「キモい」や「ダサい」などは若い子たちがよく使う言葉だ。なかでも大人たちから「日本語の乱れ」と嘆かれる言葉として、しばしば槍玉にあがる一言、「うざい!」。
「うざったい」が縮まった言葉である「うざい」、若者言葉によくある略語だと思っている人が多いのではないだろうか。
ところがこの言葉、ただの若者言葉ではなかったのだ。今回はそんな「うざい」に関する雑学をご紹介するぞ!
【面白い雑学】「うざい」はもともと八王子や青梅の方言?
【雑学解説】「うざい」は多摩弁!
「彼氏がしつこくてうざい」
「前髪が伸びてきてうざったい」
すっかり生活に定着している「うざい」「うざったい」という言葉。実はちゃんと辞書にも載っている。辞書に載るだけで、「ちゃんとした日本語感」が出るから不思議だ。
新明解の国語辞典ではこんな感じ。
うざい・うざったい
- うっとうしくて目障りな様子。
- たまらなく不快な感じがして、そばに近寄るのも嫌な様子。
あまりいい意味ではないこの言葉は、主に若い子が使っているイメージが強い。気だるそうな女子高生や、反抗期の少年が目に浮かぶ。そのため若者言葉だと思われがちだ。
だが、「うざったい」もその略語「うざい」も多摩の方言。植物が邪魔なほどわんさか生えている様を表した「うざってる」「うざっしい」が語源だ。
昭和40年代後半からじわじわと東京23区内に伝わり、「むかつく」と同義の若者言葉となったのである。昭和40年代後半といったら1970年代、50年も昔の話だ。それほど前から今のような使い方をされていたとは…。
「うざい」はわりと最近の言葉かと思いきや、かなり歴史のある言葉だったのだ。流行り廃りの激しい若者文化のなかで、もはや「標準語」のように染みついてしまっているのである。
かつての多摩の方言が、50年前から若者言葉として使われ続けているなんて。言葉の文化は不思議でおもしろい。
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【追加雑学①】他にも!方言から常用語になった言葉たち
実は多摩弁だった「うざい」のように普通に使われているが、実は昔方言だった言葉がほかにもたくさんある。その一部を紹介しよう。
- 「〜じゃん」→甲州
- 「ちがかった」「ちがくて」→福島・栃木
- 「まったり」→京都(広まったきっかけは、なんと「おじゃる丸」)
- 「したっけ」→東北
- 「めっちゃ」→関西
- 「ばり」→西日本
「うざい」もそうだが、若者言葉と呼ばれるものが多い。若い子たちこそ言葉に敏感で柔軟に受け入れやすいのかもしれない。
【追加雑学②】「ダサい」の語源は本当に「埼玉」?
「うざい」とともによく使われる、似たような言葉として「ダサい」がある。調べてみたらこちらも辞書に載っていた。
ださい
服装や身のこなしなどが、見るからにやぼったく感じられる様子。
垢抜けないやつを揶揄する言葉で、「いもっぽい」と同義。こちらも「うざい」と同じ頃、昭和40年代後半に関東の若者を中心に広まった言葉だ。
この「ダサい」だが、語源は埼玉にあるのではないかという説がまことしやかに囁かれている。
東京都民が埼玉県民を馬鹿にして言った「だって埼玉だから」を略して「ダサい」になったというものだ。この「だって埼玉説」、本当なのだろうか…。
実は「ダサい」の語源は定かではない。「だって埼玉説」ももちろん語源候補として有力なのだが、他にもいくつかの候補がある。
- 「田舎」を「だしゃ」と読んだ説(「田舎っぽい」→「だしゃい」→「ダサい」)
- 「どんくさい」が縮まった説
- 暴走族で使われていた言葉説
などの説があるのだが、どれが本当の語源なのかはわかっていないのだ。
ちなみに、もっとダイレクトな「ダ埼玉」という言葉も存在するが、こちらは1980年代にタモリが作った造語である。
雑学まとめ
今回は「うざい」の語源についての雑学を紹介した。
今では当たり前のように全国で使っている言葉が、実は一部の地域で使われていた方言だったとは驚きだ。
意外と多い方言由来の若者言葉。方言は「ダサい」のではなく、案外「新しい」のかも。私たちが何気なく使っている言葉も、いろんな土地の個性豊かな方言のうえにあるのだ。
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