地球上には、生物の血液を吸い取る吸血生物が存在する。中には食事のために血を吸っているわけではない生物もいるが、ほとんどの吸血生物は血液を食料にして生きている。
吸血生物の中でも有名なのが、吸血鬼のモデルといわれることも多い吸血コウモリだろう。吸血コウモリは、ナミチスイコウモリの俗称だ。
実は吸血コウモリはいないといわれることがある。一体どういうことなのだろうか? 吸血コウモリと呼ばれるナミチスイコウモリについての雑学をご紹介しよう。
【動物雑学】吸血コウモリは存在しない?
【雑学解説】吸血コウモリは傷口から流れる血を舐めるだけ
吸血生物は生物に噛み付いて、血を吸い取る生き物のことである。蚊やヒルなどが有名だろう。吸血生物は、生物の体に傷をつけても痛みを感じさせないを物質を分泌して、相手に気づかれずに血を吸うのである。
蚊やヒルと同様に吸血生物として有名なのがコウモリだろう。しかし、実は血を食料とするコウモリはほとんど存在しない。
だが、吸血鬼ドラキュラがコウモリに変身したりと、コウモリは血を吸う生き物なのだ! というイメージがかなり強くなっている。
コウモリの中でも、血を食料としているものはナミチスイコウモリという。
しかし、この吸血コウモリは、普通の吸血生物や映画の吸血鬼のように獲物に噛み付いて血を吸うことはできないのだ。吸血コウモリは主に家畜や野鳥を狙い、獲物の血管に傷をつけて出血させる。
そして、流れ出た血を舐めることで、血液を飲むのである。吸血コウモリは痛みを感じさせない物質を獲物の体内に入れて、血が流れていることを気づかせずに飲むことが可能だ。
普通の吸血生物のように、血管から直接血を吸い取ることはできない。流れ出た血を全て飲めるわけではないので無駄も多いようだ。
一応、吸血コウモリも吸血生物の一種と考えられることが多い。ただし、吸血生物は特殊な能力を使い、血管から血を吸いだすことができる。しかし、コウモリは流れ出た血を舐めているだけなので、吸血をしないと発言する専門家も存在するのだ。
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【追加雑学①】吸血コウモリの糞から人間のDNAが見つかったことが話題に
吸血コウモリは、通常は野鳥や家畜を襲って血液を摂取している。そのため、糞からは家畜や野鳥のDNAが検出される。しかし、吸血コウモリの糞の中から人間のDNAが見つかったことが話題になった。
これは、吸血コウモリが人間の血を摂取した証拠である。吸血コウモリが人間を襲ったという報告はないので、どうやって血を摂取したのかわからない。
人間の手による森林伐採で、吸血コウモリの獲物になる野鳥が減少している。そのため、吸血コウモリは新たな獲物を求めて、普段は襲わない動物を獲物として狙うようになったと考えられている。その対象に人間…も含まれているのだろうか。
吸血コウモリは、人間が寝ているあいだに血を飲む可能性が高いという。そうはいっても、人間がコウモリのせいで失血死する可能性は非常に低い。
しかし、伝染病を媒介する可能性が指摘されており、吸血コウモリはかなり危険な生物のようだ。
【追加雑学②】吸血コウモリの唾液から脳卒中の薬が作れる?
吸血コウモリは獲物に傷をつけても痛みを感じさせない物質を分泌しているが、血液の凝固を抑制するタンパク質「デスモテプラーゼ」も唾液に含まれているという。
このデスモテプラーゼのおかげで、吸血コウモリは大量の血液を摂取することができるのである。
血を奪われる側にとっては非常に厄介な物質だが、科学者はこのタンパク質を研究することで脳卒中の薬を開発しようとしているらしい。デスモテプラーゼには血栓を溶かす効果が期待できるからだ。
人間に被害が出始めているかもしれない吸血コウモリだが、意外な形で人間にとって有益な存在になる可能性もある。
雑学まとめ
今回の雑学では、吸血コウモリと呼ばれるナミチスイコウモリについてご紹介した。
吸血コウモリと吸血鬼のイメージが強烈に結びついたのは、ドラキュラの小説や映画の影響と考えられる。
ナミチスイコウモリの食事の痕は、普通の吸血生物よりも傷口が生々しくなる場合もあるようだ。しかし、コウモリすべてが吸血鬼の代名詞のようになってしまっていることはかわいそうである。
また、吸血コウモリの特性を活かした薬が研究されていることは驚きだ。人間を襲うかもしれないコウモリが人間を救うというのはなんだか感慨深い。
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