戦争には作戦がつきものだが、第二次世界大戦のアメリカほど珍妙な作戦を出したところはないかもしれない。当時日本と戦っていたアメリカでは、日本人の戦闘意識を無くすために、ある信じられない作戦が提案された。
それが、「富士山を真っ赤に染める」という作戦だ。しかも、それが採用されていたのだから驚きである。実際にこの作戦が実行されていたら、日本にとってそれなりに精神攻撃ができていただろう。
今回は、ちょっとしたギャグに思える作戦に関する雑学を紹介していこう。
【歴史雑学】第二次世界大戦中、アメリカの作戦で「富士山を赤く染める」という案が採用されていた
【雑学解説】スケールの大きな幻の精神攻撃
アメリカ軍には様々な組織があり、富士山を赤く染める作戦を提案したのは、CIAの前身であった「OSS(戦略情報局)」という組織だ。この組織内にある「神経戦部」という部隊では、主に科学者たちによる心理作戦が考案されている。
1945年(昭和20年)、日本に対する心理作戦の会議がアメリカ軍指令部で行われていた。そこで、OSSの科学者が「ペンキで富士山真っ赤作戦」を提案したのだ。その理由は以下の通り。
「日本人は富士山をとても愛している。その富士山を真っ赤にしてやれば、日本人の士気は下がる!」
これを大真面目に提案していたのだから驚きだ。このスケールの大きさは、なんともアメリカらしい。
指令部も「それは良い作戦だ!」と賛同したため、作戦は採用されて実行へと向かった。
だが、そこで問題が発生。OSSの科学者の1人が、実際に使うペンキの量を計算したところ、予想以上に大量のペンキが必要となることが判明。富士山はアメリカ軍が思った以上に大きすぎたのだ。
上層部の判断により、即座に「富士山ペンキで真っ赤作戦」は中止となり、今でも富士山は美しい景観をとどめている。
今では笑い話となっている作戦だが、もしも実行されていたら、富士山の景観は台無しになっていたことだろう。個人的には、富士山を台無しにされたら、士気を下げるどころか「アメリカ…許さない…!」となりそうな気がするが…。
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【追加雑学】実際に富士山をペンキで赤く染めるには
この作戦が却下されたのは、あまりに現実性のないペンキの量や運搬にかかる費用が原因だった。それでは、実際に作戦を実行するとしたら、どれくらいの物量が必要になるのだろうか?
富士山をペンキで真っ赤に染めるとしたら、必要なペンキの量は約12万トン。さらに、運搬するB29は3万機ほどが必要になる。
そして、B29はマリアナ諸島に基地を置いており、日本まで12万トンほどのペンキを運ぶには1機に約200万円ものガソリン代がかかってしまう。必要なB29は3万機ほどなので、合計でガソリン代だけでも約600億円となる。
アメリカ軍は日本軍に比べて物量はあるものの、富士山を染めるためだけにそこまでのお金やB29を使うことはできないと判断したのだろう。現実的な判断だ…。
雑学まとめ
第二次世界大戦中、アメリカは富士山をペンキで真っ赤に染めようとしていた…! という雑学をご紹介した。もしも実行されていたら、士気を下げられたかもしれないし、逆に日本人がさらに怒って「絶対に許さない!」となっていたかもしれない。
あまりにも富士山が大きく、さらに莫大な費用もかかることから、なんとかこの作戦は却下された。
富士山を真っ赤に染めることができるのは、赤い夕陽だけで十分だ。
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