あなたは白身魚と赤身魚、どちらが好きだろうか。筆者は刺身が大好物なのだが、マグロもヒラメも捨てがたい。
中でも大好物はサーモンの刺身だ。あれ? サーモンって、どっちにわけられるんだ…?
マグロは赤い。ヒラメは白い。とても分かりやすいが、サーモンはピンク色。どちらかといえば赤身かと思ったのだが、実は白身の魚なのだそうだ。
赤身魚と白身魚は、単純に身の色で決められているわけではないらしい。ちゃんと定義があって、見た目だけではない部分で判断されているのだ。
今回は、魚の赤身と白身についての雑学をご紹介しよう。
【食べ物雑学】赤身魚と白身魚は身の色で決められているわけではない
【雑学解説】味にも差が!泳ぎまくる魚とじっとしている魚
貧血で悩んだことがある人なら、「ヘモグロビン」という単語は聞いたことがあるかもしれない。魚は筋肉の中にミオグロビン・ヘモグロビンといった色素タンパク質をもっていて、赤身か白身かの判断はこの量で決められている。
これらはふたつとも酸素を上手に効率よく使うための色素だ。赤身魚は色素タンパク質が平均的に100g中150mgも含まれているのに対して、白身魚は100g中10mgしか含まれていない。色素タンパク質は赤く見えるので、赤身魚は「赤っぽく見える」のだ。
白身の代表はヒラメやタイ。これらは「回遊しない・比較的深海で過ごす・群れない」といった特徴がある。あまり動かないので、酸素の供給がゆっくりでも困らない。
これに対し、赤身の代表であるマグロ・カツオ・サバなどは、「常にグルグル泳ぐ回遊魚・比較的海面近くで生活・群れで泳ぐ」といった特徴がある。素早い長距離の泳ぎを可能にするために色素タンパク質が進化したのだ。
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このように赤身魚と白身魚は色素タンパク質の量が異なることから分類分けされているのである。
ちなみに、色素タンパク質の量は魚の味にも影響する。赤身魚はコッテリ濃厚な味で、刺身にした時も独特の旨みを感じることが多い。
対する白身魚はあっさりした後味で淡泊と表現される。また、歯ごたえも白身の方が強い傾向にある。
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【追加雑学①】焼くと白っぽいけど?サンマは何魚…?
あくまで身の色は目安であって、色素タンパク質の量で決まる「赤身か白身」。魚の身はほとんど筋肉で出来ているから、焼くとタンパク質が凝固して白っぽくなってしまう。ますます見た目で区別がつきにくくなるのだ。
ちなみに、鮭はもともと白身魚で、食べたエサの色を吸収することでピンク色になっている。
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それではサンマはどちらなのだろうか…?
正解は「赤身魚」。サンマも群れで高速移動する回遊魚である。そして、後述もするが、背中の色が青く光る「青魚」はすべて赤身魚だ。
【追加雑学②】「青魚」ってどんな魚なんだろう
よく「体にいいから青魚を食べよう」などというのだが、青魚って具体的に何のこと?
これは、白身・赤身の区別より視覚頼りの「背中が青い魚(赤身魚)」そのまんまだ。魚類上の分類ではなく、あくまで見た目と肉質での判断になる。
また、一般的に青魚とは「安く手に入りやすい大衆魚」のことをいうことが多い。代表的なのがサンマをはじめ、サバ・ニシン・イワシ・アジ・ブリなどだろう。
マグロやカツオもサバ科の青魚なのだが、入手しやすさや値段からいって大衆魚とはいえない(カツオは最近だいぶ手頃になってきたが)。このため、マグロなどはあえて青魚と呼ばず、赤身魚の代表として扱われている。
ちなみに、青魚は体の中に「ヒスタミン」という物質を溜め込んでいることがあるそうで、たまたまこれを食べるとじんましんが出たりすることがある。いわゆる「青魚に当たった」というやつだ。
雑学まとめ
今回の雑学で、赤身魚と白身魚はもっている色素タンパク質の量がまったく異なることが分かった。それで味にも差が出るとは驚きだ。栄養素もそれぞれ異なるので、魚から栄養をとりたいときは赤身と白身をまんべんなく食べるようにしても良いかも。
それにしても、大衆的な赤身魚がほぼもれなく「青魚」にもなるというのには驚いた。あくまでイメージとはいえ、マグロはとても大衆魚だと思えない。いつの日か、マグロも遠慮なく「青魚」と呼べるくらい気軽に食べられる値段になったらいいなと少し願ってる。
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