我々が暮らす地球に馴染み深い天体といえば、太陽と月である。
太陽はご存知の通り、光という我々の生活に必要不可欠なエネルギーを与えてくれる。まぁ…紫外線なんかもきてしまっているから、嫌だと思う人もいるだろうけど…。
月はあまり働きとしては知られていないかもしれないが、潮の満ち引きを起こしたりするように、月の引力で地球を引っ張ってくれている。
この月の引力は地球環境の維持には欠かせないもので、もしも月が存在しなかったら、地球は今のような環境にならなかったという説もあるくらいだ。
そんな月なのだが…実は…年々地球から遠ざかっていっているということを、みなさんはご存じだろうか…。
ということで今回は月に関する雑学を紹介していこう!
【宇宙雑学】「月」は少しずつ地球から離れていっている?
【雑学解説】角運動量は保存される
地球の周りをいつまでも変わらず回っていると思われている月に、一体何がおこっているというのか…。
実はこの「回っている」ということが、この現象を発生させているのだ。
回転する物体はエネルギーをもっているといえる。そのエネルギーがあるので、回っているものが当たると痛かったりするわけだ。
そのエネルギーの総量、これを角運動量という。この角運動量は
- 速度×回転する物体の半径×その物体の重さ
で表すことができ、この値は外部からの力が働かない限り一定に保存される。
一番身近な例としては、フィギュアスケートのスピンである。手を広げている選手が手をたたむと急に回転スピードが速くなるだろう。あれは、半径が小さくなったので速度を上げることで角運動量を一定に保とうとして起こる現象なのだ。
地球と月にもこれと同じことが起きている。月が地球を引っ張ることで、地球の自転の速度が遅くなる。
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角運動量は保存されるので、速度が遅くなるのだから、半径が大きくなるか質量が大きくなるかしかない。
地球の大きさも月の大きさも急に変わるわけがないので、地球と月のあいだの距離を延ばすしかないのだ! その延びていく距離が年間約4センチメートルというわけ。もう…誤差みたいなものだな!
「地球は地球、月は月で別の話なのでは?」と思うかもしれないが、力学的には地球と月は同じ天体扱い。いうなれば、地球は体、月は広げた手の先と思ってくれてかまわないぞ。そのため速度が遅くなったときには、腕の部分にあたる地球と月の距離を延ばして、角運動量を保存するわけだ!
人の体を例に出しておいてなんなのだが…普通に腕が年間約4センチメートル伸びると考えたら…ちょっと怖いな…。
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【追加雑学①】昔はもっと月は近かった!?
この角運動量の保存は、月の引力が発生した時点から存在していたはずなので、月ができた約45億年前には、月はもっと地球に近いところにあったということになる。
月ができたときには、今よりも約2万2500キロメートルほど地球に近い位置を回っていたと考えられている。
いまいちピンとこない数字ではあるが…、地球の直径が1万2700キロメートルくらいなので、地球2個分くらいは動いたことになる…。これでもピンとこないな…。
地球からは今よりも17倍の大きさで見ることができたようで…今そんなものが見えたらこの世の終わりを想像してしまうな…。
【追加雑学②】月が地球の重力圏を離れることはない
「年間約4センチメートル離れていっているのなら、いつか地球から月が見られなくなるほど遠くに行ってしまうのでは!?」と心配なあなた! 大丈夫だ! 決してそんなことはないぞ!
というのも、今は地球の自転と月の引力では自転の方が速い。だから引力を振り切って自転することができている。
しかし、先ほど述べたように、地球の自転はどんどん遅くなっている。このまま遅くなっていくと、いつか自転の速度と引力とが釣り合った状態になる。こうなると地球か月の質量が劇的に変化しない限り、月は地球から離れていかないわけだ。
といっても、その状態になるまでに太陽の寿命がくると予想されているから、地球も月も仲良く消滅してしまうけどな!
雑学まとめ
月についての雑学、いかがだっただろうか。月が地球から離れていくメカニズムが身近なことでわかるなんて…。
年間約4センチメートル離れていくということは、去年の月と今年の月とでは同じようでも見え方が違うということ。もっというと秒単位でも違うだろうから、同じ月は二度と見ることはできないのか…。何だかロマンチックだな…。
それにしても年間約4センチメートル…髪の毛が伸びるペースよりも遅いなんて…いつも天文学的数字で驚くことばかりなのに、こんな小さな数字で表されることもあるのだな。…といっても私には伸びる髪がないのでどちらが遅いかなんてわからない…。
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