誰でも一度は育てたことのある、夏の代表的な花・アサガオ(朝顔)。
このアサガオによく似た名前のユウガオ(夕顔)という植物はご存知だろうか。その名の通り夕方ごろアサガオに似た白い花を咲かせる植物である。
アサガオとユウガオ、名前や花の形がよく似ているのだが、この2つには大きな違いがあったのだ。そこで今回は、アサガオとユウガオの違いやユウガオにまつわる雑学について解説していこう!
【自然雑学】アサガオとユウガオの違いは?
【雑学解説】アサガオとユウガオは全く違う植物
アサガオとユウガオにはどのような違いがあるのだろうか。それぞれの特徴を見てみよう。
アサガオ
アサガオとは、ヒルガオ科サツマイモ属のつる性植物で一年性の植物である。
名前の由来は、早朝から昼頃にかけて美しい花を咲かせることから「朝の美人(かお)」として、アサガオと呼ばれるようになった。
ラッパのような形の花は、実は5枚の花弁が1つに融合したもので、花の中には雄しべと雌しべが5つずつ入っている。
おすすめ記事
-
幻のアサガオ!江戸時代には黒や黄色のアサガオが存在した
続きを見る
ユウガオ
ユウガオは、ウリ科ユウガオ属のつる性植物で一年性の植物である。
名前の由来は、夕方花が開いて、次の日の昼前にはしぼんでしまうので「ユウガオ」と名付けられたとされている。
ユウガオの花びらは5枚に分かれていて、雄花と雌花がありウリ状で長さが60~90cmほどの大きな実がなる。この実が、みなさんもお寿司の巻物でよくご存じの「かんぴょう」の原料なのである。
おすすめ記事
-
地味だけどおいしい。かんぴょうはユウガオの実からできている
続きを見る
アサガオとユウガオはよく似ているが、アサガオは「草花」でユウガオは「野菜」という、大きな違いがあるのだ。
スポンサーリンク
【追加雑学①】もっとややこしいユウガオとヨルガオの見分け方
アサガオやユウガオと似た名前の「ヨルガオ(夜顔)」という花があるのはご存知だろうか。ヨルガオは、ヒルガオ科サツマイモ属のつる植物でアサガオの仲間である。
ヨルガオも花の咲く時間帯が名前の由来で、その名の通り夜に花を咲かせる。
ただ、ややこしいのがこのヨルガオの品種の中に「白花夕顔」や「赤花夕顔」など「夕顔」という言葉を使ったものがあるのだ。これらは「夕顔」と名付けられているがヨルガオの一種なので、種を購入するときには注意が必要である。
ユウガオとヨルガオを見分ける特徴としては、次のようなものがある。
- ユウガオ…白い花しか咲かず、花びらにしわがあり5枚に分かれていて、カボチャのように雄花と雌花に分かれているので、花の付け根の形が少し違っている。
- ヨルガオ…アサガオのように花びらが一枚に繋がっていて、白や淡い赤紫色の花を咲かせ甘い匂いがするのが特徴的である。
名前がごちゃごちゃになっていてややこしいが、見た目や匂いに特徴があるので見分けるのはそんなに難しくはないだろう。ただし、種を購入するときは店員さんでも間違えることがあるので注意しよう!
【追加雑学②】ユウガオには毒がある⁈
これは少しショッキングな雑学だが、かんぴょうとして一般的に食べられているユウガオの実の中には、ごくまれに強い毒性をもった実がなるそうだ。実際にユウガオの実を食べて、食中毒になったという事例も出ている。
毒をもったユウガオの実はとても苦く、この苦み成分の中に「ククルビタシン」という毒が含まれている。このククルビタシンを食べてしまうと、唇のしびれ・吐き気・嘔吐・下痢などの症状が現れるのだ。
食用として栽培されているユウガオではほとんど出ないのだが、スイカなどを栽培するときにユウガオを接ぎ木の土台にすることがある。土台となったユウガオから採れる実にはククルビタシンを多く含む場合があるので、食べてはいけないと覚えておいて欲しい。
また、ユウガオの仲間であるひょうたんの実にはクルルビタシンが多く含まれている。
ひょうたんは食べると苦いので食用にならなかったのだが、ユウガオの実に似ているので間違えて食べてしまう人がときどきいるそうなので、十分注意することが必要なのだ。
美味しく食べられるかんぴょうはまったく心配する必要はないのだが、もしかんぴょうを食べて苦みを感じたときはそれ以上食べないようにし、さらに慎重派の人には調理する前に少しだけかじって味を確かめてみることをおススメする。
雑学まとめ
アサガオとユウガオについての雑学を紹介してきたが、いかがだっただろうか。アサガオとユウガオは名前や花の形は似ているが、植物の種類としてはヒルガオ科とウリ科という全く違う種類なのである。
アサガオは夏に花を咲かせ、ユウガオはその実がかんぴょうになるので食べて楽しむ。種類は違っていても、どちらも昔から日本人に愛される植物といえるだろう。