くりくりの瞳に小さな耳、半開きの口に短い手と、かわいさ満載の見た目をしているラッコ。バンザイしながら泳いだり、目隠ししたり、コンブを体に巻き付けて眠ったり…癒し系のその姿には、思わずこちらも口を半開きにして見惚れてしまう。
なんといっても、あのモフモフ感がたまらない! できることならだっこして顔をすりすりしてみたい!
…まあ、そりゃあね。ラッコほどモフモフしている動物は、この世に存在しないのだから。そう、こんな言い方をするとちょっとイメージが悪いかもしれないが、ラッコは地球上でもっとも毛深い生き物である。
毛深さを気にしている剛毛男子だって、ラッコの毛深さを知れば悩んでいるのが馬鹿らしく思えてくる! …というのはまた別の話だが、今回はラッコの毛深さにまつわる驚きの雑学に迫ろう。
【面白い雑学】世界一毛深い動物はラッコ
【雑学解説】ラッコは人間の160倍の毛量
ラッコの体には全身で約8億から10億本の毛が生えている。1平方センチメートルあたりで計算すると10万から14万本。
わかりやすい例を出すと、人間の毛髪が約10万本…つまりラッコは1平方センチの範囲に、人間の髪の毛と同じぐらいの量の毛が生えているということだ。
また人間の体毛は全身で500万本。ここから考えると…
「8億÷500万=160」
ということで、ラッコには人間の160倍の毛量があるということになる。…毛深いなんてもんじゃないぞそれ。
人間の毛が少ないだけなんじゃない? とも思わされるが、決してそんなことはない。毛むくじゃらの猫でさえ、全身の毛の本数は約2,500万本。ラッコの8~10億という毛の本数は動物界においても、けた違いのレベルなのだ。
ラッコの毛は、ガードヘアと呼ばれる長い毛の下に、アンダーヘアという短い毛が束になって生えた二重構造。表面に見える毛の下に、絨毯のようなフワフワの毛が潜んでいる。
…アンダーヘアといっても、変なことは想像しないように。
1本のガードヘアの下には、部位によって12~108本のアンダーヘアが生えているぞ。
つまりひとつの毛穴からガードヘア1本、アンダーヘア100本と、とんでもない数の毛が生えている箇所もあるわけだ。猫の場合、ひとつの毛穴から生えている毛は5~6本。やはりラッコの毛の量はけた違いである。
ラッコが乱獲の被害に遭って絶滅の危機に瀕しているのも、このけた違いにモフモフの毛皮を狙われてのことだ。
ラッコが毛深い理由とは?
ラッコがこんなにも毛深いのは、なにより厳しい寒さに耐えるためである。野生のラッコが生息しているのはアメリカ北部やカナダ、アラスカなど、言うまでもない極寒の地。
二重構造の毛並みは、冷たい海水が直接肌に触れないようにするためのものである。
ラッコはアザラシやペンギンほど皮下脂肪を溜められる身体をしていないため、海水に直接触れれば瞬く間に体温が下がってしまう。そのためそもそも海水に触れない毛の構造をもっているのだ。
ラッコの毛のうち、地肌に近いアンダーヘアーは以下の条件から、水に浸かっても濡れにくくなっている。
- 上に生えたガードヘアーに水を弾く効果がある
- アンダーヘアー1本1本が細かい突起の付いたトゲトゲの形状で、それぞれに絡みつき、ガードヘアーの外に飛び出さないようになっている
ラッコはこのアンダーヘアーに空気を吹き込み、フワフワの状態を維持する。この空気の層が、ラッコを冷たい水から守っているわけだ。空気を多く毛に含んでいるため、あまり深くは潜れないというデメリットもあるんだけどね。
ちなみに、ラッコの肉球部分は毛が生えていない。手に毛が生えていては、貝などのエサを捕まえることができないからだ。目隠しをしたりバンザイをしながら泳いだりというあざとい仕草は、肉球を冷たい水につけないようにしているだけである。
小まめな毛づくろいも防寒対策
ラッコはガードヘアーの防水機能を保つため、毛並みを綺麗に整え、汚れも小まめに落としておく必要がある。
そのため1日のうち数時間は毛づくろいに費やすほど。以下の動画でラッコの毛づくろいの様子が見られるぞ。
アンダーヘアーに空気を吹き込み、フワフワに保つこともまたしかりで、水面でクルクルと回転するのは空気を送り込むためだったりもする。
我々としてはかなり癒やされる光景だが、毛づくろいは彼らが生きていくには欠かせない、必死のメンテナンスなのだ。隣のラッコ、寝てばっかだけど大丈夫かな…。
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赤ちゃんラッコは毛の色が違う
水族館でラッコの赤ちゃんを見ていると、大人のラッコとは毛の色が全然違うことに気付く。大人のラッコが全体的に黒い毛をしているのに対し、赤ちゃんは全身が茶色い。
この茶色い毛は幼毛といい、黒い毛よりも水に浮きやすい性質をもっている。赤ちゃんのラッコはまだ泳ぐ技術が未熟なため、溺れないようにこの茶色の毛が生えているのだ。
親子一緒に浮かんでいる姿を見ると、その違いがよくわかる。
幼毛は生後13週間を堺に大人の黒い毛に生え替わる。
また大人のラッコは頭が白いのも特徴だ。実はこれに関しても、年齢に応じて白い部分が増えていくというぞ! まさかラッコにも白髪があるとは…。
【追加雑学】ラッコのかわいすぎる生態
ここからは、ラッコの生態についてご紹介しよう。
これを読めば、あなたもきっとラッコが好きになること間違いなし!
大食いすぎる
ラッコが1日に食べるエサの量をご存知だろうか。
ラッコの体重は個体差もあるが、だいたい20~40kgほど。体重40kgの個体なら、1日の摂取カロリーは5000~6000kcal。10kg近い重量の食事を日々摂っているぞ。
ちなみに人間の成人男性が1日に必要なカロリーは約2000kcalほど。フードファイターも大食いYouTuberもラッコが相手だと足元にも及ばない。
しかし…ラッコはそれだけ食べても、別に太っていない。
これは食べた分のカロリーのほとんどを体温の維持に使っているからで、たくさん食べても皮下脂肪が付きにくいのだ。ラッコはその毛深さと食事量を掛け合わせて体温を維持しているわけだな。
人間は、寒い中にいても必要以上に食べていれば太る一方。ちょっとうらやましい。
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石へのこだわりがすごい!
ラッコはエサとなる貝類をおなかの上に置き、石で貝を割って食べる。これはよく知られた生態だ。
では、その貝を割るのに使う石が毎回同じだということを知っているだろうか。
あれはその辺にあった石を食事の都度探して使っているのではなく、自分が選び抜いたお気に入りの石なのだ。自分のお気に入りの石を仲間に見せて自慢することもあるという。
ラッコの脇の下には皮膚がたるんでいるポケットと呼ばれる部分があり、そこにお気に入りの石やエサのストックを入れておく習性がある。
海や陸で見つけた「おたから(いわゆるガラクタ)」やおもちゃをポケットに隠すことも…。犬が犬小屋におもちゃ隠すみたいな感じか? 可愛いというか、ポケットの収納力がすごすぎてビビる。
貝を割るために選んだお気に入りの石は、一生使い続ける気持ちで見つけたもののため、万が一なくしてしまうと本気でヘコむ。
どのくらいヘコむかというと、生きていくのに大切な食事がのどを通らなくなるくらいヘコむ。
…モノを大切にするのは良いことだ、うん。
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仲間と一緒に寝る【動画】
野生のラッコは、海で寝ているときに流されてしまわないように大きなコンブを体に巻きつけて眠る。
そして、コンブがない水族館なとでは仲間と手を繋いて眠る。
手を繋いだとしても、2匹とも一緒に流されると思うのだが。
しかし、もう私のライフは0だ…完全にラッコにやられた。かわいすぎる。
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「ラッコの毛」の雑学まとめ
今回は、ラッコの毛やラッコの可愛すぎる生態の雑学を紹介した。
ラッコは極寒の地で生き抜くため、人間の約160倍の量の毛を全身に生やしている。しかもただ生えているわけではなく、そこには地肌が濡れないための精巧な構造が隠されていた。
その生態の奥深さに、さらに魅了されてしまったラッコファンも多いはずだ。