住宅地でもあちこちで見られるカラスは、日本人にとって身近な鳥のひとつだ。大きく翼を広げて飛ぶ黒い姿はとってもかっこいいし、つぶらな瞳もかわいらしくて、見かけるとつい見入ってしまう。
だが一方で、ゴミを荒らすカラスは害獣として嫌われることも…。
好かれたり嫌われたり忙しいカラスだが、彼らはとても「賢い」ことでも有名だ。なんとチンパンジーほどの知能をもっているともいわれている。
今回の雑学テーマは、そんな知能の高いカラスについて。なんと彼らは仲間が死ぬと「葬式」をするというが…。
【動物雑学】カラスは仲間が死ぬと葬式をする?
【雑学解説】カラスの葬式は「追悼」ではない
カラスは「死」にとても敏感。仲間の死骸を見つけると、声をあげて他の仲間たちを呼ぶ。死んでしまった仲間の周りに集まってじっとしている姿は、人間からしたら「葬式」に見えるだろう。なんとも物悲しい光景だ。
しかし、実は彼らのこの習性、仲間を弔うためではない。カラスたちは、死んだ仲間の死因を確認しているのだ。一体なんのために?
その理由は自分が同じ目に遭わないため。仲間の死からその死因を確認し、その場所に脅威があるのかどうかを見極めるのだ。もし仲間の死が起きた場所が、カラスにとって脅威のある場所であるなら、その場所をすみやかに去ることができる。
死骸を囲んで集会をしているカラスたち。彼らは悲しみに暮れているように見えて、実はその土地を出て行くべきか冷静に観察していたのだ。
そんなカラスの観察は、土地だけでなく人間にも向けられる。カラスの死に関与する人間を見つけると徹底的に警戒するようになるのだ。カラスの死骸をもった人を見たカラスたちは、騒いで仲間たちに危険を知らし、その人のそばでは餌を食べるにも警戒したという研究結果もある。
さらに驚くべきことに、彼らは一度警戒した人間の顔をずっと覚えているのだ。それもうんと長いあいだ。自分に危害を与える人の顔を忘れることはない。そして他の仲間にも、危険な人間だと共有するのだ。
まるで指名手配である。カラスとはよい関係を保ちたいものだ。
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【追加雑学①】カラスは道具をうまく使う!?
カラスの賢さはよく語られるが、彼らは道具を使いこなすこともできるのだ。
そこにある道具を使い目的を達成することができるのだが、カラスの凄さはただ「使える」だけじゃない。自分で道具を作ったり改良したりすることも分かっている。その様子を動画でご覧いただきたい。
道具を使うだけでもすごいのに作り出せるとは…。目的と手段に合わせた道具を作ることは、自分で考え、想像しなければできない。想像を超えるカラスの賢さには驚くばかりだ。
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【追加雑学②】かわいい!カラスは遊んでることがある!
カラスが道具を使いこなす賢い動物であることはわかったが、彼らはしばしば謎の行動をしていることがある。
雪道を何度も滑ったり、ボールを転がしていたり…。
上の動画のように、何か目的があるわけではなく単に「遊んでいる」としか見えない行動が見られるのだ。
多くの野生動物たちは餌を捕ったり外敵から身を隠したり戦ったり、基本的に目的のある行動をしている。「遊び」は長期的に見れば身体能力や知識を磨く行動であるといえるが、短期的に見れば目的をともなわない行動だ。
哺乳類や鳥類に見られる「遊び」は高度な知能の表れであり、カラスもよく遊ぶ動物だといわれている。
街中でもときどき遊んでいるカラス。怖いイメージをもたれがちな彼らだが、案外親近感の湧くかわいい奴らなのだ。
雑学まとめ
今回はカラスの生態についての雑学を紹介した。カラスの「葬式」は、葬いではなく生き残りをかけた観察だった。人間からしたらちょっと薄情な気もするが、死骸から学習することは仲間の死を無駄にしないことだともいえるだろう。
カラスはとても賢くてチャーミングな動物だ。街中を飛び回っていると怖く感じてしまうこともあるが、観察をしてみると意外にかわいい一面も見つけられる。
害獣だと決めつけないで仲良く共生していきたいものだ。