「今日はお祝いだから赤飯よ」なんて言って、よく母や祖母が赤飯を作ってくれた。小さな小豆の入ったほんのり赤いご飯。赤飯はモチモチとした触感で、日本の祝い事には必ずといってよいほど登場する食べ物である。
そんな赤飯だが、もともとは葬式の時に食べられていたものだという…。
まさか! そんな馬鹿な! 現在とは全く逆のシチュエーションで食べられていたとは…。
今回は、そんな赤飯についての雑学に迫る!
【食べ物雑学】赤飯が葬式でも食べられていた理由とは?
【雑学解説】赤飯の「赤色」に理由があった
日本では古くから、赤い色には邪気を払う力があるとして、邪気払い・魔除けとして赤い色を使う風習があった。
つまり、縁起の悪い出来事が起こった時や不吉な出来事があった際には、赤飯を食べて縁起直しをしていたようだ。
現在でも島根・福井・新潟・群馬・長野、また東北地方の一部地域では、葬式や法事などの仏事の際に赤飯が出されている。これは故人が天寿を全うしたことや大往生を遂げたことを祝う意味があるといわれている。
葬式・法事・お盆などにおこわを出すところは各地にあるが、全国的に見れば赤飯がふるまわれる地域は少ないようだ。
【追加雑学①】赤飯の由来と意味とは?
このように吉事でも凶事でも食べられていた赤飯。赤飯の起源は古く、縄文時代の末期に中国大陸から日本に伝わったとされる。
米の起源をたどるとインディカ種とジャポニカ種があり、日本に伝わった米はこの両種の中間種で炊くと赤い色になったといわれている。
前述したように、日本では古来より、赤い色に邪気を払う力があるとされており、この赤米は神様への供物として供えられる風習があった。
赤米は江戸時代前まで食べられていたが、稲作技術の発達と米の品種改良により、味の良い米が開発されて収穫量も増えたため、赤米を作るものはいなくなっていった。
だが神様への供物の風習は残っており、白い米に何とか赤い色を付けようと、白米に小豆などを加えて生み出されたのが現在の赤飯である。うまくごまかせたようだ。
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【追加雑学②】赤飯に小豆以外を使うこともある!
赤飯に使われるのは小豆だけに限らず、地域によっては様々なものが使われている。
- 北海道…甘納豆
- 福井県…里芋
- 長野県…花豆
- 関東地方…ささげ
- 千葉県…落花生
北海道の甘納豆を使った赤飯は、食紅で赤く色づけし、蒸したもち米に甘納豆を混ぜるだけといったシンプルなもので、手軽に作れる。
だが甘納豆でつくられているため、ほんのり甘い赤飯なのだとか。小豆の赤飯に慣れている人が普通の赤飯と思って食べると、かなりの衝撃があること間違いなしだ。
また関東でささげが使われるようになったのは、小豆は皮が破れやすく「胴切れ」といわれており、武家社会では切腹を意味する。そのため皮が破れにくいささげを使うようになったのだ。
【追加雑学③】赤飯に載っている「南天の葉」の意味とは!?
赤飯に、緑のとがった葉が載せられているのを見たことがある方も多いのではないだろうか。あの葉は南天と呼ばれる植物だが、赤飯に南天の葉が飾られていることにもちゃんと意味があるのだ。
南天は「難が転じる」というゴロから縁起の良い木とされていて、吉事や凶事でふるまう赤飯にはもってこいの葉なのである。
それ以外にも南天には微量ながら毒があり、その有毒成分であるアルカロイドのナンジニンが分解されることで防虫防腐効果が発生し、赤飯が傷むのを防ぐ役割もあるのだ。
冷蔵庫のない時代、夏場だと南天の葉まみれの赤飯という事になるのか…? もはや緑飯ではないか。
【追加雑学➃】赤飯のゴマは神様をゴマかす!?
赤飯にはごま塩がかかっていることが多いが、これには本来使うべき赤米ではなく白米を小豆で赤く染めて作ったのを「ゴマかす」ためといわれている。…まさかのダジャレ。神様をゴマかすなんて罰当たりもいいところである。
一般的には黒ゴマを使うことが多いが、黒の色は不祝儀に使う色とされているので、祝い事には白ゴマに変えて赤飯に使う地域もある。
赤飯の雑学まとめ
今では出産祝いからお食い初め・七五三・入学祝い・上棟式・新築祝い・還暦祝いなど、人生の様々な場面で登場する赤飯。
だが赤飯は祝い事だけでなく魔除け的な意味合いもあり、凶事の際にもふるまわていた食べ物だという事が分かっていただけただろうか。
今回の雑学記事で紹介した凶事や葬式の際に赤飯が出されているのは一部の地域のみであり、一般的に葬儀に赤飯を出すと冷たい目で見られるのは避けられないだろう。責任を負いかねるので、あしからず。
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