日本史

"流星刀"は本物の隕石で作られた刀!発案者は榎本武揚だった【動画】

雑学カンパニー編集部

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「また、つまらぬものを斬ってしまった…」でおなじみの「ルパン三世」の人気キャラ・石川五ェ門。

彼の愛刀は「斬鉄剣(ざんてつけん)」といい、流れ星の金属で作られたものだという。コンニャク以外はどんなものでも切れる…という、すさまじい切れ味をもつ刀だ。

斬鉄剣はもちろん架空の武器だが、実は似た刀なら現実に存在している。その名も「流星刀(りゅうせいとう)」。読んで字のごとく、隕石で作られた刀である。まさかそんな中二武器が実在するとは!

今回の雑学では、激レア刀剣「流星刀」についてお伝えするぞ!

【歴史雑学】隕石で作られた刀「流星刀」とは?

秀吉くん
隕石で作った刀!?めっちゃカッコいいじゃないっすか!
信長さん
「流星刀」っていってな、5振り作られて、そのうちの1振りが大正天皇に献上されたそうだぞ。

【雑学解説】「流星刀」が作られた経緯とは?

隕石で作られた刀剣「流星刀」についてのトリビア

榎本武揚

隕石から作られた刀剣・流星刀の考案者は、榎本武揚(えのもとたけあき)という人物だ。

幕末の戊辰戦争では幕府側として戦ったにもかかわらず、その有能さを見込まれて各種大臣を歴任し、明治政府を支えたすごい人である。

そんな榎本武揚が流星刀を考案するにいたったのは、彼がロシア大使としてロシアに赴任していたのがきっかけ。

なんでも「ロシア皇帝の秘宝には隕石で作られた剣がある」と聞き、「いいな~、俺も欲しいな~!」と密かに憧れていたのだとか。やはりそこは、時代が変わっても元武士である。

秀吉くん
隕石で作られた剣とか、聞いただけでワクワクしちゃうっすよ。

それから十数年が経った1895年(明治23年)のこと、榎本武揚に運命の出会いが訪れる。

流星刀に使われた「白萩隕鉄1号」は漬物石だった

1890年4月、富山県で白萩隕鉄(しらはぎいんてつ)1号という隕石が発見された。

その重さから「不思議な石だなあ…」と思った発見者は、大阪造幣局に調査を依頼。しかしそのときは分析されず、5年ほど漬物石として重宝されていたのだとか。

漬物石は重いに越したことはないが、隕石はいくらなんでも重すぎた。5年経った1895年のこと、「やっぱり変だ」と感じた発見者が、今度は農商務省地質調査所(現在の地質調査総合センター)に調査を依頼したところ、隕石のかけらだと判明したのだ。

信長さん
隕石で漬物とはな。これはこれで「隕石を使った漬物」として話題になりそうだが…。
秀吉くん
信長さん商売上手っすねえ!

このニュースを聞きつけた榎本武揚は、なんと自腹で白萩隕鉄1号を購入。刀工・岡吉国宗(おかよしくにむね)に「これでカッコイイの作って!」と日本刀の製作を依頼したのだ。

信長さん
コイツそうとう欲しかったんだな…!

こうして出来上がったのが流星刀だ。

ちなみに23キロある石のうち、刀に使われたのは4キロ程度で、大部分は今でも石として残っている。以下のツイートには、白萩隕鉄の画像が添付されているぞ!

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秀吉くん
おお…なんか形が芸術作品っぽいっすねえ…!

国立科学博物館にて展示されているので、近くに行った際は見てみよう!

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大正天皇の成人祝いに流星刀を献上

流星刀は大正天皇の成人祝いに献上されたという雑学

大正天皇

流星刀は全部で長刀2振り・短刀3振りの5振りが作られた。

そのうち一番綺麗にできたという長刀1振りは、1898年(明治31年)当時の皇太子、嘉人親王(後の大正天皇)の成人祝いに献上され、現在は靖国神社境内の遊就館に収蔵されている。

秀吉くん
いや〜「流星刀」っていいネーミングをつけたもんっすねえ。
信長さん
「鬼滅の刃」に出てきそうな刀の名前だな。

残りの4振りは榎本武揚の子孫に受け継がれ、現在はそれぞれ…

という3ヵ所に寄贈されている。残念ながら短刀1振りは、戦時中に行方不明になってしまったそう。

各地に収蔵されているので、展示の機会など、実際に見られるチャンスも多そうだ。名前はもちろん、見た目もめちゃくちゃかっこいいぞ!

流星刀を動画でチェック!

こちらは流星刀の動画。雰囲気だけでも味わってみよう。

秀吉くん
戦国時代にあったらな〜!絶対ゲットしてるんすけどね〜!

隕鉄は普通の鉄に比べて柔らかいので、制作にあたった国宗はベストな配合を見つけるのに苦労したという。最終的に隕鉄だけで作るのは厳しいと判断し、隕鉄6:鋼4の割合で作られたとのこと。

動画ではわかりにくいが、見た目にも隕鉄ならではの木目のような模様が浮かび上がっている。

実際に使用例はないので斬れ味は定かではないが…ほかのどんな鉄とも違うということは、ひょっとして鉄まで斬れちゃうなんてこともあるかも…?

信長さん
隕石の鉄なんて材料として使うこともないだろうし、岡吉国宗はそうとう苦労しただろうな。見事だ。

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【追加雑学】世界にもいろいろな「流星刀」がある!

世界にもいろいろな「流星刀」があるという雑学

榎本武揚が流星刀を夢見るきっかけとなったロシアの秘宝刀は、1793年に南アフリカで発見された喜望峰(きぼうほう)隕鉄を材料に作られたもので、1810年頃に皇帝アレクサンドル1世に贈られている。なるほど…武揚は皇帝に贈るというところまで例に習っていたわけだ。

そしてこのほかにも海外には、隕石で作られた刀剣がたくさんと存在する。宇宙からの飛来物にロマンを抱くのは、やはり日本人だけじゃないのだ!

まず17世紀初頭、北インドに栄えていたムガル帝国には「隕石で作った刃物には魔力が宿る」という伝承があり、第4代皇帝のジャハーンギールがナイフと短剣を作らせている。

また2016年のツタンカーメン王墓の調査でも、隕石で作られた短剣が発見されていたりと…流星刀の歴史はいよいよ紀元前まで遡ることが判明したのだ。

いよいよ伝説の剣っぽくなってきたが…まだまだ上には上がいるもので、なんともっとも古い流星刀は世界最古の刀剣だというぞ…?

世界最古の武器も流星刀

2008年の調査で、トルコのアナトリア文明博物館に所蔵されている紀元前3000年ごろの刀剣が、実は隕石で作られていたことが発覚した。この剣…何を隠そう、現存する世界最古の武器である。

秀吉くん
すげー!世界最古の武器も流星刀なんすね!

なんでも、地球の鉄にはニッケルがほとんど含まれていないはずなのだが、この剣にはニッケルが含まれており、宇宙からやってきた隕石であることが決定づけられたという。たしかに、5000年も前にニッケルを精製する技術なんてないだろうしな…。

信長さん
こうして見ると、世界には隕石で作られた剣がけっこうあるんだな…。

ちなみに2020年には新たに、この最古の流星刀と同地域・同年代の剣が、イタリアのサン・ラザロ島の修道院にて発見された。

これも今までそうと知らずに展示されていたというし…もしかすると、この剣も隕石生まれなんてこともあるかも…?

秀吉くん
おお…!なんか歴史ありそうな剣っす…!

流星刀の雑学まとめ

隕石で作られた刀"流星刀"。大正天皇は激レア刀剣の持ち主だったという雑学まとめ

今回は隕石で作られた「流星刀」の雑学を紹介した。

隕石で作られた刀は決してフィクションではなく、現実に存在していた! しかも世界各地に。

ちなみに日本においても、榎本武揚以降いくつか流星刀が作られているものの、原料となる隕石は海外産がメインで、いまだ国内産のものは作られていない。

秀吉くん
海外に落ちた隕石を日本に持ってきて…ってことっすよね。
信長さん
そもそも、そんな頻繁に隕石が落ちてくるわけではないからな。

広い地球でたまたま日本に隕石が落ちてくるのが稀なのだから、100%日本産な流星刀は激レアの極みだ! ぜひ一度お目にかかりたい。

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