気温が高いとき、運動したときに人は汗をかく。ごく当たり前のことである。しかし、なぜ暑いと汗がでてくるのだろうか。
汗をかくと匂いが気になるし、女性であればメイクが落ちてしまう原因にもなる。滝のように汗が流れている人にはできれば近づきたくない。
かかないですむのならばかきたくない汗。暑いときに汗をかくのは一体なんのためなのか調べてみたので雑学としてご紹介しよう!
【人体雑学】暑いときに汗をかくのはなぜ?
【雑学解説】汗が乾くときに体の熱が奪われる
外気温が高いと、体内の熱も上がっていく。しかし、脳の温度まで上がってしまうと大変なことになる。生命を維持できなくなってしまうのだ。そこで、汗の出番である。人間は汗をかくことで体温を下げ、死を回避しているのだ。汗くさいとか思って申し訳ないことをした。
ではなぜ、汗をかくと体温が下がるのか。それは、汗が乾くときの仕組みに関係している。
液体が気体に変化するには熱が必要である。その熱を気化熱といい、この気化熱こそが汗をかくと体温が下がる要因なのだ。
物質が気化するとき、気化に必要なエネルギーは熱として物質に吸収される。つまり、汗が乾いて水蒸気に変わるとき、エネルギーとして体の熱を吸収していくのである。
汗をかくことで体内の熱を逃がして体を冷却するとは、人間の体はよくできている。
暑いのに汗が出ない場合は、体内に熱がこもって熱中症になるリスクが高まる。あまり汗をかかない人は要注意である。
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【追加雑学①】汗腺には2種類ある
汗は汗腺(かんせん)から出る。その汗腺が2種類あることをご存知だろうか。
1つはエクリン線。体温調節や緊張による汗・辛い物を食べたときの汗はこちらから出る。99%が水分で、匂いはほとんどしない。ただし、汗が蒸発するたびに、衣類には匂い成分が蓄積されていくため、時間が経つと多少の汗くささを感じるようになる。
もう1つはアポクリン腺である。異性を意識したときや性的に興奮したときにはこちらから汗がでる。エクリン線が全身に分布しているのに対し、アポクリン腺はわきの下やへそ・肛門・性器周りなど部分的に存在している。
脂質や鉄分・アンモニアなどを含んでいるため、アポクリン腺から出る汗は匂いが強い場合が多い。そこには異性を引きつけるフェロモンとしての働きもあるのだ。
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【追加雑学②】いい汗と悪い汗の差は「塩分」にある
「いい汗をかく」という表現がある。汗にいいも悪いもあるかい! と思っていたが、実はあるらしい。
いい汗とは、粒が小さく味がしない、水分のみが出ている汗をいう。それに対して、粒が大きくしょっぱい汗は悪い汗である。
汗が作られるとき、一度は汗の原液のような塩分濃度が高いものが作られる。しかし、それをそのまま出してしまうと、体内の塩分が失われて体内の塩分濃度のバランスが崩れることになる。
それを防ぐため、汗の原液から塩分を取り戻した後、汗として体外に排出する。そうすることで汗の塩分濃度は低くなり、サラサラとしたいい汗をかくことになるのだ。
しかし、一度に大量の汗をかいてしまうと、塩分の再吸収がうまくいかないことがある。そうすると塩分濃度が高いままの汗が出てしまうのである。
塩分の多い悪い汗は、乾いたあともベタベタしてしまうことが多い。蒸発にも時間がかかるため、雑菌が繁殖して匂いが出ることもあるのだ。
悪い汗が出る原因には、汗腺の機能の低下や老化もある。あまり汗をかかない生活が長く続くと、汗腺の分泌機能がおかしくなってしまう場合があるのだ。
そのため、日ごろから繰り返し汗をかいて汗腺の機能を維持しておくことが、いい汗をかくことにつながるのである。
【追加雑学③】動物も汗をかく
汗腺をもっているのはほ乳類だけである。そう、人間以外の動物も汗をかくのだ。
たとえば犬。犬のエクリン線は足の裏の肉球にある。肉球はただかわいいためだけに存在しているわけではないのだ。
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また、全身にあるアポクリン腺からも発汗していることがわかっている。ただ、犬の発汗は体温調節というよりもマーキングの意味合いが強いそうだ。
それに対し、馬は人間と同じように体を冷やすために汗をかく。汗で体を冷やすことができるからこそ、速く長く走ることができるのである。
雑学まとめ
今回は汗についての雑学を紹介してきた。ダラダラと流れてくる汗をわずらわしいと思うこともあったが、非常に反省している。熱中症でつらい思いをするくらいなら、汗をかいた方が100倍ましである。
気化熱という言葉を過去に学習した記憶はあるが、自分の体にここまで密接に関わっているとは思いもしなかった。
また、汗をかかないことで汗腺の機能が衰えることに驚いた。ふだんほとんど汗をかかない生活をしている身としては非常に耳が痛い。すでにだいぶ汗腺が退化していそうである。
運動して眠っている汗腺を叩き起こし、いい汗をかけるようになりたいものだ。