生まれやがて死ぬのは世の自然の流れ(是生滅法)

苦しみの山々を今日超えて目覚める(生滅滅已)

もう浅はかな夢もなく迷いがない(寂滅為楽)

実はこの訳も様々な解釈があり、確定した説明は現時点では存在しないが、仏教的な無常を歌った歌と解釈とされている。

こういったことから「いろは歌」は弘法大師・空海が作ったものだと言い伝えられてきたが、様々な研究から空海説は間違い説が多く見受けられるようになった。

秀吉くん
いろは歌が仏教の教えを説いているとすると、仮名の稽古にはうってつけの歌な気もするっすね~。

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いろは歌に隠された暗号とは?

さて、いよいよ気になっている暗号説である。

現存する最古の「いろは歌」は承暦3年(1079年)の奥書のある「金光明最勝王経音義(こんこうみょうさいしょうおうきょうおんぎ)」という書物の巻頭に記されている。そこでは七五調の区切りではなく、7文字ずつ区切られているのである。

いろはにほへと

ちりぬるをわか

よたれそつねな

らむうゐのおく

やまけふこえて

あさきゆめみし

ゑひもせす

ここに暗号が隠されているとは見当がつかないが、読み方に鍵がある。これを縦に読んで、各行の最後の文字だけをひろって読む「とかなくてしす」つまり「咎なくて死す」となる。「罪無くして(無実の罪で)自分は死ぬ」という意味となり、それを歌に込めて伝えたといわれているのである。

秀吉くん
出たぁ~!縦読み!!

さらに5文字目だけを拾って読むと「ほをつのこめ(本を津の小女)」となり、まとめると「私は無実の罪で殺される。この本を津の妻へ届けてくれ」と解釈され、なんとも悲しいメッセージとなる。

この7文字ずつのいろは歌の解読をさらに進め、縦・横・斜め・ジグザグ読みなど、もうすっかりクロスワードパズルじゃんと言いたくなるような様々な方法で暗号を読み解いていくと、「かきものもと」「ひとまろ」も隠されている。

そこから作者は柿本人麻呂である説を主張する人もいるが、真相は謎に包まれている。

無実の罪で殺されてしまうというとんでもない状況で、重なることなく仮名47文字だけで歌を作りあげている。そして、さらにそこに秘めたる思いを織り込むという、凡人がとうていできるわけがない技をやってのけるのはかなりの天才か新聞のラテ欄専門の人だろう。

作者の執念が込められた秘密の暗号は、伝えたい人に届いたのだろうか…?

信長さん
どれもあくまで仮説にすぎない…。今後の研究に期待したいところだな。

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【追加雑学】五十音・あいうえお順はどこからきた?

五十音あいうえお順はどこからきた?というトリビア

現代では、前述したいろは順ではなく「あいうえお」順が使用されている。

五十音の特徴として、子音が同じものは縦に、母音が同じものは横に並べられている。なぜこの並びになったのか? それには2つの要素が合わさっているとされている。

サンスクリット語(梵字)に由来

まず1つ目は、サンスクリット語(梵字)に由来するもの。

信長さん
サンスクリット語とは、古代インドで使われていた言語だ。

厳密にいうともちろん日本語の発音とは違っているが、日本語の母音と子音に対応しているものをみていくと、母音は「あいうえお」順、子音は「あかさたな」順に並んでいる。

サンスクリット音韻を学んだ明覚(めいかく・平安時代後期の天台宗の僧)が、あいうえお五十音表を著書で記してることもあって、サンスクリット語に由来することは信憑性があると考えられている。

反切(はんせつ)

そして2つ目の要素として、反切(はんせつ)があげられる。かつて中国では漢字の発音を示すために、2つの漢字を組み合わせて1つの漢字の発音を表現する「反切」という方法を使っていた。

たとえば「三」の音を表現するときは「思甘切」と表して、子音「思(s)」と母音「甘(am)」を合わせて「三(sam)」 というもの。

それを日本語の仮名にも応用して「サ(sa)」行の「ウ(u)」段は「ス(su)」という順番が出来上がった。これは「あかさたな」順の並びではなかったが、要素の1つとして考えられる。

サンスクリット語の配列と中国の発音表記方法を組み合わせ、日本風に調整して五十音順の基本形ができあがり、微調整を繰り返されながら現在にいたるのである。

秀吉くん
今の日本語は、こんなふうに時代を経て、少しずつ作られていったんっすね~!

「いろは歌」の雑学まとめ

"いろは歌"に隠されたダイイングメッセージ、知ってる…?【暗号】についての雑学まとめ

今回はいろは歌にまつわる雑学をご紹介した。

いろは歌を読み解くことによって、縦読みに隠されたメッセージは昔から存在したことがわかった。しかし、作者不詳ではっきりとした解釈はされておらず隠された暗号はまだまだあるかも…。

昔懐かしのお風呂屋さんの靴箱の前で、湯冷めしない程度に暗号の謎解きするのも乙かもしれない。

秀吉くん
いろな歌にはいろんな説があることは分かったっすけど…縦読み説は怖すぎなんで、僕は仏教の教え説を支持したいっすわ。
信長さん
まぁそうだな…。ちょっとゾッとする話ではあるよな…。

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