驚いたときや、恐怖を感じたときの表現はいろいろある。そんななかでよく見るのは、「口から心臓が飛び出そう」とか「腰が抜けた」という表現ではないだろうか。
しかし、いくら驚いたからといってそう簡単に心臓に飛び出られては困る。出たら死んでしまう。つまり、「心臓が飛び出る」というのは慣用句として使われているのである。
一方、「腰が抜ける」はどうだろう。心臓が飛び出るほどトリッキーな感じはしない。腰の骨がどうにかなって抜けてしまうことも、なくはなさそうである。
そこで、「腰が抜ける」というのはどのような状態を指すのか調べてみたので、雑学として紹介しよう!
【人体雑学】「腰が抜ける」というのはどういう状態?
【雑学解説】「腰が抜ける」は慣用句
結論からいうと、「腰が抜ける」は慣用句である。慣用句とは「2語以上の言葉が結びついて、違う意味を持つもの」をいう。この場合は「腰」と「抜ける」の2語が合わさることで、「驚き」や「恐怖」を伝えることができる。そのため、「腰が抜ける」は慣用句といえるのだ。
大きな驚きや恐怖を感じると、全身の力が抜けてしまい立っていられなくなることがある。また、頼りにしていたものを失ったことで、立つ気力が出ないと感じるときもある。このような状態が、精神的に「腰が抜ける」状態といえる。
精神的な理由で立てなくなる? と思うが、これは感情の高ぶりによって交感神経が働くためである。交感神経が働くと脈拍が早まると同時に、血管が収縮する。血管が収縮すると血行が悪くなり、筋肉が固くなる。結果、筋肉をうまく動かせなくなるため立つことが難しくなるのだ。
ちなみに、身体的に「腰が抜ける」場合もある。重い物を持ち上げたときに、腰の骨がずれることで立ち上がれなくなったり、同じ姿勢や動作を継続することで、腰に力が入らなくなったりするのが身体的に「腰が抜ける」状態といえる。
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【追加雑学】ぎっくり腰は欧米で「魔女の一撃」と呼ばれることがある
腰の病気といえばぎっくり腰だろう。幸いまだなったことがないが、経験者に聞くと猛烈に痛いらしい。動いていないのに変な汗が止まらなくなった、とも。
そんな恐ろしいぎっくり腰、欧米では魔女のしわざだと思われていたらしい。そのため、ドイツではぎっくり腰のことを「Hexenschuss(ヘクセンシュス)」、「魔女の一撃」というそうだ。ぎっくり腰もうまいネーミングだと思うが、ドイツ語版もなかなかしゃれている。
そして、それがもとになった英語でも「Witch’s shot(ウィッチズショット)」と言われるようになった。医学的には、椎間板ヘルニアを意味する「Slipped disk(スリップトディスク)」と呼ばれることもあるようだ。
ぎっくり腰は腰の捻挫ともいわれ、じん帯や筋肉の断裂、椎骨(ついこつ)の関節や椎間板などが傷つく、などの理由で神経が刺激されることが原因としてあげられる。
もし、ぎっくり腰になってしまったら、安静にすることが大切である。どのようなポーズでもいいので、自分が楽と感じる姿勢をとるようにしよう。ゆっくりと深呼吸を続けるうちに、痛みがやわらぐ場合もあるようだ。
痛みがひどい場合には無理に通院せず自宅で安静にし、痛みがおさまってから病院へ行くほうがいいだろう。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。腰という漢字は、「にくづき」に「要(かなめ)」と書く。扇子の骨をたばねて留める部分を「要(かなめ)」というように、「要(かなめ)」には「最も重要なもの」という意味がある。
腰は身体の中心にあり、立つにも座るにも重要な役割を担っている。二足歩行をするようになった人類の身体において、腰は最も重要といっても過言ではないだろう。
死体の第一発見者が驚きのあまり腰を抜かす、犯人にナイフを向けられて逃げようとするも腰を抜かすなど、サスペンスなドラマでよく見る「腰が抜ける」現象。現実世界でお目にかかることはあまりなさそうだ。
しかし、心底驚いたり恐怖したりする機会があれば、本当に腰が抜ける場合もあることがわかった。できればそんなシーンに遭遇したくはないが、「腰が抜ける」を体感できるかもしれないと思うと少し期待してしまうのだった。
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