イタリア人といえば、陽気な性格というイメージをもっている方も多いだろう。
そんなイタリアの北部に位置する、ファッションやデザインで世界的に有名な都市・ミラノでは、なんと法律により、市民の笑顔が義務付けられているのだという。んなバカな。
気になったので、実際にミラノに住む筆者が調査を試みた。今回の雑学記事ではその結果をまとめたぞ!
【面白い雑学】イタリア・ミラノには「常に笑顔でいること」という法律がある
【雑学解説】ミラノの法律では、葬式とお見舞い以外は「笑顔」
笑顔が法律で義務付けられているなんて、そんなバカな話あるわけがない!
イタリア在住1年・イタリア語能力の低い筆者が、必死こいて現地のソースを調べてみた。すると、イタリアの新聞「Corriere della Sera」の2014年11月15日の記事に、その証拠を発見することができたのだ!
記事のタイトルは、「La legge asburgica mai abrogata:qui sorridere è obbligatorio」
意味はこうだ。「ハプスブルク家の法律は一度も廃止されたことがない:ここでは笑顔は義務だ」
イタリア語の記事は筆者にとって難しいので、辞書と現地の友人に助けを借りつつ、記事の概要とこの法律が作られた当時の時代背景をまとめた。
かつてミラノ市は、ミラノ公国という1つの国であった。しかし1535年に、統治者であったスフォルツァ家の血が途絶え、この国は消滅してしまう。
そしてその後、神聖ローマ帝国やスペインによる統治が行われ、18世紀ごろからはオーストリアのハプスブルク家の支配下に置かれることとなった。「ミラノ市民はいつでも笑顔でいなければならない」という法律は、その後19世紀に定められたようである。
記事によると、笑顔の義務が免除されるシチュエーションもあるらしい。それは、「葬式と病院へのお見舞い」だ。そりゃその状況でもスマイルだったら村八分にあうだろう。これ以外で笑顔でなければ罰金が発生するというから、ミラノは恐ろしい都市である。
どうしてこんな妙な法律が成立したのか? それは、当時ミラノがオーストリアの植民地であったということが原因ではないかと推測されている。「私達、こんな苦しい境遇だからこそ笑顔を忘れちゃだめだよね!!」ということなのだろうか。
この笑顔を強制するという奇妙な法律だが、実はミラノの悲しい歴史に由来しているのかもしれない…。
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【追加雑学】ミラノに住む筆者がミラノ人に「笑顔の法律」について聞いてみた
さて、この奇妙な法律についてミラノの市民たちはどう考えているのだろうか? 日本の血が混じっているミラノ人、マリアにまず尋ねてみた。
筆者「ねぇ、ミラノっていつも笑顔じゃないといけない法律があるらしいけど、どう思う?」
マリア「は? んなバカな法律あるわけないじゃん!」
筆者、証拠の新聞記事を見せる。
マリア「うっそマジ? 知らなかった~! あたしは今もミラノがオーストリアの植民地ならもっと笑顔になれるけど!!」
このあとネガティブなイタリアの政治・経済の話が1時間…。ここではカットしておく。
ちなみにこのインタビューの後に乗った電車の中では、イタリア人たちが叫びながら殴り合いのケンカをしていた。ミラノの電車の中では、言い争いはあまり珍しい事態ではない。(殴り合いはさすがにそれほど発生しないが。)
見知らぬ人同士がいきなり論争を開始するというシーンも、わりと多く見てきた。もちろん、そこに笑顔はない。大阪で育った筆者は、イタリアってちょっと西成っぽいところあるよな~とたまに思う。
念のため、ほかのミラノ人にも聞いてみた。
ソースを見せるまでにマリアに散々バカにされたので、ほかのイタリア人はこの法律のことを知っているかどうか、インタビューを続行することにした。
友人のフランチェスカに尋ねたところ、彼女はこう答えた。
「それって、法律っていうより、ミラノのスローガン的なヤツじゃない?」
この後も2人くらいに聞いてみたが、誰も知らなかった。うそつき扱いまでされた。
極めつけは、「そんな法律あるの? ミラノの人たちはいつもしかめっ面だってイタリア中で有名だけど。」であった。残念ながら、あまり浸透していない法律のようである…。
「ミラノの法律」の雑学まとめ
イタリア・ミラノでは、「常に笑顔でいること」という奇妙な法律があるという雑学をご紹介した。
しかし、このことを知っているミラノ人は少ないようだ。ミラノの市長さん、これはしっかり市民に熟知させて、今後は「ファッションとデザインそして笑顔の都・ミラノ」を大々的にアピールしてみてはどうだろうか?
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