現在、日本で使われているお金は10種類。紙幣には「日本銀行券」と印字されており、日本銀行が発行していることを表している。それに対し硬貨は「日本国」と刻印され、その製造元が日本政府であることを表している。
日本銀行で発行された日本銀行券は各民間金融機関を通じて市場に出回っていくのだ。一方、硬貨は日本政府が自ら製造し、日本銀行に買取りされることで、市場に流通していく流れとなっている。
ここで気になるのは紙幣・硬貨のそれぞれの製造コストだ。1万円札を作るのに1万円もかかるわけがないのは容易に推測できるが、いったいどのくらいの製造費でお金は作られているのだろうか? 今回はそんな、お金の製造コストについての雑学をご紹介していこう!
【生活雑学】硬貨・紙幣、お金の製造コストはどのくらい?
【雑学解説】お金は何でできている?
紙幣は和紙で使われる「ミツマタ」という花と「マニラ麻」を原料とした紙で作られている。インクには磁気に反応する特殊なインクが使われ、偽造防止としての役割を果たしている。
硬貨に関しては原料にニッケルや銅などの金属が使用され、価値が流動的なため、調査時期によって材料費に多少ずれが生じる。
ちなみに2005年に発表されたデータによると各製造コストは以下の通りとなる。
1万円札 | 約22.2円 |
5千円札 | 約20.7円 |
2千円札 | 約16.2円 |
1千円札 | 約14.5円 |
500円硬貨 | 約30円 |
100円硬貨 | 約25円 |
50円硬貨 | 約20円 |
10円硬貨 | 約10円 |
5円硬貨 | 約7円 |
1円硬貨 | 約3円 |
データは古いが、当時から紙幣・硬貨の製造技術は大きく変わっていないので、現在も同程度の製造コストであると考えられる。日本銀行・財務省ともに、この手の情報を一切上げないため、正確な数値は推測するほかない。
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【追加雑学①】1円硬貨・5円硬貨は赤字のお金!?
上記の表でわかる通り、1円硬貨と5円硬貨はその製造コストが硬貨の価値を上回っており、赤字である。しかも、1円硬貨は硬貨の中でも発行枚数が多く、10円硬貨の約3,300万枚に対して、約4,400万枚と1,000枚以上も多い。1円硬貨を作るのに、2円ずつ損をしているとしたら、8,800万円の赤字である。
しかし、これは「木を見て森を見ない」の典型。500円硬貨を見れば、1枚当たり470円程度の利益を生み、発行枚数も旧500円硬貨を含めて960万枚ほどで、約45億円の利益を生み出しているので、全く問題ないのだ。
ここで一度考えた。紙幣と硬貨は発行元が違うではないか。紙幣の利益率だけ異常に高いのはなんだか許せない気がして、いろいろ調べてみた。
【追加雑学②】日本銀行のお金の製造利益は?
前述している通り、お金の発行元は、紙幣は日本銀行・硬貨は日本政府と2つに分かれている。
日本政府が発行する硬貨は造幣局で作られ、日本銀行に一旦預けられる。これを市場の流通状況に応じて、日本銀行が買取り、その利益が政府に計上される仕組みになっている。
しかし、日本銀行が発行する日本銀行券はどこかが買い取ってくれるわけでもなく、直接日本銀行が必要に応じて発行・流通させるため、紙幣の製造による日本銀行の利益はない。それどころか、日本銀行は経費と出資者への配当金を除いた利益を日本銀行法によって、国庫に納付しなければならない義務を負っている。
つまり、日本銀行には紙幣製造による利益を得るという概念そのものがないということだ。
「紙幣を刷ればいくらでも稼げる」なんてのは全くお門違いの発想なのでご注意を!
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【追加雑学③】日本のお金の作り方
この動画ではお金ができるまでの流れを紹介している。さまざまな技術や配慮が盛り込まれており、すごすぎてため息が出る。
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雑学まとめ
今回はお金を作る際にかかる費用についての雑学をご紹介した。
恥ずかしながら、そもそも硬貨と紙幣が同じところで作られていないことを知らなかった。別々のところで作り、流通の方法も違うとは複雑である。
紙幣を発行できるとはいっても、別に大金持ちになるわけでもないのが面白い。儲からないなら、私に少し分けてもらえないかなーと邪な思いがよぎった筆者であった。
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