日本には、緑茶・煎茶・ほうじ茶・紅茶・玄米茶など、多くの種類の「お茶」が存在する。中でも、麦茶は子どもからお年寄りまで老若男女に親しまれる、とても身近な飲み物だ!
夏に冷蔵庫に常備しておけば暑さをのり越える力をくれるし、冬もホットで飲むとのどの湿度を守り、風邪やインフルエンザの予防に一役買ってくれる。そんな麦茶が、実は江戸時代の人々の健康の支えになっていたことを、ご存じだろうか?
今回の雑学では、麦茶の知られざる歴史と、隠れたパワーについてご紹介しよう!
【歴史雑学】江戸時代に麦茶が流行した理由とは?
【雑学解説】江戸時代のビタミン不足の理由とは?
江戸以前の時代まで、庶民の主食は「玄米」であった。そして、現在は当たり前のように食べられている「白米」は、身分の高い者だけが口にすることができる贅沢品だったのだ。
江戸時代に入ると「物の流れ」にも発展がみられ、それまで高価なものであった白米が、庶民のもとへ流れ始めた。すると、それまで健康だった江戸の人々が、なぜか次々と体調を崩したのだ!
「下半身がだるい・しびれる」「足がむくむ」「動機・息切れがする」。江戸に入るとこのような症状にかかる者が多く、江戸を離れてもとの生活に戻ると症状が良くなる。
そんな症状のことを人々は「江戸わずらい(=脚気)」と呼んだ。
当時の人々の食事はどのようなものだったのかといえば、野菜などのおかずは少しばかり。そこへ白米を山盛り!!
「江戸わずらい」は、玄米を主食にしていたおかげで自然とビタミンを摂取できていた江戸の人々が、白米をモリモリ食べる「ほぼ炭水化物のみ生活」に無意識にチャレンジしたことで、ビタミン不足になったのが原因だったのだ!
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【追加雑学①】ビタミン不足に効く、麦茶の栄養成分とは?
ビタミン不足による「江戸わずらい」に悩んでいた江戸の人々。
しかし、なぜか「麦茶」を飲むとその症状が治まったという。それは、麦茶に豊富に含まれる栄養のおかげだったのだが、現代を生きるわたしたちの体にもとても良い効能がある。
- 優れた抗酸化作用による、ガンや生活習慣病の予防
- 豊富なビタミンB1の作用により、手足のしびれ・だるさ・むくみを予防
- ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどのミネラルが、からだの調子を整えてくれる
- 麦茶の原料である大麦には、からだを冷やす効果がある→熱中症予防!
とくにビタミンB1の効能に注目してみると、これによって「江戸わずらい」から江戸の人々を救ったのだ、というのがわかる…!
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【追加雑学②】江戸時代の人々に流行した「麦湯」
今となっては「麦茶」と呼ばれるのが一般的な麦茶だが、江戸時代には「麦湯」という呼び名がメジャーだったようだ。
大麦の旬である「初夏」の夕暮れどきには、屋台の麦湯店がオープンし、麦湯売りという若い女性の売り子が麦湯を4文(約100円)ほどで売り歩いていたという。なんだか風情があっていいなあ…。
江戸時代から数百年の時が経ち昭和に入ると、冷蔵庫の普及によって、私たちにお馴染みのつめたい麦茶が広まった。これにより夏はいつでも美味しい麦茶が飲めるようになったのだ…! 冷蔵庫様々である。
【追加雑学③】麦茶の美味しい飲み方
そんな麦茶だが、現代では冷蔵庫の普及とともに年中飲むものへと変化していった。
では、みなさんはどのように麦茶を飲んでいるだろうか? 氷を入れて注いで…という飲み方以外にも美味しい飲み方があるのを、ご紹介したい!
- 牛乳と半々で割って「コーヒー牛乳風味麦茶」
- 寒い冬には「ホット麦茶」
- 豆乳とはちみつをちょっと入れて「ソイラテ麦茶」
麦茶はさっぱりした味でほかを邪魔しない。そして乳製品との相性が良く、焼酎などのお酒と割るという大人の楽しみ方もあるのだ!
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麦茶の雑学まとめ
麦茶についての雑学、いかがだっただろうか。夏の定番と思われがちな麦茶だったが、その効能といろいろな楽しみ方を知ると、もっと積極的に飲んでみようという気持ちになった。筆者は、はちみつを入れた「豆乳ラテ麦茶」を飲んでみたい!
「江戸わずらい」から江戸の人々を救った麦湯=麦茶は、現代の人々のことも生活習慣病から救ってくれるヒーローなのかもしれない。