60歳になる年は、「還暦(かんれき)のお祝い」の年である。この日には、赤いちゃんちゃんこを着せてお祝いするのがしきたりだ。
しかし、なぜ赤いちゃんちゃんこを着せるのだろうか? そもそも、なぜ60歳になったお祝いがあるのだろうか?
実はそれには、干支が関係している。
「還暦」の意味とともに、赤いちゃんちゃんこに関する雑学を見ていこう。
【生活雑学】還暦で赤いちゃんちゃんこを着るのはなぜ?
【雑学解説】60年目は「赤ちゃんに返る年」
「なぜ60年目は生まれ変わりの年になるのだろうか?」ということを説明するには、干支についてくわしく説明しなくてはならない。干支といわれると十二支を思い浮かべて、1周は12年と思う人は多いかもしれない。
しかし、干支は正確には十二支と十干(じっかん)を組み合わせたもののことをいう。
十干には、
- 甲(こう)
- 乙(おつ)
- 丙(へい)
- 丁(てい)
- 戊(ぼ)
- 己(き)
- 庚(こう)
- 辛(しん)
- 壬(じん)
- 癸(き)
の、文字通り10種類ある。
この十干と、「子・丑・寅…」でおなじみの十二支を合わせたものが、正確な干支なのだ。
たとえば、甲と子の年は「甲子」といった具合になる。この十干と十二支の組み合わせは、全部で60通り…つまり、1周するには60年かかるのだ。
ということは、60歳になる年は、自分が生まれた干支の年になる。自分が生まれた年の暦に還るから、「還暦」というわけだ。これが、「生まれ直し」すなわち「赤ちゃんに戻る」という考えにいきつく。
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【追加雑学①】なぜ「赤いちゃんちゃんこ」なのか?
さて、それではなぜ「赤いちゃんちゃんこ」を着せるのか。分かりやすく説明すると「ダジャレ」である。つまり「赤ちゃん」と「赤いちゃんちゃんこ」をかけたのだ。
先ほども説明したように、還暦は「暦が1周する=生まれ変わる=赤ちゃんに返る」というものだ。なので、「赤ちゃん」にかけて「赤いちゃんちゃんこ」を着せるようになったということになる。
ちなみに、近年では赤いちゃんちゃんこ以外に、「赤いもの」を贈ることが増えている。それでは、なぜ「赤いもの」なのか。それは、色の持つ意味が影響している。
昔から、「赤い色には魔よけの効果がある」と考える風習があった。神社の鳥居に赤い色が使われているのも、「赤=魔よけ」という考えからきているとされている。
生まれ直す還暦に、魔よけの効果があると考えられてきた赤いものを贈ることで、「さらに元気に長生きしてほしい」という気持ちが込められているのかもしれない。
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【追加雑学②】地域で違う還暦の祝い方
一口に「還暦」といっても、地域によって違う祝い方をするところもあるので、還暦にまつわるトリビアとして紹介しよう。
地域 | お祝いの仕方 |
北海道 | 米寿(88歳)のお祝いに赤いちゃんちゃんこを贈る |
群馬県 | 米寿で赤いちゃんちゃんこを着て、火吹き竹を配る風習がある |
北陸地方 |
還暦は厄年にあたるので、同時にお祓いをする 地域によっては、還暦祝いは節分から1週間の吉日としているところも |
長野県 | 赤いちゃんちゃんこではなく、赤い烏帽子(えぼし)をかぶる |
三重県 |
ちゃんちゃんこでなくても、赤いものを身に着けていればオッケー 厄払いをした後に、厄落としとして身に着けていたものを落とすという風習も |
このように、あなたの住んでいる地域は、実は定番の祝い方とは違うものだったということがあるかもしれない。
雑学まとめ
赤いちゃんちゃんこに関する雑学をご紹介してきたが、いかがだっただろうか。還暦というのは、干支が1周して生まれた時の暦の年に還るため、「生まれ変わって新しい命を授かる=赤ちゃんに返る」という考え方につながっている。
赤いちゃんちゃんこを着せるのは、「赤ちゃん」にかけたダジャレからきている。しかし、赤という色自体に「魔よけの効果がある」という考えがあるので、「これからも病気などなく元気に長生きしてね」という意味がこもっているのかもしれない。
現代では長寿の方が増えてきたので、「60歳はまだ若い」という考えの人もいる。しかし、暦が1周したことのお祝いに加えて日頃の感謝を伝えるためにも、還暦のお祝いはしていきたいものだ。