地球の表面積の7割を占める「海」。
海の平均の深さは3,730mと言われ、海全体のおよそ95%が深海である。
近代ではレーダーやソナーの精度や、潜水艇に使われているテクノロジーも飛躍的に進化しているが、それでも探索がすんでいるのは海全体の5%未満と言われている。
まだまだ未知の部分が多い海。
では、海の一番深い場所はどこなのだろう? また、そこはどれくらいの深さで、どんな世界が広がっているのだろうか? 今回は、そんな海にまつわる雑学をご紹介する!
【世界雑学】世界一深い海「マリアナ海溝」とはどんな場所?
【雑学解説】マリアナ海溝の場所や深さは?
多くの人が学校の授業でも習ったと思う。海の一番深い場所は「マリアナ海溝」だ。テレビのドキュメンタリー番組でもしばしば聞く名前だろう。
マリアナ海溝は太平洋の北西に位置し、身近な例で言うとグアムの近くだ。もっとざっくり言うと、日本とオーストラリアのちょうど中間地点あたりにある。
最新の調査では深度10,911mと計測され、その深さは世界最標高の「エベレスト山(標高8,848m)」がすっぽり入ってしまうほどである。
マリアナ海溝はどんな場所なのか?
マリアナ海溝は想像を絶する過酷な環境である。
まずは明るさ。一般的に水深70mくらいで、太陽の光は地上の0.1%程度になり、300m程度で一切届かなくなると言われている。つまり、水深10,000mを超えているマリアナ海溝は、当然漆黒の世界だ。
太陽光が届かないので、水深が深くなるほど海水は冷たくなっていき、最終的にその温度は水が凍る温度の少し手前、1.5℃ほどになる。
次に水圧。水中では10m深くなるごとに1気圧上昇するので、10,000m地点では1,000気圧もの力がかかる。
これは1平方cm(指の爪ほどの大きさ)当たりに1トンの重さがかかるのと同様で、とても普通の生物が生きていける環境ではない。
スポンサーリンク
マリアナ海溝に棲む生物とは?
このようにマリアナ海溝は非常に過酷な環境だが、なんと一部の生物はそこを棲家にしているのである。
たとえば、2014年に深度約8,000m地点で発見された、クサウオの一種だ。
魚類としては最も深い場所に棲む生物で、専門家たちは、これ以上深いところで魚類が見つかる可能性は低いとしている。深度8,200mを超えると、水圧によってタンパク質が安定しなくなり、科学的に魚類は耐えられない可能性があるためである。
しかし、単細胞生物や微生物はもっと深い場所でも多数確認されており、水深6,000mの泥よりも10,000mの泥のほうが、酸素の消費量が高いといった調査結果もある。
これは、水深10,000mの所に未知の生態系が広がっている可能性があるという意味だ。なんともロマンのある話ではないだろうか。
おすすめ記事
-
すごい進化。深海魚が水圧に耐えられる理由とは?
続きを見る
マリアナ海溝に棲む生物を動画で見てみる?
では、実際にどんな生物がマリアナ海溝に棲んでいるのか。
「マリアナ海溝に棲む驚くべき生物トップ10」という動画があるのでご覧いただきたい。
インパクトのある見た目をしている魚ばかり。さすがマリアナ海溝に棲んでいるだけある。
スポンサーリンク
マリアナ海溝の深さ8,178mで魚類の撮影に成功
2017年、日本の国立研究開発法人海洋研究開発機構は、マリアナ海溝の世界最深部での魚類の撮影に成功した!
しかも4Kカメラで。映像が美しすぎて、パッと見では深海だと思えない。
生息深度限界とされる8,200mに限りなく近づいた記録であり、今後の調査にも期待が高まる。
【追加雑学】人類のマリアナ海溝最深部への到達はわずか4人
マリアナ海溝の最深部は「チャレンジャー海淵(かいえん)」とも呼ばれる。
有人潜水艇でチャレンジャー海淵への到達に成功したのは、これまでにたった3回であり、人数にしてわずか4人だ。
初めて最深部に到達したのは、1960年にスイスが設計し、イタリアで製造された潜水艇「トリエステ号」である。
トリエステ号に乗り込んだ2名が海底に到着後、過ごした時間はわずか20分で、すぐに浮上した。これは、潜水艇の外壁窓に亀裂が発生したからだ。
トリエステ号は、その後3時間以上かけて浮上したが、逃げ場のない海底で窓に亀裂が走ったら…。想像するだけで何ともゾッとする話である。
スポンサーリンク
次に海底への到達に成功したのは、なんと「タイタニック」や「ターミネーター」を製作した映画監督「ジェームス・キャメロン」である。
おすすめ記事
-
単独で成功!ジェームス・キャメロン監督は深海"マリアナ海溝"に到達したことがある
続きを見る
実はジェームス・キャメロン監督は探検家でもあり、2012年に「ディープシーチャレンジャー号」に単独で乗り込み、人類史上2度目となる(単独では初)有人潜水艇での最深部到達に成功した。
この動画がその様子で、日本でも大々的にニュースとなった。
史上4人目のマリアナ海溝最深部への到達
史上4人目(3度目)のマリアナ海溝最深部への到達を果たしたのは、アメリカ人のヴィクター・ヴェスコヴォ。
彼は2019年にマリアナ海溝の底への到達に成功すると同時に、これまでの3人の記録を抜き、潜水での世界新記録も達成している(水深1万1000メートル近くまでの潜水に成功)。スゴすぎる探検家だ。
しかし、ヴィクター・ヴェスコヴォの調査チームは、マリアナ海溝の底でプラスチックごみを発見。世界的にごみ問題が悪化しているが、マリアナ海溝の底にまで及んでいるとは…。
マリアナ海溝の深さ|雑学まとめ
今回は、地球上で一番深い場所「マリアナ海溝」についての雑学をご紹介した。その深度は、なんと10,911mに至る。
深海は非常に過酷な環境であり、近年になって新生物が発見されるなど、まだまだ未知の部分が多い領域である。
人類は過去3度マリアナ海溝の最深部に到達しているが、人数にするとわずか4人。
これは世界最高峰の「エベレスト山」の登頂者数はおろか、月面を歩いた人数よりも少ない。「マリアナ海溝」がいかに過酷で難易度の高い領域か、おわかりいただけたのではないだろうか。