モンキーマジック!
そう、今回お届けするテーマは、何を隠そう「西遊記」だ。西遊記は中国の伝奇小説だが、日本では何度もドラマ化されたり、ゲームのモチーフとして描かれたりするので知っている人は多いだろう。
その西遊記の主人公といえば、「三蔵法師」だ。孫悟空をはじめとする仲間たちと共にありがたい経典を求めて天竺(てんじく)まで旅をする僧侶。日本では夏目雅子さんや深津絵里さんなどの名女優が演じてきた。どの女優さんをイメージするかで世代が分かれるくらい映像化されているのだ。
そんな三蔵法師だが、ここで気になる情報を耳にした。なんと、実は三蔵法師は1人ではないというのだ。一体どういうことだろう…三蔵法師も孫悟空の妖術のように分身できたりするのだろうか。
その真相についての雑学を紹介していこう!
【歴史雑学】三蔵法師は1人ではない
【雑学解説】三蔵法師は個人の名前ではなく呼び名
調べてみると、なんと三蔵法師というのは名前ではなく称号、いわば特定の僧侶に対する呼び名であることがわかった。三蔵というのは仏教の3つの概念を表しており、それに精通している僧侶が三蔵法師と呼ばれるそうだ。
つまり、その3つの概念に精通していれば三蔵法師となれるので、歴史上で何人も存在していたことになる。「法師」はともかく、筆者はてっきり「三蔵」が名前だと思っていた…。
西遊記で一般的に知られている三蔵法師の名前は「玄奘(げんじょう)」であり、他の三蔵法師と区別するために「玄奘三蔵」と呼ばれたりする。ただ、玄奘というのも仏教でいう戒名であり、本名ではないそうだ。
ちなみに西遊記はファンタジーな設定が多々あるが、玄奘三蔵は実在の人物をモデルに描かれている。玄奘三蔵は実際にインドまで旅をしており、経典や仏像などを持ち帰った。その記録は「大唐西域記(たいとうさいいきき)」という見聞録に残されており、西遊記の元になったといわれている。
うーむ、まさか三蔵法師が名前ではなく称号のようなものだったとは。筆者も出家して仏教を勉強をすれば、三蔵法師になれたりするのかもしれない。あいにく筆者はインドまで旅をする元気がないので、体力が有り余っている人は経典を求めて旅をしてみてはどうだろうか。
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【追加雑学】日本の歴史にも三蔵法師が1人だけいた
三蔵法師が何人も存在することをお伝えしたが、調査の過程で日本にも三蔵法師が1人だけ存在したことがわかった。その名も霊仙(りょうせん)、なんだかカッコイイ名前だ。
霊仙は平安時代初期の僧侶。仏教を学ぶために45歳にして中国(当事は唐)に渡り、修行や勉学に務めたらしい。その過程で三蔵法師の称号を与えられて、日本の唯一の三蔵法師となった。
残念ながら日本に帰る前に命を落としてしまったそうだが、霊仙が唐で迎えた弟子たちが、後に日本から渡ってきた僧侶たちを手厚く迎えたという。その僧侶たちは霊仙の弟子たちから、仏教の秘伝などを授かって日本に持ち帰った。
霊仙自身が日本に帰れなくても、弟子たちの力によって日本に持ち帰られたものがあるとは、玄奘三蔵と通じるような話である。霊仙の記録はそんなに多く残ってないようだが、さぞや人柄の良い人物だったのだろうと感じる今日この頃であった。
雑学まとめ
今回は三蔵法師にまつわる雑学を紹介した。まさか、西遊記で知られる三蔵法師が名前ではないというのは驚きだ。皆さんも今後、西遊記をモチーフにした作品を見ることがあったら玄奘三蔵と呼ぶようにしてほしい。
ちなみに筆者は、孫悟空が抜いた毛を自分に変化させる分身の術に憧れてマネをしたことがある。その結果は分身できるわけもなく、ただ頭がハゲるだけに終わった。皆さんはくれぐれもマネしないように!
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