皆さんは、何かを行う前にゲン担ぎを行うことはあるだろうか。そもそも「ゲンを担ぐ」ってどういうこと? …という方もいるかもしれない。
ゲンを担ぐというのは、いわゆる「ルーティン」とか「ジンクス」のようなものだ。たとえば、野球のイチロー選手がバッターボックスに立ったとき、バットを立てて袖をクイッとやること。また、ラグビーの五郎丸選手がやって有名になったポーズなど。
縁起を気にして、成功を願う行動をすること。つまり、自分のテンションを上げる「おまじない」みたいなものだ。
…で、「ゲン」って何? ギロッポンとなんか関係あるの? そう思った方も多いのではないだろうか。今回の雑学では「ゲン」の言葉の由来をご紹介しよう。
【生活雑学】「ゲンを担ぐ」の「ゲン」の語源は?
【雑学解説】「ゲンを担ぐ」の「ゲン」はどうやって生まれた?
「ゲンを担ぐ」とは、「ある物事を行う際、以前に良い結果が出た行為をもう一度行うことで、再度良い結果が出ることを祈念すること」。
といってもわかりづらいのでたとえると、「この前の試験は点数がとても良かった。そういえば、その日は朝ごはんにカレーを食べていた。明日の試験でも高得点が取れるように、明日の朝ごはんはカレーにしよう!」
…と、ここで朝ごはんにカレーを食べるのが「ゲンを担ぐ」ということだ。
他には、「ソシャゲのガチャは10連ではなく単発で引くようにしている」というのも立派なゲン担ぎではないだろうか。…ちなみにこのゲン担ぎを実行しているのは私だ。
「ゲンを担ぐ」という言葉は、自分にとって縁起のいい行動を取ることを指す言葉で、もともとは「縁起を担ぐ」といわれていた。
「ゲンを担ぐ」は逆さ言葉が由来
「ギロッポン」と聞いてピンとこない人もいるかと思う。「ザギンでシース―」という言葉はわかるだろうか。
「ギロッポン」は「六本木」で、「ザギンでシース―」は「銀座で寿司(を食べること)」。これらはどちらも逆さ言葉と呼ばれる、言葉遊びの一種だ。
先ほど、「ゲンを担ぐ」はもともと「縁起(エンギ)を担ぐ」と呼ばれていたと述べた。「エンギ」を逆さ言葉でいうと「ギエン」。さらに「ギエン」が短縮されてできたのが「ゲン」。
「ゲン」という言葉は、「ギロッポン」のように逆さ言葉から生み出された言葉だっだのだ!
「ゲン」は漢字で書くと「験」
「ゲン」には「験」という漢字があてられている。「験」には「祈祷の効き目」「修行を積んだしるし」という意味がある。
もともと「ゲン」は「縁起」を逆さにいっただけの言葉だったのに、「験」という「縁起」とは別の言葉として成り立っているのがおもしろい。
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【追加雑学①】逆さ言葉と業界用語
逆さ言葉は江戸時代に流行った言葉遊び。
それが、戦後になるとキャバレーなどで演奏するジャズバンドのバンドマンの間で隠語として使われるようになった。これは「ズージャ語」(「ジャズ」を逆さにしてズージャ)と呼ばれている。
隠語を作るときに逆さ言葉にする方法は、昔から使われている手法だそう。
この逆さ言葉は、1980年代頃からテレビで芸人がネタとして使うようになり、一般人にも「業界用語」として知られていったのだ。
いろんな業界用語
ここからは、いくつか業界用語をご紹介しよう。
「ネタ」
上記でも出てきた「ネタ」のという言葉。
実はこれは、「飯の種」の「タネ」を逆さにしたもの。飯の種とは、「生計を立てるための手段」という意味だ。お金を稼ぐための商品のことを「タネ」、逆さ言葉で「ネタ」といった。
芸人なら芸、寿司屋ならシャリの上に乗っている魚など。その人の商売にとって欠かせないものが「ネタ」なのである。
「ネタ」という言葉が浸透しすぎて、語源とかまったく考えたことはなかった!
「デカ」
「あぶない刑事」…これは「あぶないけいじ」ではなく、「あぶないデカ」と読む。そう、デカとは刑事のことだ。
明治初期の刑事は洋服ではなく和服を着ていた。上着に「角袖(カクソデ)」というものを羽織っていた刑事が多かったため、刑事のことを「角袖巡査」とか単に「角袖」と呼んでいたそうだ。
「カクソデ」をもじって「クソデカ」。「クソ」は相手を侮蔑する言葉なので省略して「デカ」というようになった。
「グレる」
「グレる」というのは、「不良になる」「非行に走る」「悪の道に入る」ということ。
「グレ」に活用語尾をつけて動詞化したもので、「グレ」は「グレハマ」からきている。「グレハマ」は「蛤(ハマグリ)」を逆さにしたもの。
蛤は通常二枚の貝殻がぴったりと合わさっているのだが、貝殻を逆にするとまったく合わなくなる。そのことから、「ハマグリ」を逆にした「グリハマ(転じてグレハマ)」は「物事が食い違うこと」を表すようになった。
「グレる」という言葉自体は知っているが、なぜ「グレる」というかまでは知らなかった人も多かったのではないか。…私も知らなかった。まさか、「グレる」のもとが蛤だったとは誰も思うまい。
【追加雑学②】効果があってほしい!ゲン担ぎをご紹介
金運アップのゲン担ぎを紹介している動画を見つけたのでご紹介しよう。
ゲン担ぎというかおまじないのようなものだが、これはぜひ効果が現れてほしい! さっそく1億円札と100万円札を折り始めよう。
「ゲンを担ぐ」の雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。「ゲンを担ぐ」はよく耳にする言葉だが、「験」という言葉は「縁起」を逆さにいった「ギエン」がもとになっていたとは知らなかった…!
他にも私たちが普段何気なく使っている言葉の中に、「もともとは違う言葉だったけど、今は逆さにした言葉が正しい使い方として定着してしまった」という言葉はたくさんあると思う。
また、正しい言葉ではないが「パイセン(先輩)」や「リームー(無理)」のように逆さにして笑いをとるのは、今もよく行われている。
逆さ言葉は江戸時代に流行った言葉遊びだが、それが現代でも使われているのがゴイスー。しかし多用すると何を言ってるかわからなくなるので、使う時はほどほどに!
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