あなたがもしも罪を犯せば、刑務所に行くことになる。そこでは受刑者が各種労働を行っているが、彼らは給料をもらって働いているのだろうか。それとも無給で働かされているのだろうか。
万が一あなたが刑務所に行くことになったとき、きっと気になるであろう受刑者の労働環境についての雑学を解説する。
【面白い雑学】受刑者の時給と刑務所の労働環境とは?
【雑学解説】意外とホワイトな刑務所。受刑者の労働環境は?
時給25円と聞いて、あなたはどう思うであろうか。安すぎるという意見もあるだろうが、犯罪者なのにお金がもらえるなんておかしいという意見もあるだろう。
また、報奨金で本や雑誌を買うことができ、それを読んで平日や休日の余暇時間を楽しむこともできる。出所時までに報奨金を貯めておくことで、その後の生活のための資金とすることもできる。意外とお金の使い道の自由度は高いのだ。
しかし上記の時給の低さから、貧乏な受刑者は出所時までに十分な金額を貯めることができない。出所後の新しい生活を始めるお金が足りないことが、再犯の原因になってしまう一面もあるようだ。
作業時間は一日7時間で、土日祝日は休みである。世間一般の職場と比較するとウルトラホワイトな職場である。近年では衣食住とホワイトな職場が保証された刑務所に行くために、わざと犯罪を犯す者もいる。
そのような状況も手伝ってか、刑務所に作業を依頼する企業から「労働時間が短すぎる」というクレームが入った。それを受けて、一部の刑務所では試験的に8時間労働を取り入れている。しかし、ただでさえ人手不足の刑務官の負担が大きくなることから、本格的な導入には至っていない。
ちなみに、作業中は私語禁止であり、作業に関することのみ発言できる。発言には必ず挙手が必要であり、破ると厳罰の対処になる。まるで軍隊のようだ。
【追加雑学】刑務所のいろんな仕事
作業には、大きく分けて刑務所の運営に関わる仕事と、社会貢献のための仕事がある。
刑務所運営のための仕事
・図書夫…受刑者が購入する新聞・雑誌・書籍の管理が主な仕事である。元銀行員等のエリートのみが就ける仕事である。待遇はかなり良く、専用の机もあるため他の受刑者からは羨望の眼差しを受ける。
・計算工…全ての受刑者が行う作業の生産データや給料の管理などを行う。経理の知識が必要なため優秀な人材が選ばれる。こちらも待遇がとても良く、他の受刑者の羨望の的になっている。
・営繕夫…刑務所内や関連施設の修理や修繕作業を行う。電気工事技師や大工等の経験が必要である。関連施設での作業は刑務所外での作業になるため、自由度が高い。そのためこちらも人気職種になっている。
・炊事工場・官炊工場…炊事工場では受刑者の食事を作っている。一方の官炊工場では刑務官の昼食を作っている。調理経験者や真面目な者が優先される。食べ物を扱う仕事のため風呂に入る回数が多く、報奨金も高い。
・雑務夫…受刑者の日用品の購入受付、洗濯物の手配等を行う。この仕事は学歴がなくてもできるが、他の受刑者と接する機会が多いため情報通になれる。そのため学の無い者からの人気が高い。
・洗濯工…受刑者の衣服の洗濯、修繕を行う。
・内装・外装工…花壇の整備・草むしり・ワックスがけなど、各種清掃作業を行う。
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社会貢献のための仕事
・金属工場…金属の溶接・組み立て・加工を行う。金属加工の職業訓練も兼ねて行われることもある。
・木工工場…木製の家具や小物などを作る。熟練工は本職顔負けの技能を持っていることもあるようだ。富山の刑務所ではケヤキ製の最高級神輿を4~6ヶ月かけて作っている。上記に同じく職業訓練コースがある。
・印刷工場…印刷物を扱う関係上、冷暖房完備なため他の工場よりも快適である。
・侍工場(俗称)…イケイケな人たちが集う工場は、侍工場と呼ばれている。ここに放り込まれたら胃痛が悪化すること間違いなし。
・洋裁工場…自衛官・警官・刑務官の制服を作る。
これらの生産工場で作られたものは、全国各地で開催される矯正展で販売される。矯正展では、刑務所に関する各種展示があるほか、各種工場で作られた安くて品質の良い物が販売される。
また、これらの工場では民間からの業務委託も行っており、各企業は刑務所に生産を委託することもできる。刑務所外での委託作業も存在する。
ユニークな委託作業
愛媛県今治市にある造船所の例を挙げる。そこではなんと受刑者が一般の工員に混じって作業をしているのだ! 彼らは鍵のない寮に住み込んで生活しているため、一般の受刑者とはかけ離れた生活を送っている。刑期が大幅に減るというのも大きな魅力だ。
一方で作業は非常にきついため、ある程度の自由を捨てて刑務所に戻る者も多い。
島根県では、刑務官と民間警備員の監視の下で農作業が行われている。これには刑務所外での作業も含まれる。トイレ休憩は全員一斉に行われ、刃物の扱いには細心の注意を払う。
できれば民間からの委託を増やしたほうが社会への貢献度は高くなるが、単価を安くしすぎて仕事を取ってしまうと民業圧迫になってしまう。そこのバランスをどう保つのかが難しいのだろう。加えて、受刑者が製品を作ったということを気にする消費者も少なからずいるだろう。
刑務所と受刑者の雑学まとめ
今回は、知られざる受刑者の労働についての雑学を紹介した。果たして時給25円が高いのか安いのか、再犯のリスクも視野に入れて検討する必要がある。
刑務所は、自分の施設保全をできるだけ自分達だけでやるという独立性が高い施設であった。一方、生産工場では小物からお神輿まで様々なものが作られていることが分かった。
刑務所をよりリアルに感じるためにも、近くで行われる矯正展にはぜひとも足を運んでみたい。
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