「和菓子」といっても、その種類はじつに多い。和菓子のなかでも時期になると、スーパーなどで季節コーナーが作られ、ひんぱんに見られるものとして「桜餅」と「柏餅」がある。
それぞれを包んでいる「葉っぱ」だが、桜餅と柏餅で役割がちがうことは、ご存じだろうか? 桜餅の葉っぱは食べ物として口に入れてもなんら問題はない。いっぽうで柏餅の葉っぱは、そもそも食べるものではないらしい!?
今回は、これらふたつの春の和菓子について調べたので、ご紹介しよう!
【食べ物雑学】桜餅の葉は「食材」、柏餅の葉は「器」
【雑学解説】柏餅の葉も食べられないことはない
桜餅と柏餅の葉、それぞれの役割をここでご説明しよう!
桜餅の葉
まず桜餅の葉についてだが、これには桜の木の葉が使われている。
この葉を使うことで、餅に桜の良い香りや風味を付けることができる。香りを添加するための自然食材といっても良いだろう。
ちなみに、葉自体は傷みやすいため、あらかじめ塩付けにすることで、葉っぱ自体の保存性を高めている。桜餅を食べたことがある人はわかると思うが、葉っぱがしょっぱいのはそういうワケからなのだ。
さきにも触れたが、この桜の葉っぱはもちろん食べられるもの。なんなら、葉っぱごともちを食べてもまったく問題はない。人によっては葉っぱの塩気と、もちやあんこの組み合わせが絶妙という人もいるかもしれない。私は分けて食べるけど。
柏餅の葉
一方で柏餅の葉の役割だが、こちらはそもそも食べるための葉っぱではなく、保存するための皿や容器の代わりなのだ。
昔は、現代のようにちゃんとした保存容器がなかったため、堅く丈夫な葉っぱを器代わりに使用したのがはじまりとされている。
器代わりということは、柏餅の葉は食べられないのだろうか? 結論をいうと「食べられないことはない」。
しかし、柏餅の葉っぱは堅くごわごわしていて、まず美味しくない。そもそもが食用として考えられていないのだ。
柏餅を葉ごと食べられるようにするには、葉っぱごとレンチンして食べると良いらしい。だが、これでもマシになる程度らしく、やはり味の保証は出来かねる。
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【追加雑学①】柏餅の葉っぱは「柏」の木から採ったものではない
ここで、驚きのトリビアをお伝えしたい。じつのところ柏餅に使われる葉っぱは、正確には「柏」の木の葉ではない!
どういうことかというと、そもそも一般的に柏餅に使われる葉は「槲(かしわ)」という木の葉っぱが使われているのだ。
単純な漢字のちがいだけではなく、槲はブナ科のカシワの木を指し、柏はヒノキ科の針葉樹であるコノテガシワという木を指す。そもそも種類が違うのだ。だから、正しく言うのならは「柏餅」ではなく「槲もち」になるだろう。
なぜ槲もちと呼ばれていないかは、よくわからなかった。漢字が読みづらいからなのかな…?
槲の葉でもない柏餅?
柏餅に使われていた葉の代用として、一部地域では「サルトリイバラ」という樹木の葉が使われているそうだ。
これは、昔から槲が自生していない地域ならではの方法ということで、柏餅とはこのサルトリイバラの葉を使うことが当たり前な場所もあるようだ。
そういった地域の柏餅は「しばもち」「いばらもち」とも呼ばれる。はたして、みなさんの住んでいる地域の柏餅の葉っぱが何か、興味を向けてみると面白いかもしれない。
しかし近年では、コストを抑えるために、ビニールを葉っぽくデザインして餅を包んだものも見られる。雰囲気だけでも、かもしだそうとする気持ちはわかるが…柏餅感は薄れるよね…。
雑学まとめ
雑学を調べるにあたり、筆者自身も目からウロコだったのが、柏餅の葉っぱは「槲の木の葉」だったという話だ。本来の柏の木の葉は針葉樹ということで、その葉でもちを包むというのは無茶があったのだろう。もっとも読み方が同じだから「カシワ」であることには変わりないのだが…。
筆者も子供のころに柏餅の葉をおいしいものと勘違いし、モチごと食べてしまった経験がある。もちろん、味はめちゃくちゃまずかった。食感も最悪で、独特の苦みが口のなかにほとばしったのを今でも覚えている…。
もうちょっと早く知りたかったな。
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