体の仕組み

感覚?"辛味"と"渋味"は味覚の中には含まれない?

雑学カンパニー編集部

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辛味と渋味は味覚ではない、という雑学

筆者は辛いものが大好きだ。うどん・味噌汁・納豆・焼き鳥…皿が真っ赤に染まるまで、一味唐辛子を振りまくる。「そこまで辛いと、味わかんないんじゃないの?」と言われても、こればっかりはやめられない

そして、筆者が韓国料理を作れば、「こんなの辛すぎて食えね―よ! 殺す気か!!」とブーイングの嵐が起きる。

さらに、インド料理店に行けば、極辛のカレーを頼む。たとえ目の前に恋人がいようが、鼻水と涙を流しながらそれを平らげる。筆者の経験上、舌の上で感じる辛さというのはだんだんマヒしていき、さらに上を行く辛さを求めるようになるものだ。

しかし、この「辛い」という感覚、味覚ではないのである。辛味だけではない。また、渋味も味覚ではないのだ。

味覚ではない「味」…? いったいどういうことなのであろうか? 今回は辛味と渋味についての雑学を紹介する!

【人体雑学】辛味と渋味は味覚ではない

科学者くん
辛味と渋味が味覚じゃないなら、いったい何なんですか?
ダヴィンチさん
辛味は『痛覚』、渋味は『触覚』…つまりこれらは味覚ではなくて『感覚』なんだよ。

【雑学解説】辛味と渋味は「感覚」!

辛味と渋味は「感覚」についてのトリビア

味覚は、われわれの舌の上にある味蕾(みらい)と呼ばれる器官の中にある味細胞によって感じとっている。味蕾は花の蕾のような形状をしているごく小さい器官で、人間の舌には約1万個程度存在している。

ところが、辛味や渋味はこの味細胞で感じ取られる味覚でははない

まず、辛味というのは、感覚神経にあるカプサイシン受容体というところで感じられる「痛覚」である。筆者は痛みが快感のドMがあるが、どうやら舌先までドMだったようだ。

ダヴィンチさん
ビリビリくる痛みってたまらないんだよね。私もちょっとMっ気あるからね…。
科学者くん
いまはそんな話してないです!

そして、渋味というのは、渋味成分が口の中の粘膜のタンパク質と結合することによって感じる「触覚」である。この渋み成分には、抗酸化作用があるとして注目されているポリフェノールの一種・カテキンタンニンなどがある。

ところで、世界にはいろいろな変わり種の大会が存在する。その中でも今回は、イギリスで開催された激辛唐辛子食い大会の動画をご紹介したい。どうやら、テーブル上のミルクを飲むことが「ギブアップ」のサインのようだ。

科学者くん
みんな黙々と唐辛子を食べてるけど…舌は大丈夫なのかなあ…。

観客の盛り上がりとは裏腹に、大会参加者の表情が死んでいるように見えるのは、気のせいだろうか…。これだけの量の激辛唐辛子を摂取した彼らの体調も気になるところである。筆者は、韓国で生の激辛唐辛子を2本食べただけでお腹をブッ壊してしまったぞ…?

しかし、ここまでしてでも辛い物に挑戦する気持ち…分からないでもない! 辛さへの挑戦は、人類の未知なる挑戦でもあるのだ!!

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【追加雑学①】辛味は2種類に分けられる

辛味というものは、2種類に分類することができる。なんとなく想像できるだろうか。

まず唐辛子・胡椒・生姜など、「口の中が熱い!」と感じるもの。唐辛子の"カプサイシン"はよく耳にするだろう。これらは特に辛味が長く続く。

これらの辛味を抑えるのに最適なのは、牛乳やマヨネーズのような油でコーティングされたもの。間違っても水を飲んではいけない。辛さが増して舌がますますヒリヒリするから注意だ。

ダヴィンチさん
私、唐辛子をたっぷりと使った料理にマヨネーズをたくさんかけて食べるのが好きなんだけど、これは実に良い食べ合わせだったということだね!
科学者くん
ええ…想像するとあんまり美味しそうに思えないんですけど…。

そして、ニンニク・ワサビ・辛子など、「ツーンとする!」と感じるもの。唐辛子系に比べては辛さは持続しない。寿司を食べたときのツーンとする感覚も、「ヤバい消えない! ずっとツーンとする!」という状況になった人はまずいないだろう。

ワサビやニンニクは、刻んだり細かくすると辛さを増す。タマネギを刻むときに涙が出るのは、この辛味のせいなのである。ちなみにこっちの辛味を抑えるのは、逆に水で十分だ。

辛味を好む人は遺伝で決まる?

辛い物がどうしても食べられない人は、おそらくクラスに何人かはいただろう。大人になってもカレーの甘口を頼む人もきっと少なくない。

「辛味が好き、得意!」という人については、国際的な様々な研究がなされているが…

  • 遺伝子のせい
  • 食べ過ぎて麻痺したせい
  • 単純に刺激を楽しんでいるせい

という結果になったらしい。一概には結論が出せないのだそうだ。インドや韓国では、小さい頃から辛い食べ物を食べていただろうし、遺伝子なのか麻痺したのか、もはやわからないのであろう。

ダヴィンチさん
私の友だちの韓国人はキムチが苦手だそうだよ。辛いのがあまり好きではないそうだ。
科学者くん
そういう人もいるんですね~!

【追加雑学②】「味覚」は全部で5種類

さて、前述の味細胞で感じられる味覚は、5種類に分けられている。「基本味」と呼ばれることもあるこれらの味覚は、塩味・甘味・酸味・苦味・うま味と呼ばれる。これらは他の味を混ぜても作り上げることのできないものだ。

ところが、もともと西洋で一般的だったのは塩味・甘味・酸味・苦味の4種類だけで、うま味が基本味の仲間入りをしたのは2000年と、ごく最近のことなのである。

科学者くん
ええ?!2000年ですか?!昔からうま味があったんじゃないんですか?
ダヴィンチさん
うま味は日本の食生活のベースとなっている味だから、ずっと昔から『存在』はしていたんだよ。

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【追加雑学③】「うま味」を発見したのは日本人

実は、うま味を発見したのは日本人だった。これは、1908年に東京帝国大学(現在の東京大学)の池田菊苗博士が見つけ出したものなのである。

池田氏は、だし昆布の中に含まれているグルタミン酸を発見し、その味がすでに存在していた4種類の基本味のどれとも違ったことから「うま味」と名付けた。

ちなみに、うま味はグルタミン酸だけではない。そのほか、鰹節のイノシン酸干しシイタケのグアニン酸などもうま味成分である。

あれ…? これ日本の出汁のもとじゃね? そう、これらの成分を見つけたのは、すべて日本人なのである! 日本食といえば、出汁を大切にする食文化である。つまり、日本の味のベースにあるのはうま味といえるであろう。

科学者くん
ボクたち日本人も長い間気づかなかったくらい、うま味は日本の食文化になじんでいたのかな?

雑学まとめ

感覚?"辛味"と"渋味"は味覚の中には含まれない?についての雑学まとめ

今回は味覚の雑学を紹介した。舌で味覚として感じられるのは、塩味・甘味・酸味・苦味・うま味の5つである。そして、辛味や渋味は味覚ではなく、痛覚や触覚といった感覚で感じ取るものなのだ。

ちなみに、「味覚占い」なるものがあり、辛味が好きな人は変化を望む冒険家、渋味が好きな人は頑固で見栄っ張りなところがあるロマンチストらしい。たしかに辛い物好きな筆者は山あり谷ありバッチ来いタイプだが…これってどんな基準?

ダヴィンチさん
この味覚占い、他の味については、甘味が好きな人は甘えん坊、塩味が好きな人は完璧主義者、酸味が好きな人は我が道を行くタイプらしいよ。
科学者くん
うう~ん…ボク、甘味が好きだけど…甘えん坊じゃないですよ…!
ダヴィンチさん
おやおや…そうだねえ…ククク…

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