美食の国・イタリア。そんな国を代表する麺料理といえば、パスタであろう。
しかし、実はイタリアにも「そば」があるのだ。そして、それは日本のものとは全く異なる料理なのである…! 今回はそんなイタリアのそばについての雑学をご紹介だ!
【世界雑学】イタリアの"そば"を和風にアレンジして食べてみたレポート
【雑学解説】イタリアのそば・pizzoccheri(ピッツォッケリ)
ピッツォッケリ…最初その聞きなれない名を聞いたとき、筆者は「ピッツァの一種?」と思った。しかし、これはそば粉でできたパスタの一種である。
このそばは、筆者が暮らしているミラノがあるロンバルディア州の最北端にある、ヴァルテッリーナ地方の郷土料理だ。
スイスにほど近いこの地方は冬が厳しく、また土地がやせているため小麦が育ちにくい。そのため代わりにそばが作られてきた。そんなことから、この地方では、そばを使用したこのピッツォッケリが誕生したのである。
一般的なピッツォッケリは、そば粉:小麦粉=8:2と、日本の二八そばと似た配合で作られるが、見た目は違う。きしめんのように平たく伸ばした麺は、7cm程度に短く切られている。「細く長く」の年越しそばには使えない。
しかし、個人的には、「太く短い」人生も悪くないと思う。
ピッツォッケリのレシピ
ミラノ人の知人によると、ピッツォッケリは主に冬に食べられる料理らしい。
筆者はイタリア人家族のお宅にホームステイ中だが、ホストマザーが冬のある日、この料理をごちそうしてくれた。しかし、その調理過程を見て、思わず震えあがってしまった。
ピッツォッケリには、ちりめんキャベツ(サボイキャベツ)・ジャガイモが具材として使われる。そして、それらをまとめるソースは、バターとチーズである。
しかし、彼女が使っていたバターの量が恐ろしい。1箱200gをフライパンにドボン。これで4人分のソースを作る。
バターが溶けたところにニンニクひとかけを入れ、香りを引き出す。そこに、小さく切ったチーズ250gを溶かし入れ、塩で味を調えれば、ソースの準備完了。
ピッツォッケリ400gに加えて、小さく切ったちりめんキャベツ200gとジャガイモ250gを一緒にゆでる。ゆであがったらソースに投入。盛り付けた後、さらにすりおろしたチーズを加える。
ホストマザーが笑顔でお皿に盛ってくれたピッツォッケリは、バターの海の中で泳いでいた。とてもおいしいが、毎日は食べられない料理である。これが冬の料理というのも、納得である。
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【追加雑学】レポート!イタリアのそばを和風に食す
これを書いていると、なんだか胃もたれがしてきた。なにか日本のさっぱりとしたそばが食べたい…。
しかし、ミラノの中華街にあるアジアンマーケットで日本のそばを買うと高い。…あれ、もしかして、ピッツォッケリを出汁で食べれば和風そば気分味わえるんじゃね? と思い、今回はこのパスタを和風に調理してみることにした。
ピッツォッケリとは下の画像のパッケージにあるように、真っ白いソースがかかった料理である。
ゆでる前の麺はこんな状態だ。
ゆで時間は10分。今回は冷たいそばの気分だったので、ゆであがったら冷水でしめた。ちょっと気合い入れて温泉卵を作ったら、割り入れるのに失敗した…。インスタ映えとは程遠い、わびしい料理である。
いざ、実食。
…しまった。微妙にアルデンテだ。冷たいそばにする場合、あと1分くらい長くゆでておくべきだった。しかも、なんだこれ…後味に、妙にざらざらとした食感が残るぞ…。
ここで、改めて麺を確認してみる。日本のそばより、そば粉の粒子が大きいようだ。1本1本をよく見てみると、こんにゃくみたいな外観をしている。
味はほんのりそばのような気がする。しかし、オリジナルレシピで食べたときには気が付かなかったが、この大きい粒子のそば粉がさっぱりとした出汁に合わさると、すっごく邪魔。
なんかのどがイガイガする。ピッツォッケリは現地のレシピで食べるのが正解な気がする。
もしかすると、長めにゆでるとこの食感もなくなるのかもしれないが、そもそも麺が短すぎて箸で食べにくいし、あえてまた作ろうとは思わない。今度帰国した時に、日本のそばをたくさん購入しておこう。
雑学まとめ
イタリアには、「ピッツォッケリ」と呼ばれるそば粉を使用した麺料理がある。現地ではたっぷりのバターとチーズで食べられるこの麺料理、和風で食べるとあまりおいしくなかった。
その地で食べられているものは、その地の調理方法に従うのが一番良いということを、今回の雑学記事で学んだ。
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