世界的な名誉であるノーベル賞。豊かな知性とたゆまぬ努力により得ることができる、まさに人類の叡智の集大成ともいえる栄光である。
ノーベル賞なんて一生獲れないだろうけど、もし獲ることができたら、そのメダルは家宝として末代まで誇りまくるだろう。きっと、一生ドヤ顔で生きる。
そんな名誉と名声の頂であるノーベル賞だが、長い歴史の中で、その栄光のメダルを売り飛ばした人物がいたことをご存知だろうか…。今回は、この驚きの雑学について紹介していく!
【歴史雑学】ノーベル賞のメダルを売った人物がいる
【雑学解説】売られたノーベル賞のメダル…ついた値段は6億円!?
素晴らしい功績を残したジェームス・ワトソン博士だったが、その反面、問題発言も多くバッシングを受けることもしばしばであった。
とりわけ、2007年には黒人に対する差別的な発言をし、大きな波紋を呼ぶ。この結果、彼は所属していた研究所から追放されることとなった。名声を失った彼は経済的に困窮するようになり、ついにはノーベル賞で授与されたメダルを売却せざるを得ない状況に追い込まれる。
競売にかけられたメダル。その落札額はなんと、475万7000ドル。日本円にして約6億円だ!
価値のあるメダルとはいえ恐ろしい額である。自ら名誉のメダルを手放してしまったことは残念だが、これで博士も安泰に暮らしていけるだろう…。
と思いきや、実はその後、売却されたメダルは彼の手元に戻っているのだ。
いったい、どういうことなのだろうか…。
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【追加雑学①】売られたノーベル賞メダルは持ち主に返却された
6億円もの大金で落札されたジェームス・ワトソン博士のノーベル賞メダル。
このメダルの落札者は、アリシェル・ウスマノフ。ロシアの実業家だ。落札から数日後、ウスマノフは「メダルをワトソン博士に返却する」と発表した。
「ジェームス・ワトソン氏は偉大な研究者であり、勲章は彼の手に残るべきだ」と主張した彼は、ワトソンが陥ってしまった「メダルを競売にかけなければならない状況」を看過できずに自ら落札し、博士に無償で返したのだ。
実はウスマノフ、自らの父を癌で亡くしている。父の命を奪った癌、その治療にはワトソンの研究が役立っている。ウスマノフの行動には、癌の治療に貢献したワトソンへの「恩返し」の意味も込められていたのである。
【追加雑学②】オリンピックのメダルは結構売られている
ノーベル賞と同じく、世界的な名声を手にするオリンピックの表彰台。ノーベル賞のメダルを売る人もいたように、オリンピックのメダルを売る人もいるのだろうか。
実は、オリンピックのメダルはけっこう頻繁に売られているらしい。
選手生命維持のためや寄付のため、生活のためなど、その理由は様々だが、たくさんの人々がメダルをネットオークションで出品しているのだ。落札金額もまちまちで、100万単位で売った人もいれば、1億円以上の価格で売却した人もいる。
実はオリンピックの金メダルの原価はそれほど高くなく、メダル自体の価値は薄いのだ。そのため、売る人の評価によって価格は左右される。
並ならぬ努力の末にようやく手にしたオリンピックのメダル。売るときにも評価が左右されるだなんて、悲しく皮肉的な話である。
雑学まとめ
今回は、ノーベル賞のメダルを売ってしまった人物についての雑学を紹介した。
自業自得とはいえ、ノーベル賞という輝かしい栄光から一転、経済的困窮に追い込まれたジェームス・ワトソン博士。貧困の果てに手放してしまったメダルが返却された経緯はとてもドラマチックだ。
人生何があるかわからない。まさに塞翁が馬である。
それにしてもアリシェル・ウスマノフ、なんて粋な人物なんだ…。
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