皆さんは願い事といえばどんなときにするだろうか。新年の初詣だったり、なにか困ったことがあったときだったり、その状況は様々だろう。
だが、日本には皆がこぞって願い事をする一大イベントがある。そう「七夕」だ。織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)の切ない恋物語に思いをはせて、色んな人が願い事をする。
筆者も子供の頃は、七夕の日に短冊に願い事を書いて笹の葉に吊るしていた(ゲームがほしいみたいなくだらない願いだったが)。大人になった今では短冊までは用意しないが、毎年、夜空を眺めながらロマンチックな気分に浸っている。
そんな「七夕」だが、ふと疑問に思うことがあった。どうして「七夕」とかいて「たなばた」と読むのだろう。普通に読んだら「ななゆう」「しちゆう」ではないだろうか? 語呂は悪い気がするが。
独特な読み方をする漢字はたいして珍しくもないが、なにか由来があったら面白い。気になったので、今回はこの雑学について調べてみた!
【生活雑学】「七夕」とかいてどうして「たなばた」と読むのか
【雑学解説】「たなばた」という読みは中国と日本の伝説があわさった結果
調べてみると「たなばた」という読みは、中国と日本の伝説があわさったことで、そんな読み方になったそうだ。本来は「七夕(しちせき)」と呼ばれる行事らしく、「夕」とかいて「せき」と読むことも初めて知った。そこからどうして「たなばた」になったのか。それを説明するために2つの伝説を紹介しよう。
1つ目は皆さんもご存知の「織姫と彦星」の伝説だ。これは中国由来の伝説。彦星は、中国では「牽牛(けんぎゅう)」と呼ばれている。話の内容は天帝(神様)の娘である織姫と、働き者の牽牛の恋物語だ。
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はた織り(布を作る仕事)が得意だった織姫は、仕事に夢中なあまり、恋の経験がなかった。それを不憫に思った天帝は、真面目だった牽牛との結婚を勧める。織姫と牽牛は晴れて結婚し、とても仲の良い夫婦となった。
だが、あまりに仲が良すぎて、毎日天の川のほとりでおしゃべりばかりしていた。すると、仕事をしなくなった2人に怒った天帝が、2人を引き離し、年に1回、7月7日にしか会えないようにしたのである。
諸説あるが、これが一般的に七夕で語られる中国の伝説だ。これが日本に伝わったころ、なんと偶然にも7月7日にまつわる別の伝説があった。それが「棚機津女(たなばたつめ)」の伝説である。
毎年、7月7日には神様が訪れる。そのため、村では1人の女性が選ばれ、7月6日から7日にかけて神様に捧げる布を作らなければならない。一夜をかけてはた織りをした女性は、完成した布と一緒に神様に捧げられ、女性自身も神様となる。
これが「棚機津女」の伝説だ。もうおわかりかと思うが、「織姫と彦星」にも出てきた「はた織り」だったり、「7月7日」だったりと共通点がある。
つまり、「たなばた」とは本来は「たなばたつめ」のことなのだ。似た要素のある2つの伝説が混ざってしまい「七夕」は「たなばた」と呼ばれるようになったらしい。たしかに筆者も、その時代に生きていたなら勘違いしそうである。
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【追加雑学】北海道では七夕の行事を8月に行っている地域が多い
7月7日に関する2つの伝説を紹介したが「え? 七夕は8月じゃないの?」と思った人がいるかもしれない。筆者には北海道の友人がいるのだが、7月に七夕の話題を出したところ、驚かれたことがある。そう、北海道では七夕の行事を8月に行う地域があるのだ。
その理由は簡単で、七夕を含めたさまざまな行事を旧暦に行っていたときの名残である。旧暦とは中国から伝わった暦(こよみ)のことだ。旧暦では新暦より1ヶ月遅れるため、たとえば中国の正月は新暦の2月になる。
日本が現代でも使われている新暦を採用したのは明治時代。そのときに、季節行事を旧暦で行う地域と、新暦で行う地域で分かれたそうだ。
北海道ではすべての地域ではないが、旧暦の七夕を続けているので、七夕といえば7月7日ではなく8月7日なのである。全国でも住んでいる地域によっては、7月7日以外の日付でやっている場所があるそうだ。もし、自分とは違う地域出身の友人がいれば話題にしてみてほしい。
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雑学まとめ
今回は七夕にまつわる雑学を紹介した。古くからある伝説でも、今に伝わるまでに色々と勘違いだったり、なにかと誤解したりで、変化をしているのは面白い。これからも、そういった伝説や特別な読み方をする言葉があれば、由来を調べてみようと思う。
さて最後に、筆者がこれから毎年、短冊に書きたい願い事を思いついたので紹介したい。
「読者の皆様に幸せが訪れますように」