今、昆虫食が熱い! 昆虫は栄養価も高く、人類の新食材として注目されている。
全然おいしそうには見えないが、実際に商品化されている昆虫も今や少なくない。で…今回紹介するのは、そんな昆虫のなかでもっともおいしいといわれているアイツだ!
そう、"カミキリムシの幼虫"である。
…カミキリムシの幼虫って、なんかカブトムシと同じ感じの、キモイやつじゃなかったか…? 実際、けっこうキモイのだが、これがマジでうまいらしいのだ。
今回はそんなカミキリムシの幼虫に関する雑学である。
【食べ物雑学】昆虫で一番おいしいのはカミキリムシの幼虫らしい
【雑学解説】カミキリムシの幼虫はマグロのトロに近い味
カミキリムシは細長い胴体に長い触覚、発達したアゴが特徴の昆虫で、世界に2万種類ほど生息している。日本に生息するものだけでも800種に上り、特に模様に関しては種類によって大きく異なるため、ひとくちに「こんな模様」みたいなことはいえない。
代表的なゴマダラカミキリでいえば、黒地に白のまだら模様。私も小学校のころたまたま見つけて飼っていたことがある。以下の動画で紹介されているコイツだ。
うん、やっぱり強靭なアゴが立派で強そうなのがいいんだよね。ちょっと間違えばゴキ○リと変わらないのに、この違いはなんだろう…。
さて、今回の主役はそんなカミキリムシの幼虫だ。カミキリムシはカブトムシなどと同じく、完全変態の昆虫で、幼虫は見たまんまイモムシである。
薪を割っていたスタッフがカミキリムシの幼虫を見つけました。じつは食べられるムシのひとつで、焼き上げるとバターのような風味がするのだそう。
こんにちは。とっても美味しそうですね。 pic.twitter.com/9W9Hx9NFJX
— 北杜市オオムラサキセンター (@oomurasaki_cntr) January 7, 2020
見た目はちょっとアレだけど、コイツを食べてみると虫のなかでは特に絶品の部類だという。なんでもマグロのトロのような濃厚で甘みのある味わいだとかなんとか…。ファーブル昆虫記のファーブルさんも、生前絶賛していたらしい。
まあ、どんなに誉めそやそうと、食べたいなんて思わないけどな!
カミキリムシの幼虫はバター醤油焼きで食べるのが一番!
カミキリムシの幼虫はバター醤油焼きで食べるのが一番おいしいらしい。手順は以下の通り。
メモ
- 軽く下茹でする
- 網、もしくはフライパンのうえにアルミホイルを敷き、そのうえでバターと一緒に炒める
- こんがりしてきたら醤油を垂らして味付けして、もうひと炒め
うん! とっても簡単!
以下の動画で手順通りの調理が行われている。誰が食べても「これは美味い!」と絶賛するほどの味だというが…やっぱりちょっと見た目が生々しすぎる。
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…と、そんなカミキリムシの幼虫。実はけっこう入手困難な食材だったりもする。そして…果樹園の人たちにとってはかなりの害虫だという噂も…。
【追加雑学①】カミキリムシの幼虫は入手困難な食材
カミキリムシは生涯草食の昆虫で、成虫は花や葉っぱ、木の皮や樹液など、それこそいろんなものを食べて暮らしている。一方、幼虫となればまだ飛ぶこともままならない。
そんな彼らが大人になるまで、ちゃんと成長していけるよう、お母さんカミキリは樹木に穴を空け、木のなかに卵を産み付けるのだ。
そのときにまるで銃弾に撃たれたかのような穴が空くため、カミキリムシの幼虫には「鉄砲虫」という別名がある。なんかカッコイイ…。
そう、カミキリムシの幼虫を見つけるにはまず木をほじくり返さなければならず、そのため、なかなかの貴重食材となっているのだ。ネットなどでもまず売ってないので、今のところ自力で探すしかないしね。
で…コイツらが大人になるまで、産み付けられた木をかじりまくって生きていくのだが、この生態に実は、果樹園の人たちが悩まされている。
果樹園の木を食い荒らす害虫
カミキリムシが卵を産み付けると、その木は幼虫によって食い荒らされるため、元気がなくなり、ゆくゆくは枯れる運命にあるのだ。
しかもカミキリムシにとって一度卵を産み付けた木は、もう穴が空いている状態で産み付けやすいらしく、何度も同じ木が標的にされる。そのぶん、枯れていくのも早まるというわけだ。果樹園を営む人たちにとっては天敵でしかない。
ちなみに日本では以下のような果物の木がカミキリムシたちに狙われる。こんなにおいしい果物の木を丸々食べて育つんだから、そりゃあ、おいしいはずだよな。
- 柑橘類
- 栗
- いちじく
- リンゴ
- ナシ
- ブドウ
果物以外にも、カミキリムシが卵を産み付ける木はほんとに多岐に渡っている。
- 柳
- 桑
- クヌギ
- スギ
- ヒノキ
- 桜
- バラ科の樹木
マジでなんの木にでもいるな!
こんな木には幼虫がいる可能性大!
木に穴が空いていて、その周りにオガクズのようなものが付着していたら、それはカミキリムシの幼虫の糞である可能性が高い。お宝食材ゲットのチャンスだ!
こういった木は穴の付近がもろくなっている場合も多く、ナイフやドライバーで崩していけば、幼虫を発見できることもあるだろう。また針金などを突っ込んで引きずり出す方法もある。
以下の動画のような状態の木に、棲みついていることが多いぞ!
しかし…当然、まだ生きている木に許可なくこんなことをしてはいけない。探すなら倒木や朽ち木、さらにその土地の人に許可を貰ってから幼虫を掘り起こすようにしよう。
まだ立っている木でも、元気がなくて持ち主が諦めているようなら伐採の許可も下りるかも…? まあ、どちらにしても素人が手を出すようなことではないか。
やはり、なかなか気軽に手に入るような食材ではないようだ…。というかみんな、ここまでして食べたいのか?
カミキリムシ被害に困っている場合
もし木を食いつぶされて困っているという人がいれば、針金でほじくり出すか、幼虫が巣立つのを待ってパテで穴を埋めてしまおう。そうすれば、成虫が再び卵を産む確率を下げられる。ちなみに成虫となって巣立つのはだいたい5~6月。6~翌4月ぐらいまで、幼虫は木のなかで暮らしているぞ。
【追加雑学②】今、注目を受けている昆虫食!
カミキリムシの幼虫に限らず、昆虫食は近年になってかなり注目されている。
その背景には、地球の人口増加と食糧危機がある。世界人口は増加の一途を辿り、2019年には77億人にも達した。これは1998年から数えて約17億人も増えている計算になる。
地球上の資源は限られており、これだけの勢いで人が増えれば、食料危機は免れられない。特にタンパク質は植物から摂ることが難しく、肉を食べることがままならない人たちのタンパク質不足が危惧されているのだ。
そこで、昆虫食の出番である。そう、今までみんなが気持ち悪がって食べていなかった昆虫は、タンパク質の宝庫なのだ!
野生動物たちはそれを熟知していて、クマなどの雑食動物はもちろん、リスなんかもタンパク質を補うために昆虫を好んで食べている。リスがバリバリと昆虫を食べている姿はあまり想像したくないが…。
食料危機が迫った今、私たち人間も昆虫を利用しない手はないのではないか! しかも昆虫が食べられていなかった理由のほとんどはその見た目で、食べてみるとどの虫も驚くほど美味いのだ。
日本でも長野や群馬などでイナゴや蜂の子などが、長きに渡って伝統食として親しまれている。
Hikakinさんも動画でレビューしているが…あれ、意外なほど美味いはずじゃ…?
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見た目が残っていない昆虫食ならいける?
昆虫食はどうやら、味よりイメージが先行しておいしく感じないらしい。うむ、やはり虫を食べるのに抵抗があるのはほとんど見た目の問題。ということは…それこそ見た目が残っていなければ大丈夫なんじゃないか!
そう、虫の形が残っていない昆虫食も世のなかには出回っていて、以下の動画ではコオロギをすり潰した粉を20%配合したパスタが紹介されている。
…なんかおいしくなさそうにしていたのが気になるが、言われなければコオロギとは気づかない様子。味付け次第では普通においしいんじゃないか!?(味付けがよけりゃだいたいのものは美味いけどね…)
なんといっても、昆虫パワーの計り知れなさを感じさせるのは、コオロギ4匹で牛乳一杯分のカルシウムが摂れるという部分。しかもコオロギはその身体の70%がタンパク質ときた。これはマジで地球を救う日が来るかもしれないぞ!
コオロギパスタは昆虫食を専門に商品開発を行っている会社TAKEOにて販売されていたが、現在は販売終了となっている模様。今後どんな商品が登場するかに期待しよう。
雑学まとめ
今回は虫のなかでもっともおいしいとされる、カミキリムシの幼虫に関する雑学をお届けした。
ちょっぴりキモくて、害虫な彼らだけど…、味はマグロのトロを思わせる濃厚さ! さらに入手困難な貴重食材ときた! こうなれば、一度食べてみたいような、そうでもないような…。
いや、私はまだ心の準備ができていない。普通にマグロを食べることにするぞ!