今回の雑学テーマは花見。
春の楽しみといったら、花見だろう。桜と孤独を愛する筆者は、ぼっち花見が春の定番である。
ひとりでお花見スポットに行き、シートを広げて黙々と自作弁当を食べる。大地に広がる桜の花びらのじゅうたんを見つめつつ諸行無常を感じるのが、筆者流ぼっち花見なのだ。
こんなに楽しいお花見であるが、実は日本でしか行われていないのである。
【生活雑学】盛大なお花見をするのは日本だけの文化
【雑学解説】お花見は日本独自の文化
「日本旅行するときは、花見をしたい」日本が好きな外国人は、口をそろえて言う。
しかしこれは彼らにとって、桜が珍しいものだからというわけではない。桜の花自体は海外でも見れる。筆者はイタリアに住んでいるのだが、春になると家の近所には桜の花が咲く。八重桜だってある。
それでは、どうして外国人たちが花見にあこがれるのか? それは海外に花見という文化がないからなのである。日本という国だからこそ、花見をすることができるのだ。
たとえば、お花見にはお酒がつきものであるが、アメリカ・ワシントン州やシンガポールなどでは公での飲酒は禁止されている。花を愛でるイベントといえば、海外ではピクニックが挙げられるだろう。
また、お花見をできるのは、日本人のマナーの良さも関係している。もし海外でお花見を企画すると、酷いことになってしまう。泥酔で乱痴気騒ぎ、お花見のゴミはそのまま放置とかなりカオスなことになってしまうことだろう。
反対に、協調性を重んじる日本では、常識の範囲内でお花見を楽しみ、後片付けをきちんとしてから帰る人が多い。
このほかにも、日本は四季がはっきりしており、春は気候が良いから日本ではお花見をするという理由も挙げられている。しかし、これについては筆者は疑問に思っている。
筆者の住むイタリアでも四季はきちんと存在するし、日本のように春は暖かい。そして、春にはどこも花が満開だ。
たしかに雨季と乾季しかない地域もあるが、四季がある地域も多いので、なにも日本だけが特別ではない。
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【追加雑学①】お花見は奈良時代からあるイベント
さて、そんな日本独自のお花見だが、その歴史はかなり古い。なんと奈良時代から存在するのだという。
当時の花見は、貴族の行事であった。しかしこの時代に鑑賞されていたのは、梅の花である。梅は奈良時代に中国から伝わってきている。その風流な花の姿に、「わーまじヤバい! 梅でも見ながらパーティしたらサイコーじゃね?」とパリピな奈良時代の貴族は考えたのであろう。
現代のように桜でお花見を楽しむようになったのは、平安時代なのだという。この時代もお花見はまだ貴族だけのものであったが、鎌倉時代になると武士や庶民たちの間にも徐々に広がり始める。
江戸時代には堤防代わりに川沿いに桜の木が植えられるようになり、いたるところで桜を観賞できるようになった。これによって、お花見は庶民たちのあいだでも定番の行事となった。また、この時代は園芸がブームであり、桜の品種改良も行われている。
【追加雑学②】染井吉野は江戸時代に生まれた
国内の桜の8割を占める染井吉野は、実は日本に昔からある野生種の桜ではない。
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この桜は、江戸時代終わりごろに品種改良によって誕生したのである。染井村という現在の東京都豊島区駒込あたりにあった村の植木屋が、大島桜と江戸彼岸桜を交配させて作り出したのが、染井吉野なのだ。
お恥ずかしいことだが、筆者は染井吉野は奈良県吉野で生まれたものだと勘違いしていた。どうやら江戸の植木屋は、桜の名所の吉野にちなんで「吉野桜」という名前を付けたかったようだ。しかし、「あ、待てよ…この名前だと、吉野の山桜と勘違いされんじゃね?」ということで、この案は却下となったようなのである。
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雑学まとめ
今回はお花見についての雑学をご紹介してきたが、いかがだっただろうか。
お花見は、比較的マナーのよい人が多い日本だから開催可能な行事なのだ。そんなお花見の歴史は古く、奈良時代から存在している。
最後になるが、イタリア人に「桜の花ってどう思う?」と尋ねてみると、「サクランボの花だよね、あ~サクランボ食いてぇなぁ~」という返答が返ってきた。桜の花に対する思い入れも、日本と海外では異なるようだ。