キツツキといえば、木をつつく行動が特徴的な鳥である。英語ではWoodpecker。Woodは木で、peckerはつつくだから、外国人にとっても呼び名のニュアンスがほとんど同じだということがわかる。
彼らのキツツキという呼び名は、もはや世界共通といってもいいだろう。…しかし、キツツキという名前の鳥は、実は日本には存在しないという耳を疑う噂を聞きつけた。
これほどお馴染みの名前なのに、一体どういうことなのだろうか? 今回はそんな、日本のキツツキの呼び名に関する雑学を紹介しよう。
【動物雑学】「キツツキ科」は存在するが、日本には「○○キツツキ」という鳥はいない
【雑学解説】日本いるキツツキは○○ゲラという名前である
キツツキは歌人・石川啄木のペンネームの由来にもなっており、日本でもポピュラーな鳥として知られている。
しかし、日本に生息しているキツツキは、「アオゲラ・アカゲラ・ヤマゲラ・コゲラ・クマゲラ・キタタキ・アリスイ」…など、名前だけを聞くとキツツキとはわからない鳥ばかりだ。
海外には「ズアカキツツキ」や「シルスイキツツキ」など、名前がキツツキになっている鳥はちゃんといるが、日本の鳥で名前にキツツキという言葉が入った鳥は存在しない。
キツツキという言葉は明らかに日本語なのに、これはいかにも不自然である…。一体どうしてなのだろうか?
キツツキという名前よりもゲラという名前の方が古い
現在はキツツキという名前がポピュラーだが、元々キツツキは「けらつつき」という名前で呼ばれていた。
キツツキという呼び名が一般的に使われるようになったのは、江戸時代に入ってから。そのころにはすでに、けらつつきの一種を表す、アカゲラやアオゲラという呼び名が浸透していた。
つまり、彼らを総称するキツツキという呼び名は後付けで、それが定着しても、正式名称の「〇〇ゲラ」という呼び名が変わることはなかったのだ。よって日本には「○○キツツキ」という鳥がいないのである。
この点を踏まえれば、海外にだけ「○○キツツキ」という種類がいることにも合点がいく。日本人が海外のキツツキの存在を知るのは、キツツキという呼び名が国内に定着した後だからだ。
ちなみに、けらつつきのけらとは虫のことで、虫をつついて食べる鳥という意味だと考えられている。語感の近さから、キツツキは「木をつつく」という意味ではなく、けらつつきが変化した名前だとする説もあるという。
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【追加雑学①】キツツキの背中にイタチが乗った写真が撮影されたことがある
キツツキが背中に小さなイタチを乗せた、驚きの写真が撮影されたことがある。写真はロンドンで撮影されたもの。以下の動画にそのときの写真が紹介されているぞ!
写真のイタチはキツツキよりも明らかに小さいため、子守りをしているようにも見える。実際に背中に乗せて運んでいる場面を想像すると、まるで童話の世界のようでほっこりさせられるが…。
キツツキはイタチに襲われていた…?
ほっこりしたところに水を差すようだが、実は写真のイタチは、キツツキを捕食しようとしている。イタチは非常に狂暴な動物で、自分より大きな動物でも平気で襲い掛かるのだ。
イタチの仲間のクズリは、大きなクマにも平気で襲い掛かり、背中に飛び乗って殺した例も報告されている。ちなみに、世界一怖いもの知らずの動物として、ギネスに認定されているラーテルもイタチの仲間である。
「子供のイタチがそんなことをするものか」と思うかもしれないが、写真のイタチはイイズナという小さな種類で、このサイズでも立派な成獣だ。イイズナは日本にも生息しており、妖怪の一種・管狐(くだぎつね)の元になったとされている…。妖怪にたとえられるほど、凶暴だというのか…。
写真が撮影された後、キツツキはイイズナを振り落として必死に逃げていったそうな。また実際、イイズナがキツツキを仕留めた写真も存在する。…ほっこりとはかけ離れた場面だったわけだ。
とはいえ、貴重で面白いシチュエーションの写真ではある。ネットでも話題になり、さらに加工されたコラ画像も多い。「キツツキ イタチ」で検索すると、イイズナの背中に人間が乗った面白画像なども見ることができるぞ!
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。キツツキより「○○ゲラ」という呼び名が先だったということは、キツツキという名前の鳥が日本にいない根拠としては有力だ。けらつつきから変化したかもしれない…という説も、定かではないものの説得力があるものだった。
とはいえ、キツツキは日本語なのに、そういう名前の鳥が外国にしかいないのは、不思議というか、なんだか妙な気分である。