日本人の勤勉と悲哀を体現したような、清らかなイメージをもたれがちな明治を代表する歌人・石川啄木。 「はたらけど はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る」 「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ」 「ふるさとの訛(なまり)なつかし 停車場の人混みの中に そを聴きにゆく」 質素ながらも家族と花を愛で、ときどき郷愁の想いに駆られながらも一所懸命働いて、日々の暮らしを丁寧に生きる。啄木の短歌は、まさに清貧とでもいうような生活を彷彿とさせる。 ところが…あなたは知っている ...