2018年から「アーティスティックスイミング」に競技名が変わったことが記憶に新しい、シンクロナイズドスイミング。華やかな水着に身をまとった選手たちの演技は、優雅に見えて実際はとても激しいものだ。
そして激しいといわれて気になるのは、髪型の問題である。
シンクロ選手は演技と同じく見た目も大切なため、競技において水泳キャップは被らないのが普通だ。しかし水中であんなに激しい動きをしていては、せっかく綺麗にまとめた髪型もすぐに崩れてしまうのではないか。
いったいどんな高性能な整髪料を使っているんだ?
【スポーツ雑学】シンクロ選手の髪型が崩れない理由とは?
【雑学解説】シンクロ選手の整髪料は「ゼラチン」
以下の動画は2019年の世界水泳で行われた「アーティスティックスイミング・ハイライトルーティン決勝」での、ウクライナ代表の演技シーンだ。
選手がアップで映る冒頭などを見ると、綺麗にまとめられた髪に煌びやかな装飾がされているのがはっきりわかる。しかし激しい演技を見るとたしかに、ただ縛っただけでは、あっという間に髪型が崩れてしまいそうである。
何か整髪料を使って固めているには違いないが、ワックスやスプレーなどは水に溶けてしまう関係で使えない。では何を使っているのか? なんと「ゼラチン」である。
耳を疑った人もいるかもしれないが、まさにゼリーやグミなどのお菓子に使われている、あのゼラチンだ。そう、ゼラチンにはワックスやスプレー以上にものを固める力がある!
以下の動画でも、ラーメンをゼラチンで固める実験が行われているぞ! あまりおいしそうには見えないが…。
最近はコンビニでもこの原理を応用して、レンジで温めればスープが溶けるラーメンや、うどんが売られていたりする。まさにシンクロのヘアセットにも、この抜群の固め力をもったゼラチンが使われているのだ!
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ポイントは温めると溶けるという点で、シンクロ用のものも40℃で溶けるようになっている。40℃といえば丁度お風呂ぐらいの温度だ。つまりプールの水温では溶けないが、熱いシャワーを浴びれればすぐに洗い流せるのである。
まさにシンクロのためにあるといっても過言ではない性質だ!
ちなみにゼラチンの評判が広がるまではポマードを使うのが一般的だったが、案の定プールの水に油が浮いてしまう点が懸念されていたのだとか。たしかに油まみれのプールなんて絶対に嫌だ…。
【追加雑学】キャップを被るシンクロ競技もある
シンクロはテレビでよく見るルーティーン競技のほかに、フィギュア競技というものがある。フィギュアは音楽を使わず技の完成度を競う競技で、指定された水着に白いキャップを被って行う。競泳と同じような出で立ちということか。
音楽に合わせて演技を行うルーティーンでは装いも華やかな必要があるが、飽くまで技術の完成度だけなら、衣装は関係ないのだろう。
ルーティーンと違って報道されないので、一般的には認知されていないが、髪型も音楽も気にしない真剣勝負というのもまた違ったロマンがある。
雑学まとめ
シンクロ選手はワックスでもスプレーでもなく、水に溶けないゼラチンを塗ることで髪の毛をセットしている。髪の毛を触ったら、ゼリーのような感触がするのだろうか…などとちょっと想像してしまった。
何はともあれ、本来食べ物であるゼラチンをヘアセットに使おうと考えた人は天才ではないか。何か問題を抱えたとき、予想外のところから解決策が見つかる好例である。