4年に1度開かれる、スポーツの祭典・オリンピック。世界各国から一流選手が集まり、メダルを目指して、毎回たくさんのドラマが繰り広げられる。
ところで、上位選手に贈られるメダルは何でできているかご存じだろうか。実は1位に贈られる栄光の「金メダル」はすべて金でできてはいない。そのほとんどを、銀を原料として製造されている。
昔は純金で作られていたようだが、なぜ、銀で作るようになったのだろうか。今回の雑学では金メダルの製造過程から、その歴史までをまとめてお届けしよう。
【オリンピック雑学】オリンピックの金メダルはほとんど銀でできている
【雑学解説】オリンピックの金メダルの作り方
オリンピックで使用されるメダルについては国際オリンピック委員会(IOC)がしっかりルールを決めている。
大きさは、少なくとも直径60mm、厚さは3mm以上で作らなければならないし、原料については、金・銀メダルは銀製で、少なくとも純度が1000分の925であるものを使わなければならない。また、金メダルには6gの金メッキを施すことが決められている。
銀の純度を1000分の925としているのは、コストの削減… ではなく、強度を増すためである。これは銅メダルにおいても同様で、銅97%に亜鉛・すず3%を混ぜる青銅を用いている。ちなみに、銀メダルの銀は銀93%と銅7%が混ざった「銀合金」から作られている。
ここに、リオオリンピックで使用されたメダルの製造工程の動画がある。メダル一つにかかる製造時間はなんと48時間。そのため、こうしたメダルの製造は開会2年前からすでに始められている。ちなみに日本開催の場合、メダルは造幣局で製造される。
Video: Introducing the Olympic Medals. #Rio2016Medalshttps://t.co/wy1a7TzxE5
— Rio 2016 (@Rio2016) June 14, 2016
リオオリンピックでは5310個のメダルが用意され、2.5トンの金・銀・銅・亜鉛・青銅が使われた。このように、規定からして金メダルが金ではないことをIOCも隠しているわけではなく、ちゃんとした理由がある。
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【追加雑学①】オリンピックの金メダルが銀で作られる理由
その昔、1912年開催のストックホルムオリンピックまでは純金の金メダルが使用されていたという。さぞ、開催国にかかる経済的負担も大きかったに違いない。
そう、金メダルが銀でつくられる理由は、そのコストにある。上記で紹介したリオオリンピックで作られた金メダルは重さ500gと過去最重量であったが、メダルの重量は400g程度が一般的だ。
400gのメダルを純金で製造すると、金メダル1枚にかかるコストは現在の金価格相場でおよそ198万円。2020年の東京オリンピックで実施される種目は全部で339種目なので、すべての種目に1枚の金メダルを用意したとしても、そのコストは約6億7,000万円。
その当時、ストックホルムオリンピックまでは、実施種目の少なさから、純金でのメダル製造もできなくはなかったが、これでは開催国に経済的負担が大きいと、金メダルを銀で製造するルールを作ったのである。
銀合金で作られたメダルは1枚24,000円程度で金メッキ6g(30,000円程度)を施しても54,000円程度と、コストパフォーマンスは圧倒的である。
ちなみに、銅メダルに使われる青銅は1㎏=500円程度で、400gの銅メダルにかかるコストは2,000円程度となる。
【追加雑学②】原価だけではない!オリンピック金メダルの価値
ここまでは、あくまでも原価としての金メダルの価値を書いてきたが、金メダルの本当の価値は種目や選手によって異なるはずで、値段なんてつけようもないが、過去に本物の金メダルがオークションに出品され、値段がついたことがある。
アメリカの元陸上選手、ジェシー・オーエンス氏が1936年のベルリンオリンピックで獲得した4つの金メダルのうち、1つをスポーツ関連の記念品オークションに出品したところ、146万6574ドル(約1億5,100万円)で落札された。
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雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。オリンピックの金メダルが銀でできていたことには、少し残念な気もするが、コスト面を考えれば、当然か。それにしても、メダルの原料は案外安いものであった。
各大会では、メダルの製造にも特徴をもたせていて、リオオリンピックではメダルの原料にリサイクル原料を使用し、史上最も地球にやさしいメダルとして話題になった。
金・銀メダルも銅メダルも、製造コストから見れば数字に表せてしまうものだが、4年に1度開催されるオリンピックに2度として同じものはなく、どのメダルも唯一無二のメダルであることに、疑いの余地はない。
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