1966年に登場し、長きに渡ってお茶の間を湧かせてきた特撮ヒーロー「ウルトラマン」。現在までシリーズの続く、言わずと知れた超ロングヒット作品である。
現代のシリーズでは語られることが減ったかもしれないが、ウルトラマンの故郷は「M78星雲」。銀河系から300万光年も離れた場所に位置するとされている。
光が届くのに300年かかる場所から来るなんて、物理的に無理だろ…。まあ、フィクションだし。などと思っていたが、なんとこのM78星雲、実在する星だというぞ! ウルトラマンの住む星はいったいどんな星なのか。今回はその全貌に迫っていこう!
【面白い雑学】ウルトラの星「M78星雲」は実在する
【雑学解説】ウルトラの星「M78星雲」を見てみよう【動画】
オリオン座のなかにあるM78星雲は、塵や密度の濃いガスの集まりが、恒星の光を反射することで見える「反射星雲」と呼ばれるもの。
オリオン座といえば、砂時計のような形でおなじみだろう。M78星雲はその砂時計の中央に並ぶ3つの星の、北東にモヤモヤと広がっている。
以下の動画でその位置や姿を確認することができるぞ。ガスに光が反射するとこんな風に見えるのか…実に幻想的である。
「M78」という名前は、この星雲のことが記録されている天体カタログ『メシエカタログ』の通し番号から付けられた。このカタログは18世紀フランスの天文学者シャルル・メシエが作ったもので、記録されている天体は「メシエ天体」と呼ばれているのだ。
天体にはそれぞれメシエの頭文字「M」を取って、「M1・M2…」と順番に名前が付けられている。カタログは110番目まであり、あのアンドロメダ星雲も「M31」として記録されているぞ!
ウルトラマンの故郷が実在していて、地球の天体カタログに載っているのはロマンのある話だが…それなら、ウルトラマンは塵やガスの集まりのなかで暮らしているということか? 我々が見ているのは反射した光であって…「光の国」とはまったくその通りなのである。
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【追加雑学①】M78星雲はM87星雲だった!?
なんでもウルトラマンの原案が考えられた際、その故郷は本来「M87星雲」とされていたようだ。しかし脚本を印刷するときに「M78」と誤植され、それがそのまま定着してしまったという裏話がある。
ちなみに「M87」はおとめ座にある天体だ。ウルトラマンはとても乙女のイメージとはいえないので、M78になったのも結果オーライかもしれない…。
【追加雑学②】「光の国」の姉妹都市が存在する!
M78星雲のなかにあるウルトラの星、通称「光の国」には、なんと姉妹都市が存在する。お! 今度はどの天体だ? となるところだが、光の国の姉妹都市、「光の町」は、日本にあるのだ!
その場所はウルトラマンの生みの親、円谷英二氏の故郷、福島県須賀川市である。須賀川市には円谷氏ゆかりの地があるのはもちろん、ウルトラマンや怪獣たちのモニュメントがあるほか、ウルトラマン関連のイベントも行われる。
つまりウルトラマンの第二の故郷として、観光スポットに名乗りをあげているのだ。なるほど、たしかに生みの親の故郷なのだから、ウルトラマンの故郷といって間違いではない。
以下は須賀川市のプロモーション動画だ。案内役のピグモンが可愛すぎる…! ウルトラマンファンなら一度は訪れてみたい場所である。
「M78星雲」の雑学まとめ
架空の星だとばかり思っていたM78星雲は実在する星だった。望遠鏡などでも見ることができるので、冬に輝くオリオン座を見つけたら、M78も探してみてはどうだろう。あそこからウルトラマンが見守ってくれている…と思いながら見れば、一層ワクワクするに違いない!
しかしながら実際に星の存在を知ると、ウルトラマンもよくそんなに遠くから地球のことを気にかけてくれているものだな、と感心させられる。遠くからご苦労様ですと、お茶のひとつでも出したい気分だ。