「急がば回れ」という格言は、誰でも聞いたことがあるはずだ。この格言は、「物事を進めるとき、手早い近道よりも確実な遠回りをした方がうまくいくよ」という意味なのは、皆さんご存知であろう。
しかし、この格言を聞いて「回るって、どこを回るの?」と疑問をもったことはないだろうか? これって、どこかの山? それとも、建物のこと?
答えをいってしまうと、「急がば回れ」で回るのは、日本一大きな湖の琵琶湖である。いやいや、琵琶湖って外周200kmくらいあるんだよ? それを回り道したら、かなりの距離になるのに…。
だが、そんな長い距離を回り道するのには、とても納得の理由があったのである。今回の雑学では「急がば回れ」の由来について解説していきたい。
【生活雑学】「急がば回れ」の由来は琵琶湖だった
【雑学解説】「急がば回れ」の由来について
かなり有名な「急がば回れ」という格言だが、最初に文献などで登場したのは室町時代の歌人・宗長の次の短歌である。
「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」
この短歌は、「武士が(東から中山道を伝って京都に行くときは)矢橋の港から出る船に乗ると速いけど、瀬田に架かっている橋を渡ったほうがいい」という意味である。
矢橋とは現在の滋賀県草津市にある港であり、琵琶湖の東南側の沿岸にある。そして、瀬田の橋とは京都の宇治橋・山崎橋と並ぶ日本三大橋の1つである「瀬田の唐橋」のことであり、琵琶湖の南部を流れる瀬田川に架かる橋のこと。
では、なぜ船よりも回り道を勧めるのだろうか? 琵琶湖には西から「比叡おろし」と呼ばれる比叡山から吹き付ける突風があり、当時の船で渡ろうとすると転覆する危険性が高かったのである。
つまり、この短歌は安全な旅の方法を歌ったものであり、「急がば回れ」で回るのは琵琶湖のことだったのだ!
こんな短歌が詠まれるとは、当時の船旅はよほど危険だったのだろう。もちろん、現在の船は突風で転覆する心配はないので、安心して琵琶湖クルーズを楽しんでいただきたい。
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【追加雑学①】琵琶湖は世界で3番目に古い湖である
日本で1番大きい湖として有名な琵琶湖だが、実は世界的にも珍しい湖だったのはご存知だろうか?
そもそも、琵琶湖は約400万年~600万年前の地殻変動でできた湖であり、現在よりも南の三重県伊賀市あたりにあった。それが徐々に北へ移動して、現在の場所になったそうである。
そして、10万年以上前にできた湖のことを「古代湖」というが、世界にはたったの20程度しか存在していないらしい。そして、琵琶湖はバイカル湖(ロシア)・タンガニーカ湖(タンザニア)に次ぐ世界で3番目に古い湖とされているのだ!
いってみれば、日本で1番のアスリートが、オリンピックで銅メダルを獲った感じだろうか? 身近に感じていた琵琶湖の偉大さに、ちょっとビックリしている。
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【追加雑学②】琵琶湖は法律上は河川だった!
何度も繰り返すが、琵琶湖といえば日本で1番大きい「湖」として知られている。しかし、川の管理や利用などを規定した「河川法」によると、琵琶湖は一級河川「淀川水系」に属する川であり、法律上の名前も「一級河川琵琶湖」となっているのだ!
これは、日本においては「湖」を定義する法律がなく、法律上ではそもそも湖が存在しないから…というのがその理由。なんだ、そんな理由で琵琶湖は河川なのか…と思うかもしれないが、もっとちゃんとしたワケもある。
山に囲まれた琵琶湖には、大小100以上の河川が流れ込んでいる。そして、唯一の出口である瀬田川は鴨川(京都)・淀川(大阪)と名前を変えて流れており、関西地方の水源として重要な働きをしているのだ。
つまり、琵琶湖は多くの河川と関係があり、河川法のもとで管理する必要がある重要な存在なのである。
ちなみに、京都は水源のほとんどを琵琶湖に頼っており、京都民から滋賀県がイジられると「琵琶湖の水を止めてやる」と恫喝? するとか…。
雑学まとめ
「急がば回れ」と琵琶湖にまつわる雑学をご紹介してきたが、いかがだっただろうか。「おばあちゃんの知恵袋」的な格言だと思っていた「急がば回れ」が、命に関わるアドバイスだったのにビックリしている。
ここまで命がけのアドバイスだとわかったからには、これから「急がば回れ」の言葉を深く胸に刻んで生きていかねば…。そう思ったが、「鉄は熱いうちに打て」との格言もあるし、いったいどうしたものか!?
まぁ、この辺は臨機応変に使い分けていくことをオススメして、お茶を濁すことにしたい。
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