伊藤美誠(いとうみま)や張本智和(はりもとともかず)など、日本の卓球界は10代の若い選手が多く誕生し、かつてない盛り上がりを見せている。
そのせいなのか、オリンピックはもちろん、卓球の世界大会などがテレビで放送される機会も多くなった。卓球の試合を観ていると何より驚かされるのが、選手同士で繰り広げられる壮絶なラリー戦だ。そのあまりの速さにいつも度肝を抜かれる。
この高速ラリーが継続する理由のひとつに、じつはボールの大きさが関係している。この記事では、ラリーを長く継続させるためにボールのサイズが変更された雑学についてご紹介する。
【スポーツ雑学】2000年に卓球ボールが大きくなった理由とは?
【雑学解説】卓球のボールが大きくなったのはラリーを長く続けるため
卓球の醍醐味のひとつに、選手同士の壮絶なラリーの応酬が挙げられる。相手の隙を見逃さず打ち込んだボールが、時に壮絶なラリーに発展することがある。その応酬は観客にとって非常に見ごたえがあり、卓球の醍醐味のひとつだ。
じつはラリーが少しでも続くように、2000年にボールの大きさが変更されていたことをご存知だろうか。変更される前のボールは、直径が38ミリ・重さは2.5グラムだったが、変更後は、ボールの直径は40ミリ・重さは2.7グラムとなったのだ。
サイズが変更されたのは、卓球の醍醐味ともいえるラリーの応酬を長続きさせることにあった。ボールのサイズを大きくすることによって、ボールに加わる空気抵抗を増やし、ボールのスピードを抑えて、ラリーをより長く継続するように工夫したのである。
またテレビで中継する際にも、ボールが見やすくなる利点も考慮されたようだ。現在の壮絶なラリーの応酬が見られるのは、2000年にボールのサイズが変更されたことに理由があった。
【追加雑学①】現代の卓球のルーツはイギリスにある
世界最強の卓球王国といえば、誰もが中国の名を挙げるのではないだろうか。男女問わず、いまや中国は、世界ランキングを独占する卓球界の絶対王者だ。だが、そもそも卓球は中国ではなく、イギリスで生まれたスポーツだったことをご存知だろうか。
現在の卓球のルーツは、1880年代のイギリスの上流階級で始められた遊びであるとされ、もともとはディナーの後に行われる室内ゲームの一種だった。それが次第にスポーツへ発展していったものと考えられている。
卓球を英語で「テーブルテニス」と呼ぶように、当初、卓球は屋外でテニスができなくなった際に、屋内でプレイするために考えられたものだった。やがてそれが「ピンポン」と呼ばれるようになり、20世紀に現在の形に近いものへと発展していった。
当時の卓球をする際の道具は、長い柄のようなラケットと、コルクを原料とするボールが使用されていたという。なお日本には、1902年、東京高等師範学校の教授だった坪井玄道(つぼいげんどう)という人物が、イギリスから卓球の道具を日本に持ち込んだことで普及したとされる。
中国が卓球界で無類の強さを誇るイメージから、卓球は中国で生まれたスポーツと考えてしまうが、じつはイギリスの貴族の間でおこなわれた遊びがスポーツへと発展したものだった。
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【追加雑学②】国内では毎年、スリッパで卓球をおこなう「全日本スリッパ卓球大会」が開催されている
ラケットでボールを打ち合いポイントを競い合う卓球。なかにはラケットを使わず、日常にある身近な物で、卓球を行う大会もある。
それがスリッパをラケット代わりに卓球をおこなう、「全日本スリッパ卓球大会」である。実際の映像をご覧いただこう。
この大会は毎年1月に北海道の真狩村(まかりむら)で開催されている。村の振興や村内にある「まかり温泉」のPRのために始められた大会だ。競技に使用されるスリッパは、関係者によって競技前に必ずチェックされ、つま先が空いたスリッパは使用できないなどのルールが設けらている。
参加資格は中学生以上で、大会に優勝すると町の特産品や農産物などがもらえるという。また国内では「世界大会」と銘打ったスリッパの卓球大会も開催されている。
かつては山形県・河北町で開催されていたが、現在は島根県・玉造温泉(たまつくりおんせん)で毎年おこなわれているようだ。
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ひと口に卓球といっても、ラケットを使ってボールを打ち合うだけが卓球ではない。ちょっとした遊び心で、老若男女を問わず楽しめるのも、卓球の良さのひとつである。
雑学まとめ
今回の雑学では、卓球のボールのサイズが変更された理由についてご紹介してきた。卓球の高速ラリーを我々がみれるのは、じつはボールの大きさが関係していた。
ボールのサイズが変更された理由をはじめ、村の振興や温泉のPRのために卓球が活用されている点を考慮すると、卓球というスポーツは勝敗を争う競技だけでなく、老若男女が手軽に楽しめる娯楽スポーツとしての一面をもち合わせていることが分かる。
卓球は誰もが楽しめるスポーツなのだ。筆者もこの記事の執筆を機に、中学校以来ごぶさたとなっている卓球を再開してみようかと思っている。その前に、スマッシュを決めた際、張本選手のように腹の底から「チョレイ」の声を挙げられるよう、事前に練習しておこう。
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