今や世界中で、その地域の有名なワインを楽しめる時代になった。前菜の時にはロゼ、肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインなどオシャレに食事を演出するワイン。
自分は飲まなくても、知り合いのお誕生日プレゼントやパーティの時の手土産として買う人も少なくない。そんな時に手にとるワインボトルで、ふと「この底のくぼみって何?」と思った人も多いだろう。
実はワインボトルの底にあるくぼみがワインをさらに美味しくしているのだ。というわけで今回の雑学記事では、ワインボトルのくぼみの秘密について紹介していくぞ!
【食べ物雑学】ワインボトルの底がくぼんでいる理由とは?
【雑学解説】ワインボトルのくぼみには様々な工夫があった!
ワインボトルの底のくぼみは英語でPunts(パンツ)と呼ばれ、グラスにワインを注ぐ時に親指を入れて支えやすいようにといわれていたり、もしくはワインの量をケチるために上げ底にしているという雑学を信じている人もいる。
しかし、本当の理由は違う。
ではワインボトルの底のくぼみには、どんな秘密があるのだろうか…?
味を良くするための工夫
ワインはボトルの中で、日々熟成を行っている。この熟成が続くと、タンニンやポリフェノールなどの成分が結晶化し、ボトル内にたまってくる。ようするに沈殿物のことだが、これを「澱(おり)」と呼ぶ。
ワインを保存しておくと、この澱がくぼみに沈んでいく。そうなることでワインを注ぐときに、澱がくぼみに留まっているため、そのままグラスに入ってこない。
そもそも澱があるおかげで上澄み液の美味しいワインを飲めるのだが、この澱が入ると舌ざわりが悪く、苦みがあったりするので、それを避ける役割を果たしている。
動画を見たらわかるように、このワインショップオーナーも、親指をくぼみに入れたりしていない。
ワインをグラスに注ぐときは澱を入れないために、ドボドボと注がずにゆっくり注ぐのが良い。そして最後にちょっとひねりを入れて、したたりがないようにするとオシャレ!
このように、なるべく澱が入らずに口当たり・喉越しが良いワインを飲めるように、このくぼみは存在しているのだ。
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ボトルにかかる圧力抑制の工夫
ワインをボトリングする時にボトル内では、ガス圧が生じている。ボトルの中のワインとコルクの間で、相当強い圧力がかかっていて、その圧力がぐいぐいワインを下に押し出そうとしている。
目に見えないボトルの中で、こんな戦いがあっているとは驚き!
底面が平らだと圧力の加わる面が増えて、どうしてもボトルの強度が減ってしまう。そこでくぼみをつけてガスの圧力に耐えられるようにすることでボトルの強度をあげているのだ。
実際に以前アマチュアのワインメーカーから、「自作でワイン作ったから、飲んでみて。」と普通のくぼみなしのボトルワインを手渡されたことがある。
興味深くコルク栓を開けたとたん、ボトルの底が完全に抜けてしまい、味わうどころかワイン全部がダメになった経験がある。これくらいボトル内のガス圧は大きいものなのだ。
保管しやすくするための工夫
以上のようなガス圧に耐えているボトルを保管したり陳列する場合、やはり底面がべったりとテーブルや床につかない方が壊れにくくなる。
ボトルを手作りしていた時代は、底の部分がきっちりと水平にはできなかったため、テーブルに置いたときにぐらつくことがあった。そのぐらつきを防ぐためにくぼみを入れ、均等にボトルが立つようした。
これはワインボトルを飲む数日前から立たせることで、ゆっくり澱を底に沈殿させ、ワインの状態を良くするためにも一役買っているといえる。
「ワインボトルのくぼみ」の雑学まとめ
ワインボトルのくぼみについての雑学、いかがだっただろうか。ワインボトルにくぼみをつけることは、ワインが美味しく飲めるように、そしてガス圧に耐える強度を備えるための工夫だった。
だが全てのワインに澱が発生するとは限らないし、たとえ澱を飲んだとしても一切人体に危害はないので、安心して欲しい。しかし、澱が底にたまった状態のワインボトルを揺らしたり、倒したりするとせっかくの沈んだ澱がまた混ざってしまうので台無しに。ワインは恋人のように大切に扱おう。
それに「もったいないから、ボトルの最後の1滴まで!」と注いでしまうと澱だらけのワインを飲むことになるので、これもおすすめしない。つまりワインを飲むときは、ちょっと贅沢に! ってことなのだ。
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