剣道といえば、1本の竹刀を両手で持って構えるスタイル「一刀流」を想像する人がほとんどだろう。実は、竹刀を2本持って戦う「二刀流」も剣道ではOKなのだ。一刀流vs二刀流の試合もあり!
ゲームが好きな人は、双剣士に憧れてしまう人も多いのではないか。…私もその一人だ。1本より2本の方が強そうな気がしてしまう。なんかこう、1本で相手の剣を捌いてもう1本で突く…みたいな。
しかし、現実はそう簡単にはいかないようだ。今回は、そんな剣道の二刀流についての雑学を紹介しよう。
【スポーツ雑学】剣道では、二刀流はあり
【雑学解説】剣道の二刀流は、鉄壁の防御と相手の隙をついた攻撃で勝ちを狙うスタイル
二刀を使って剣道をしている姿は、なかなかイメージしづらいのではないだろうか。
そもそも二刀流の剣士の数が少ないうえ、二刀を使った剣道の試合ができるのは大学生以上の大会のみのため、インターハイなどでは二刀流を見ることはできない。そのため、目にする機会があまりないのだ。
そんな剣道の二刀流の試合がコチラ。
…二刀流もかっこいい! 防御力高そう。
剣道の二刀流のルール
二刀流で試合を行う場合、やはり特殊なルールがあるようだ。
試合の際の決まり
二刀流で始めた試合は最後まで二刀流で。途中で一刀に変更することはできない。2本のうちどちらかが破損などをして使えなくなり一刀になってしまった場合、替えの竹刀がなければそこで負けとなってしまうのだ。
竹刀の長さ・重さ・太さ
まず、二刀流といっても同じ長さの竹刀を2本持つのではない。たしかに長い竹刀を2本だと一刀より圧倒的に有利になってしまうだろう。そして、めちゃくちゃ疲れそうだ。
二刀流は大刀と小刀という長さの異なる2本を使う。時代劇に出てくる武士を思い出してほしい。長い刀ともう1本「脇差(わきざし)」と呼ばれる短めの刀を腰に差しているのがイメージできるのではないか。
剣道の二刀流もこれと同じスタイルで行うのだ。そして、使用する竹刀にも規定がある
男子
- 大刀の長さ:114cm以下・重さ:440g以上・太さ:25mm以上
- 小刀の長さ:62cm以下・重さ:280~300g・太さ:24mm以上
女子
- 大刀の長さ:114cm以下・重さ:400g以上・太さ:24mm以上
- 小刀の長さ:62cm以下・重さ:250~280g・太さ:24mm以上
二刀流の大刀の長さは中学生が使う竹刀の長さで、大人が一刀で使う竹刀より6cmほど短いそうだ。
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剣道での二刀流のメリットとデメリット
武器が2本あるというだけで強そうな気がしてしまう二刀流だが、メリットと同時にやはりデメリットもある。
二刀流のメリット
二刀による攻撃よりも、特筆すべきはその防御力なんだそうだ。1本を中段に構え、もう1本を上段に構えることにより、相手は打ち込める場所がないような錯覚に陥ってしまうのだとか。
守りながら攻めることができるので、防御が厚いことが攻撃力にもつながる。…あれ? これって最強なんじゃ…?
二刀流のデメリット
片手で竹刀を振らなければならないので、一刀より遅いのが弱点。ゲームの双剣士は、「素早い動きで手数で勝負」みたいなところがあるが、実際はそうはいかないようだ。
また、一刀で使う竹刀よりも短い竹刀を使わなければいけないという規定のため、リーチが短いのもデメリットの一つである。
小刀で一本を取るには、「打ち込んだ時に自分の肘が伸び切っていないといけない」などのきまりもあるそう。
やはり、武器が2本だから強いということはなさそうだ。
【追加雑学】剣道ではガッツポーズ禁止!
試合中に点を取ったり技が決まったりしたら、誰もがとってしまいたくなるガッツポーズ。「チョレイ!」とか「サーッ!」とか。
そんな喜びのポーズや雄たけびは、剣道の試合中は厳禁だ。
「打突後、必要以上の余勢や有効を誇示した場合は、主審が有効打倒を宣告した後でも取り消すことができる」という旨の規則がある。ガッツポーズは「必要以上の余勢」として見なされ、一本をとっても取り消されてしまうのだ。
これは、剣道が礼節を重んじる競技で、敗者の前で喜びを表現するのは礼節を欠いた行為だとされるためである。
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雑学まとめ
剣道についての雑学、いかがだっただろうか。剣道は1本の竹刀で行うものだと思っていたが、二刀流もありとは驚きだった。
「プロ野球選手」・「プロサッカー選手」のような「プロ剣道選手」というのは、剣道にはない。そのため、テレビで試合の様子が報道されたりすることがない。普通に生活していてあまり触れる機会がない競技だ。
そもそも、剣道はスポーツというより稽古や試合を通して自分自身を鍛え磨いていく「武道」だという。
剣道の魅力を知るには、自分でやってみるのが一番。50代から剣道を始める人もいるらしいぞ! 剣道を始めてみようかなと思っている人や辞めていたけど再開しようかなと思っている人、二刀流を極めてみるのはいかがだろうか。