日本語は漢字・ひらがな・カタカナの3種類を使う非常に珍しい言語だ。なかでも漢字には5万以上の種類がある。
普段から使うなじみ深いものから、とてもじゃないが覚えられない難しい漢字まで…。特に画数が増えるほど、漢字は難しくなってくる。
我々の想像が行き届く範囲でいえば、せいぜい20~30画程度。では日本で一番画数が多い漢字というのは、いったいどのぐらいの画数なのだろう?
今回の雑学では、日本で一番画数が多い漢字を紹介しよう。とてつもなく難しいのでは…と思いきや、そうでもないようだぞ?
【生活雑学】日本で一番画数が多い漢字は「たいと」で84画
【雑学解説】日本で一番画数が多い漢字「たいと」はどう書く?
日本でもっとも画数が多い漢字は「たいと」・「だいと」・「おとど」などと読む、名字として使われていた漢字だ。どんな字かというと、「雲」の字3つと、「龍」の字3つを重ねたもの。
雲は12画で龍は16画。(12×3)+(16×3)で、なんと84画だ!
もちろんパソコンの変換では出てくるはずもないので、その全貌は動画で確認してもらおう。
たしかに書くのは一苦労だ…。
でも待てよ? これって雲と龍さえ書ければ、そんなに難しくないんじゃないか…? うん、「日本一画数の多い漢字は、実はそれほど難しくない」というのも、ちょっとおもしろいトリビアである。
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日本で一番画数が多い漢字を使ったラーメン屋
実のところ…今でもこの「たいと」という漢字には実用例がある。
千葉や東京を中心に展開しているラーメン店「肉玉そばおとど」は、日本一を目指すため、日本一画数の多い漢字を店名にしてしまったのだ!
2018/05/26 昼 肉玉そばおとど亀有店 極☆肉玉そば 800円
日本一ごはんが進むラーメン屋として知られている肉玉そばおとど。
炒めた肉と玉ねぎと卵の黄身が肉玉そばの特徴です。
麺量もそこそこ多いです。
ご飯は無料で提供され、おかわり自由です。 pic.twitter.com/KmLPdDNvI3— ラーメンメトロ (@metro_ramen) May 26, 2018
ちなみに、現在も名字として使われているのかは確認できなかった…。というか学校の出席簿なんかで出てきたら担任の先生でも読めないぞ。
日本で2番目に画数が多いのは「おういちざ」
日本で画数の多い漢字第2位は「おういちざ」で、画数は79画。江戸時代の戯作者(小説家)・恋川春町が創作したものだ。
意味は定かではないが、一説には大一座という言葉の通り、料亭や遊郭に大人数の客が集まっている様子を表していると考えられている。
こちらもやはりパソコン変換では出てこないので、動画で確認してもらおう。画数こそ負けているが、書き方は「たいと」よりもややこしいぞ!
「吐」という漢字を「客」と「敵」が取り囲む。真ん中に吐いている人がいて、その周りに大勢の人。まさに飲み会の一幕である。成り立ちを知ってみると遊び心満点の漢字だ。
ちなみに「客」はそのままお客さんを表していて、「敵」というのは客の相手をする人という意味。つまり遊郭でいう遊女のことだと考えられている。敵といっても無理矢理酒を勧めてくるサークルの先輩ではないのだ!
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【追加雑学】普段使う漢字で画数が一番多いのは?
「たいと」も「おういちざ」も、必要となる場面はおそらく一生こない。では、普段使えるもので一番画数が多い漢字とは、どんなものなのだろう?
カテゴリーごとにまとめてみたぞ!
「教育漢字」で画数が多い漢字
小学校で習う教育漢字では、「競」・「議」・「護」の3つがもっとも画数の多い漢字となる。うん、普通に書ける。画数は20画だ。
小学校の上限が20画までとは、思ったより少ないな…。
「常用漢字」で画数が多い漢字
常用漢字は現代における漢字の標準。「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」として、内閣告示の「常用漢字表」で示された漢字だ。
小難しい説明になってしまったが、つまりは「社会人の一般教養として、最低限押さえておきたい漢字」ということである。
常用漢字でもっとも画数が多いのは「鑑」で、23画だ。うん、これも別に難しくない。普通に暮らしていくぶんに、そこまで難しい漢字は必要ないということか。
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「辞書に載っている漢字」で画数が多い漢字
漢字辞書のなかなら、常用漢字よりももっと難しい漢字が見つかる。たとえば「鬱(うつ)」という漢字は、書けと言われていきなりは書けない人は多いはずだ。
「鬱(うつ)」の画数は29画。ここまでくるとようやく「多いな…」と感じる部類である。
もっと多いものだと33画の「麤(そ)」がある。「あらい・粗雑」という意味をもった漢字だ。これも一見難しそうに見えるが、よく見ると「鹿」を3つ重ねただけである。
このほかにも画数の多いものを探していくと、龍が4つの「てつ」や、興が4つの「せい」など、同じ漢字を重ねるものに絞られてくる。これらはどちらも64画となり、かなり「たいと」に近づく。
ちなみに山形県の「東の麓酒造」は、龍が4つで「てつ」という名前のお酒を出しているぞ。これはインパクトがある!
さて、新春くらい、うすはりが使える(自分規定)お酒呑もうと、午前中に酒屋に駆け込んで買ったお酒開けます~。山形県 東の麓酒造「龍龍龍龍(てつ)」
龍を四つ並べたこの漢字は「おしゃべり」の意味だそう。楽しくわいわい語らいつつ呑んで欲しいとの願いが込められている。 pic.twitter.com/4PQfPeebqC— Rin (@rin_sgs) January 2, 2017
しかし比べてみると、やっぱり「鬱」ぐらいが一番難しく感じるな。30画以上は同じ漢字を重ねたものになりがちで、難易度なら29画ぐらいが高いということか。
「日本で一番画数の多い漢字」の雑学まとめ
今回は日本で一番画数が多い漢字にはじまり、画数の多い漢字の雑学をお届けした!
画数は多くてもそこまで難しくない「たいと」。漢字の成り立ちがユニークな「おおいちざ」。
日常では絶対に書くことのない漢字にせっかく出会えたのだし、一度は自分でも書いてみよう! その漢字が使われていた当時の人の気分を、少しでも味わえるかもしれない。
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