味噌汁を始め、味噌煮・味噌焼き・味噌漬けなど、幅広い調理範囲をもつ味噌。だれもが一度は聞いたことのある調味料の「さしすせそ」にも選抜される味噌だが、味噌という言葉の意味を調べると、意外な事実が発覚した。
実は味噌は「醤になれなかったもの」という意味をもつという。これはどうしたことだろうか。調味料として抜群の存在感を誇る味噌が未だ完成していないものとでもいうのだろうか。
今回の雑学は、日本では1300年の歴史をもつ味噌について、そのルーツを探っていこう。
【食べ物雑学】味噌の名前の由来は「醤油じゃないもの」という意味
【雑学解説】味噌は中国から日本へやってきた
昔から日本食に欠かせない調味料として活躍してきた味噌。そのルーツをたどっていくと古代中国にたどり着く。
古代中国の食品に「醤(しょう・ひしお)」というものがあり、これが味噌の起源だといわれている。「醤」とは豆や穀物を原料としたペースト状の調味料のことを指す。
中国語ではjiang(チァン)と発音し、中国料理などに使う調味料で「ジャン」と発音するものがこれにあたる。豆板醤(トウバンジャン)・甜麵醬(テンメンジャン)など聞き覚えがある方も多いのではないだろうか。
この「醤」になる前段階の発酵中のものが「未醤(未だ醤にならざるもの)」として独立し、中国から日本へ伝来。呼び方も未醤から味噌へ変化し、日本へ広まっていったのである。
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最初に日本へ味噌が伝わったのは飛鳥時代のこと。平安時代までは高級食材として寺院や貴族階級でしか口にすることができなかったという。鎌倉時代に入ると「一汁一菜」という武士の食習慣が確立し、室町時代には庶民の間でも食されるようになっていった。
「醤」になれなかったのにも関わらず高級食材とは、味噌のポテンシャルは計り知れない。
ちなみに、日本の食生活になくてはならない存在となった味噌の「噌」の字は、日本固有の漢字で、味噌にしか使われていない贅沢な漢字だ。
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【追加雑学】みそソムリエという資格
ワインの豊富な知識で料理にあったワインを選ぶソムリエ・野菜の豊富な知識で旬の野菜を見分ける野菜ソムリエ・味噌の豊富な知識で調理に適した味噌を選ぶみそソムリエ? なんと味噌の世界にもソムリエが存在した。
みそソムリエは「みそソムリエ認定協会」が認定する資格で、「味噌文化を伝える人・味噌を深く愛する理解者・味噌を受け継ぐ伝承者」という壮大なスローガンを掲げている。
試験では味噌の歴史・効用・種類・原材料などを問われる筆記試験(択一式・記述式)に加え、きき味噌などの実技試験も実施されるなど結構なボリュームの試験だ。そんなボリュームからか、受験料は35,000円とお高め。
しかし、この試験は認定講習と試験がセットになっており、講義と実習を終えたあと、すぐに認定試験に移るという1日完結型となっている。そのため、合格率もすこぶるいい。これなら私生活の負担にもならず、資格取得することができそうである。
しかも、みそソムリエは、味噌業界では結構知名度が高いらしい。製造業者や味噌に携わるお仕事をされている方なら必携の資格なのかもしれない。
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雑学まとめ
今回は味噌についての雑学を紹介した。当時は高級食材として、庶民には手の届かなかった味噌が、実は「未醤(未だ醤にならざるもの)」であったことには、改めて味噌のポテンシャルを思い知らされた。
主原料の大豆の生産量が増えたことで味噌の文化は爆発的に発展し、我々一般庶民の食卓にも並べることができるようになったのはありがたいことである。特にお酒をたらふく飲んだあとの味噌汁のやさしさには何度救われたことか。
もしかしたら、「未だ〇〇になっていないもの」の中にもまだ見ぬお宝が存在するかもしれない。