ポストといえば赤。赤といえばポスト。ポストが赤いというのはもはや常識ともいえるほど、当たり前のことになっている。
しかし、実はそれが常識ではなかったとしたらどうだろう?
現在の赤いポストにたどり着くまでには、実は多くの人々の知恵が必要だったのだ! 今回は今のポストになるまでの涙ぐましい雑学、いや、ポストの努力について知って欲しい。
【生活雑学】赤じゃない!ポストの色は当初、黒かった
【雑学解説】夜でもポストと分かるように黒色→赤色になった
日本でポストが初めて設置されたのは1871年。その翌年の1872年、ポストは一躍アイドル並に有名になり一気に全国へと広がった。この当時のポストはもちろん、現在とは比べ物にならないほどちゃちな作りだった(失礼)。
四角い柱のように杉板を組み合わせて、補強のため角に鉄板を張る。その上から黒いペンキを塗ったもの。これが当時のポストだ…実に質素。
ちなみに、『黒塗柱箱』というのが当時の黒ポストの正式名称だ。なんて、ひねりのない名前なんだ…。(またまた、失礼)
この黒ポスト、実は30年間も頑張ったのだがある事情をかかえていたので、黒から赤に変わった。
黒色ポストだと夜見えにくかった
想像してほしい。黒色ポストが設置された1872年の明治時代を。
当時は今みたいにネオンの光もないし、街灯の数も多くない。その暗い中で真っ黒いポスト。そりゃ見えにくいだろう。
ひょっとしたら、気付かずにぶつかった人もいるだろう。そんなわけで、暗い夜でも見える色にしよう! となり、今の赤いポストになったというわけだ。
ちなみに、赤いポストは当時イギリスで採用されていたのをマネして、実験的に日本でもポストを赤くしたところ、これが非常に評判がよかった。つまり、イギリスのポストがオレンジや黄色だったら現在の日本のポストは赤ではなかったのかもしれない。そう考えると、実に感慨深いではないか…。
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【追加雑学①】公衆便所の普及もポストの色と関係している!?
公衆便所がポストと何の関係があるんだ! と思った方も多いだろう。公衆便所の普及は、黒ポストと同時期といわれている。この公衆便所、当時は『垂便箱』と呼ばれていた。
- 郵便ポスト…ゆうびんばこ
- 公衆便所…すいべんばこ
…お分かりだろうか? この2つ、呼び方が似ているのだ! 人間、シラフのときは間違えなくても、お酒が入るととんでもない間違いをすることがある。
そう! 酔っ払いがポストと公衆便所を間違えることが多かったのだ。ポストに酔っ払いが間違えてトイレ。当然、中の郵便物は汚れる。
大好きな恋人から届いた手紙。それがなんともいえない臭いを放ち、恐る恐る開封すると文字がにじんでいて見えない…。きっと当時は、こんな苦情も多かったことだろう。
そんなわけで、黒ポストの終わりは公衆便所の普及と実は密接な関係にあるということだ。いつの時代も、酔っ払いのヒドさは変わらないともいえる。
【追加雑学②】日本初のポストは四角い木製の箱
日本初のポストは、四角い木製の箱で「書状集め箱」と呼ばれていた。1871年の設置当初は、東京12ヶ所・大阪8ヶ所・京都3ヶ所とこの3つの都市を結ぶ東海道上の合計62ヶ所。
もちろん、当時の人はポストなんて知るはずもなく、突然そんなものが現れてもわけが分からない。そこで、誰でも分かるようにポストに次のような張り紙が貼られていた。
- 書状を出す人の心得…郵便の使い方
- 太政官布告…郵便という制度が始まるというお知らせ
- 各地時間賃銭表…それぞれの差出場所に届く時間と料金
【追加雑学③】青い色のポストも実はあった
赤いポストだけでなく、青いポストも実は存在していたのをご存じだろうか。
青いポストは高度成長期の1959年、東京都内と横浜のオフィス街42ヶ所に設置された。この青いポスト、赤色が飽きたからではない。当然理由があって設置された。
この青いポスト、実は速達専用。以前に使われていた航空郵便専用ポストが「空」をイメージして青くしたことを引き継いで、青いポストになったのだとか。
実際の青いポストの映像。青い鳥ではなく、青いポスト。今ではかなりのレアポストだ。もし、現在でも見かけたらぜひとも注目してほしい。
雑学まとめ
ポストの色の雑学について紹介してきたが、いかがだっただろうか。何気なく街角にたたずんでいるポストに、このような歴史があったとは…。
ちなみに黒ポストは、現在でも愛知県犬山市・江の島といった一部の地域に存在している。青ポスト同様、かなりのレアだ。偶然見かけたらラッキーなことが起こるかも! と期待してみよう。
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