今や世界に名を馳せるようになったアパレルメーカー・ユニクロ(UNIQLO)。シンプルで覚えやすいこのユニクロという名前が決まった経緯には、一風変わったおもしろいエピソードが隠されている。
知っているとつい友だちに話したくなるような、そんな内容の由来。柳井社長の柔軟な思考を物語るこの逸話が、今の洗練されたユニクロにも通じている。
今回はそんなユニクロに関する雑学を紹介しよう!
【面白い雑学】「ユニクロ」の名前の由来とは?
【雑学解説】「ユニクロ(UNIQLO)」の社名は書き間違いから生まれた
ユニクロの創業は1949年のこと、山口県宇部市にあった前身となる店舗「メンズショップ小郡(おごおり)商事」から始まった。
終戦によって中国・満州から帰国した柳井等さんが、兄の柳井政雄さんから小郡商事(現・ファーストリテイリング)の繊維・洋服部門を任され開店したもので、現在とは異なる紳士服中心のお店だった。
そこから現在の男女兼用(ユニセックス)の衣料品店に方針を変えたのが1984年のこと。同年、柳井等さんが小郡商事の社長にも就任している。
ユニクロという名前もこのときに考えられたもので、新形態の1号店として開店した「UNIQUE CLOTHING WAREHOUSE」という店舗名の略称が元になった。
これについてはユニクロも公式サイトにて以下のように解答している。
ユニクロ(UNIQLO)というブランド名は、「ユニーク・クロージング・ウェアハウス(UNIQUE CLOTHING WAREHOUSE)」を略したものです。
「ユニーク(独自の)」「クロージング(衣類)」「ウェアハウス(倉庫)」。
『ほかでは買うことのできない良いカジュアルファッションを、お客様が自由に選び買うことができる』ブランドという意味です。(出典:お問い合わせ・お客様の声の活用)
なるほど、服選びの自由度の高さを謳ったブランド名ということか。まさにユニクロのイメージにぴったりである。
しかし…このときの店舗名をよーく見てほしい。"UNIQUE CLOTHING"の略称ならば本来は"UNICLO"のはずだ。
それがなぜ"UNIQLO"になったかというと、きっかけは1988年に柳井社長が香港で現地法人を設立したときのことだった。
このとき会社登記の書類にブランド名の略称が"UNIQLO"と間違えて記入されており、これを見た柳井社長は、怒るどころか「CよりQのほうがカッコイイ!」と気に入り、そのまま採用してしまったのだ。
たしかに"UNICLO"より"UNIQLO"のほうが、ひねりが効いていてオシャレな感じがする! 普通は「大事な書類なんだから気を付けてよ!」となるところを、いかにも柔軟な対応である。
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ユニクロのロゴマークの由来は「日本の誇り」と「ベンチャースピリッツ」
ユニクロは2006年のニューヨーク出店に際し、アートディレクターの佐藤可士和さんに依頼してロゴデザインの変更を行った。現在の赤いロゴマークは、このときに採用されたものだ。
佐藤さんは以下のような点を挙げ、ロゴの一新と同時に、新天地へ展開されるユニクロのイメージをもう一度見直していくべきだと提案。
- 赤は日本を代表する色(赤と白で日の丸)
- 赤は新規事業へ踏み込んでいくベンチャースピリッツを象徴する色
結果、ロゴマークの色が赤に変更されるにいたったわけだ。
「あれ…? 昔から赤じゃなかった?」と思った人もいるかもしれない。以下のツイートをよく見てほしい。昔は赤じゃなくてワインレッドである。
https://twitter.com/ryunadouga/status/1135205293871124480
ツイートの左と、右上のものが旧ロゴマーク。よく見るとフォント体まで一新され、一気にハイセンスなイメージになっていることがわかる。
ユニクロの低迷期を救ったブランドイメージの一新
実はこのロゴ変更が行われる少し前のこと、ユニクロは始まって以来の低迷期に陥っていた。佐藤さんはそんな危機に瀕したユニクロの立て直しを担った一員なのである。
そもそもユニクロは80~90年代にかけて、郊外の幹線道路沿いに出店するロードサイド店を中心に成長してきた企業だった。
90年代後半からは、日本のデフレ市場に乗っかり「とにかく安さで勝負」する方針を展開。当時アウトドアブランドでは1万円は下らなかったフリースを1,900円で売り出すなど、デフレで財布のひもが固くなっている顧客のハートをがっちり掴んでいく。
この戦略は当時こそよかった。しかし…その影響で車で来るファミリー向けのお店というイメージが定着し、若者からの"なんかダサい"という印象が徐々に足を引っ張るようになってくるのだ。ワインレッドで渋みのあるロゴも、その"なんかダサい"イメージに拍車をかけていた。
このイメージを一新したのが2006年のことで、佐藤さんは、ロゴと同時にCMやWEBサイトなど、ブランドイメージを構築しているものすべてを改変していったという。
こうしてユニクロは"安いけどなんかダサい"から、"安くてオシャレ"へと変貌を遂げていったのである。
以降、海外事業が波に乗り、2019年時点で海外21ヵ国、1,379店舗を展開するまでになったユニクロ。2006年には海外店舗がわずか30店舗だったことからも、このときのイメージ一新の影響力を思い知らされる。
ちなみに…実は古いロゴも、当初は正真正銘の赤でデザインされたものだったという。ワインレッドになっていたのは、なんと「いつの間にかそうなっていた」からだといい、柳井社長も理由はわからないのだとか。…誰だよワインレッドにしたの…。
以下は2020年版のユニクロのCM。現在も洗練されたイメージのまま躍進中である!
【追加雑学】Googleの名前の由来も…?
実は綴り間違えから社名が決まった有名企業はもうひとつある。みなさんご存知Googleである。
1996年に新しい検索エンジンを開発したスタンフォード大学のラリー・ペイジとセイゲル・ブリンは、googol(グーゴル)という数の単位にちなみ、開発した検索エンジンに「Googol」という名前を付けるつもりでいた。
ところがgoogol.comと書くべきところを、google.comと綴りを間違えてしまい、検索エンジンの名前もGoogleに落ち着くことになったのだ。
開発の激務で疲れていたとか? でもGoogleのほうがなんか語感がいい気もするし、結果オーライである。
ちなみに元になったgoogolという単位は、アメリカの数学者エドワード・カスナーが1940年に出版した『数学と想像力』という書籍にて紹介されたもので、1グーゴルは1の後に0が100個連なっている数字。つまり10の100乗である。
カスナーはこの出版より20年ほど前に、この数字にぴったりの名前を求めており、当時9歳だった甥ミルトンの案だったgoogolを採用したのだという。なにか新しい物事の命名を発想豊かな子どもに頼ってみるというのは名案である。
ラリー・ペイジとセイゲル・ブリンはこのgoogolという膨大な単位に、「膨大な情報のなかから、必要な情報を見つけ出す」という意味を見出し、自らの検索エンジンにその名前を付けようと思ったわけだ!
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ユニクロの雑学まとめ
今回はユニクロの社名についての雑学をお届けした。
綴り間違えのようなケアレスミスから偶然、妙案が生み出される例というのは、実はけっこうある話なのかもしれない。特にセンスのある企業名というのは、考えてもなかなか出せるものではなさそうだし…。
ユニクロやGoogleに関しては、神様が「こっちのほうがいいよ!」と示していたのかも?