宮崎県といえば何を思い浮かべるだろうか? ほとんどの人は、ある人物のあのセリフが思い浮かぶはずだ。そう、「どげんかせんといかん」である。彼のおかげで宮崎県の認知度は飛躍的に向上した。
しかし、県民たちにはある懸念点があった。
「それ、間違いじゃね?」
今回はそんな「どげんかせんといかん」についての雑学に迫る!
【生活雑学】宮崎県人は「どげんかせんといかん」を使わない。
【雑学解説】「どげんかせんといかん」ではない。「どげん」ではなく「どんげ」
一部地域では「どげん」なので、正確に言えば間違いというわけではない。実際多く使われるのは「”どんげ”かせんといかん」なのである。
これは宮崎県南部出身の筆者が、東京であらゆる同郷の方に会うたびに確認した結果だ。宮崎市はもちろん、上は延岡市まで、一人として「どげん」使いに会わなかった。
「あんまり変わらないじゃん…」と思われるかもしれないが、出身者としてはものすごい違和感を覚えるのだ。エセ関西弁を使うのを聞いて、関西出身の人がイラっとするのに似ているかもしれない。
「どげん」は鹿児島弁
「どげん」は正確には鹿児島弁だ。宮崎県の一部は鹿児島県と隣接しているので、「どげん」ユーザーがいるのも納得できる。
そんな使用率1割以下の「どげん」がどこで使われているのかというと、都城市の一部だそうだ。ただ、都城市出身者の知り合いも「どんげ」だったので、該当エリアはなかなか狭いようだ。
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【追加雑学①】「どんげ」→「どげん」→「どぎゃん」→「どがん」
「どげん」が鹿児島弁と知ったとき、とある面白さに気がついた。
筆者の従兄弟は熊本県北部に住んでいる。そこでは「どげん」同じ意味で「どがん」という言葉がある。さらに、熊本県南部ではそれが「どぎゃん」になるようだ。
たとえば、宮崎を出発点として時計回りに宮崎→鹿児島→熊本南・北の流れでみると、
「どんげ」→「どげん」→「どぎゃん」→「どがん」
と変化していっているようにもみえる。近い地域でこんなに変化するなんて、実に面白い。
【追加雑学②】方言は京都からの距離で似る
方言の移り変わりについて、小さいころ学校の先生に聞いた印象的な話がある。「方言は京都を中心にした距離によって似る」との内容だ。つまり、九州と東北で方言が似る傾向があるということだ。
たとえば、宮崎弁で「凄く」を表す「てげ」と同じで、青森の津軽弁には「たげ」が存在する。他にも、熊本弁で「だが、しかし」を表す「ばってん」に対し、津軽弁では「ばって」が同じ意味で使われている。
これは方言周圏論といって、柳田國男が『蝸牛考』において命名したものだ。こういうのを知ると、そのほかの同じ距離同士の方言が似ているのか気になる。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。方言は都道府県で分別されるが、県境に住む人からすればいろいろごっちゃになっていることが多い。時代の変化と共に、方言も変化するだろう。
そういう意味で、方言に正解不正解はないのかもしれない。その時その場所で話されている言葉こそが「方言」なのだろうと思う。
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