あなたは父の日にどんな贈り物をしているだろう。ネクタイなど実用性のあるものか、はたまた旅行やお酒など、息抜きをしてもらうためのものか。
このように日本では父の日のプレゼントに決まりはなく、多用なものが贈られる習慣となっている。一方アメリカでは、父の日が発祥して以来、現在にいたるまでバラを贈るのが一般的だというぞ!
バラというとキザな男性が女性を口説くときに贈るイメージだが…どうしてまた父の日に? 「たまにはお母さんを口説いてあげて」とでもいうのか?
とんでもない! アメリカで100年以上続くこの風習には、ある女性の父親に対する特別な想いが込められていた。
【世界雑学】アメリカでは父の日にバラを贈る
【雑学解説】父の日にバラを贈るようになった由来とは?
父の日発祥の地であるアメリカでバラを贈る風習があるのは、その制定のきっかけを作ったソナラ・ドットという女性が、亡き父の墓前に白いバラを供えたことからだ。彼女にならって、存命の父には赤いバラ、亡くなった父には白いバラを贈るのが一般的になっている。
ドットさんが父の日を作るべきだと呼びかけたのは、1909年のこと。この前年からウェストバージニア州の教会で母の日も催しが行われていることを、彼女が礼拝に通っていた教会の説教で知ったことからだった。
ドットさんはこれを受けて、父親の誕生日である6月に父の日の催しを行ってほしいと、教会の牧師にお願いしたのだ。
幼いころに母親を亡くし、5人の兄と共に男手ひとつで育てられたドットさんは、南北戦争直後の不安定な情勢のなかで育ったこともあり、父への感謝の気持ちがひときわ強かったのである。そしてその年の6月19日に催しが行われて以来、父の日は6月の第3日曜に定着する運びとなった。
その後、1916年にウッドロー・ウィルソン第28代大統領が演説で話したことなどを通して、徐々にアメリカ中に広まっていった父の日は、1972年にようやく正式な記念日として制定されることになったのだ。
「母の日があるのだから、父の日も」というのは、いかにも誰かしらが言い出しそうなセリフではある。しかしバラを贈ることが全米の習慣となっていったのは、父親に対して特別な想いをもっていたドットさんが言い出したからこそではないか。
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【追加雑学】日本では父の日に黄色いバラを贈る
アメリカで広がった父の日の風習は1950年ごろに日本に伝来した。
今でこそ多様なものを贈るようになっているが、このときバラを贈る文化もきっちり伝わっているのである。しかし日本では、赤でも白でもなく、黄色のバラを贈ることが一般的になった。
これは父の日を推進する日本ファーザーズ・デー委員会が、1981年以降に行った「イエローリボンキャンペーン」がきっかけなのだとか。
キャンペーンを実施する際、委員会はイギリスで黄色が「身を守る色」とされていたことを参考に、父への感謝を表す色として、バラに黄色のリボンを付けて贈ることを掲げたのだ。
なるほど、家族のために外へ出て働く父に、「気をつけて帰ってきてね」というこのメッセージはピッタリである!
このキャンペーンによって父の日はその認知を一気に広げ、同時にバラを贈る風習も広まっていった。そこから派生して、現在はリボンを巻くのではなく、黄色いバラを贈るようになっているのだ。
バラは色によって花言葉も違う
ちなみにバラの花言葉も色によって分かれていて、それぞれ以下のような感じだ。
- 赤…愛・美・情熱など
- 白…純潔・深い尊敬
- 黄色…友情・平和
もともと花言葉で選ばれたわけではないので、父の日にそぐわないものもあるが、「愛」や「深い尊敬」などはバッチリ通じている。また黄色は身を守る色といわれるだけあって、平和的なニュアンスだ。
父の日に黄色のバラを贈るなら「黄色は身を守る色で、花言葉には平和の意味がある。両方を合わせて、お父さんの無事を祈ってるってことだよ」などと伝えると、喜んでもらえるだろう!
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「父の日」の雑学まとめ
アメリカで父の日にバラを贈るのは、そのきっかけを作った女性が父にバラを贈ったことからだった。当時、彼女の父親への想いに多くの人々が感動したことが伝わってくるエピソードである。
贈り物というのはバラに限らず、もらったときの気持ちが一番うれしいものだ。どういう気持ちでそのプレゼントを選んだのかが大切で、その気持ちを伝える際に、今回のようなトリビアも役立つのではないか。