可愛らしいサイズで、とっても使い勝手のいい野菜・ミニトマト。お弁当のワンポイントにするにはもってこいの具材だ! トマトと違って、切らずにそのまま使える手軽さはやはりポイントが高い。
そう、今回はこのミニトマトに関する雑学なのだが、本題に入る前にあなたに問いたい。
小さいトマトのこと、ミニトマトって呼んでる? それともプチトマトって呼んでる?
いや…どっちも小さいトマトって意味だし、違いなんてないでしょ。…と、思った人も多いだろう。実はそんなこともないんだな…これが…。
【食べ物雑学】ミニトマトとプチトマトとの違いとは?
【雑学解説】プチトマトはミニトマトの一種!
ミニトマトとプチトマトには、明確な違いがある。この違いについて、TBSの情報番組「この差って何ですか?」2018年6月19日放送分にて、信州大学農学部の稲熊隆博教授が解説してくれていた。
稲熊教授によると、ミニトマトは10~20g・2~3cmほどの小さなトマトの総称。そしてプチトマトは、ミニトマトの品種名のひとつである。
つまり小さいトマトはすべてミニトマトと呼べるが、プチトマトと呼べるものは固有の品種だけ。しかも今は販売終了している品種なので、プチトマトはもう日本の市場には出回っていない。
あなたは別の品種を間違って"プチトマト"と呼んでいたかもしれないぞ!
プチトマトは日本に"ミニトマトブーム"をもたらした品種
プチトマトは1975年頃、タキイ種苗が販売開始した品種で、このころに一世を風靡したメガヒット商品である。
当時、ほかにも小さなトマトはあったのだが、大きいトマトが一般的だったため、あまり注目されるものでもなかった。
しかし高度経済成長期を経て、マンションなどの集合住宅に住む人が急増した時代柄、タキイ種苗は「ベランダでも場所を取らずに育てられる、小さいトマトの種を大々的に売り出せばウケるはず!」と、目を付けた。
このとき売り出された品種に"プチトマト"という名前が付けられたのだ!
このプチトマトの登場によって小さいトマトの地位は一気に向上し、あらゆるメーカーが後追いで販売を行うようになった。
実はミニトマトという総称は、このようなブームが巻き起こってから根付いたもので、初出は1985年頃、プチトマトの販売開始より10年ほどあとのことなのである。
そう、プチトマトはミニトマトブームの火付け役であり、ミニトマトという呼び名が生まれるきっかけを作ったトマトでもあるのだ!
今でもミニトマトをプチトマトと呼ぶ人がいるのは、当時革命を起こしたこの品種がインパクト抜群だったためだろう。丁度、サランラップが特定の商品名だと知らない人が多いのと同じような感じだ。
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ちなみに前述したとおり、プチトマトの販売は2007年に終了しており、今はもう市場に出回っていない。今は品種改良が進み、もっと糖度の高いミニトマトがたくさん出ているため、需要がなくなってしまったのである。
"プチトマト改"とかいって復活しないだろうか…。
【追加雑学①】ミニトマトが日本で栽培されるようになったのは機内食がきっかけ
日本でミニトマトが作られるようになったきっかけは、アメリカやヨーロッパの航空会社で振る舞われていた機内食からという話もある。
真っ赤なトマトは色どりが良く、見た目に華を添える意味でも、欧米諸国の機内食では重宝される野菜だった。
しかし機内食は作り置きが基本のため、大玉のトマトをカットして入れると、剥き出しの果肉から染み出た水分でほかの野菜がダメになってしまう…。そこでミニトマトの出番だ!
カットせずとも彩りとして乗せられるミニトマトなら、なかの水分が染み出てほかの野菜が台無しになることもない。
この切らずにそのまま料理に使えるという利点を活かし、海外の航空会社ではミニトマトが日本で一般的になる以前から、よく使われていたのだ。
そして搭乗時にこの機内食に感動した農業関係者が、日本に持ち帰って栽培するようになったという。
この出来事は時期的にもプチトマトの販売開始と同じころの話。ひょっとすると「機内食に使われてた!」と持ち帰ったところから「それ、ベランダでも育てられそうでいいね!」という展開になったのかも?
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【追加雑学②】大きいトマトはミニトマトを品種改良したもの
大きいトマトとミニトマトだったら、実はミニトマトのほうが元祖だということを知っているだろうか? 大きいトマトを食べやすく改良したのがミニトマト…みたいなイメージがなんとなくあるけど、実はまったく逆である。
トマトは1492年、コロンブスが南米大陸を発見した際にメキシコから持ち帰り、ヨーロッパに広まった。このとき持ち帰られたトマトは、なんとミニトマトだったのだ!
もちろんミニトマトという言葉が生まれるのはこれよりずっと後の話で、当初は"チェリートマト"と呼ばれていた。名前的に甘そうな感じがするけど、これはサイズからそう呼んでいただけである。
このチェリートマトから品種改良がされていくなかで、生まれたのが大きいトマトなのだ! 日本にはたまたま先に大きなトマトが伝わったということだな。
ちなみにトマトはけっこう大きさによってけっこう呼び方が分かれていて、おおまかに以下のように分類されるぞ。
- 大玉トマト…7~8cmぐらい・200g以上
- ミディトマト…5cmぐらい・50~200g
- ミニトマト…2~3cmぐらい・10~20g
- マイクロトマト…1cmぐらい・1~2g
このうちマイクロトマトは特定の品種のみを表すが、明らかにミニトマトの範囲ではないので分けてある。
以下の動画でマイクロトマトの実際の大きさが確認できる。そのサイズゆえに鳥のエサになってしまうのが悩みどころ?
いっぱい食べれるように大きさを求めたり、食べやすさを求めて小さくしたり…時代ごとのニーズからさまざまに品種改良がされていったんだろうな~。
【追加雑学③】ミニトマトの栄養価がすごい
ミニトマトは、実は大玉トマトより栄養価が高い。食べ応えのある大玉トマトのほうが栄養たっぷりかと思いきや、意外や意外。トマトの主要な栄養価を比べてみると、ほとんどの成分でミニトマトに軍配が上がるぞ!
以下大玉トマトとミニトマト100gあたりに含まれる主要な成分を比べてみた。
大玉トマト | ミニトマト | |
エネルギー | 19kcal | 29kcal |
βカロテン | 540μg | 960μg |
リコピン | 3.0mg | 8.1mg |
カリウム | 210mg | 290mg |
ビタミンC | 15mg | 32mg |
食物繊維 | 1.0g | 1.4g |
どんなもんかと思えば、大玉トマトに比べ、プチトマトは軽く2~3倍は栄養があるぐらいの勢いじゃないか!
…同じトマトなのにどうしてこんなに栄養価が違うのか。これには、それぞれの収穫のタイミングが関係しているという。
大玉トマトは皮が薄いため、熟れすぎるとジュクジュクで収穫できない。一方、プチトマトは皮が分厚くて固いため、完熟の状態で収穫できる。そのため、栄養価が高くなるのだ。
トマトの抗酸化作用で若々しく健康な身体に!
トマトに含まれる栄養素でも特筆すべきなのは、リコピン・βカロテン・ビタミンCの3つだ! これらがもつ抗酸化作用は老化を防ぎ、若々しく元気な身体作りに貢献してくれる。
なかでもトマト特有の栄養素であるリコピンは吸収率が高い。ほかの野菜でここまでの恩恵を受けられるものはなかなかないぞ! 以下のリコピンの美容・健康効果をまとめた動画もチェックしてほしい。
丈夫な骨・綺麗な肌・生活習慣病の予防…まさに若さの源ともいえる効能である。ちなみにダイエット効果に関してはトマトの食物繊維も有効で、こちらは便秘解消の一助となってくれる。
…トマトを食べて若く美しく! うん、これはもう食べるしかない!
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「ミニトマトとプチトマト」の雑学まとめ
今回はミニトマトとプチトマトに関する雑学を紹介した。
ミニトマトブームの火付け役となったプチトマトが、今じゃ市場から姿を消しているなんて…ちょっぴり寂しい気持ちにさせられる。いつの日かプチトマト改になって帰ってくることを待ちわびているぞ!
また、ミニトマトの予想外の栄養価の高さには驚かされた。読者にはぜひミニトマトをごひいきにしていただきたい。
…と、思ったが、普通のトマトが売れなくなるとそれも困るので、やっぱりどっちも食べてほしい! 大玉ならではの食べ応えがほしいときもあるしね。
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