毎月22日はショートケーキの日だとご存知だろうか?カレンダーを見て欲しい。
22日の上にあるのは15…つまり、イチゴが乗っている、というわけ。
こう種明かしをすると、日本人ならまず通じるのだが、ちょっと考えてみて欲しい。
あなたが今思い浮かべたショートケーキ、つまり「生クリーム・イチゴ・ふわふわスポンジ」の図式のどこに「ショート」の要素があるのか?
今回の雑学記事では、みんな大好きショートケーキについてご紹介するぞ。
【食べ物雑学】ショートケーキの「ショート」の意味とは?
【雑学解説】イチゴのショートケーキは日本オリジナル
実は、日本人にとっては当たり前の「生クリーム・イチゴ・ふわふわスポンジ」という定番の組み合わせは、本来のショートケーキではないのだ!
アメリカのショートケーキに使われるのは、スポンジではなくサクサクしたショートビスケット。
パンとケーキの中間のような食感で、スコーンに似ている。…えっ? スコーンもわからない? じゃあ、ケンタッキーのビスケットを、穴をなくしてゴツめに想像して欲しい。
いいか、穴はなし・ゴツめ! これを半分に割って、バーガーのようにイチゴとクリームをサンドして…そう! これこそがアメリカ版イチゴのショートケーキ! この土台となるショートビスケットの食感を出すため使われるのがショートニング(植物油脂)なのだ。
他にも、イギリスのショートブレッド起源説(こちらもサクサク食感)、短時間で作れるから、日持ちがしないから…などの説があるが、いずれにしても「小さいからショートケーキ」という意味ではない。
それでは、日本版ショートケーキを生み出したのは誰かというと…
不二家の創業者・藤井林右衛門といわれている。
明治43年(1910年)、当時25歳で横浜に店を構えた林右衛門は、その2年後、1年間のアメリカ視察に出かける。そこで出会ったのがショートケーキである。
しかし、当時の日本人にとってまだまだ洋菓子は食べなれないもの。少しでも親しみを持ってもらうためにと、ビスケットではなく、日本人が大好きなカステラを採用することに。藤井の予想は大当たり! 今やイチゴのショートケーキは定番中の定番な洋菓子である。
…といっても、現在のようなショートケーキになったのは、昭和40年代後半のこと。商品として売り出した大正11年(1922年)当時は、生クリームではなくバタークリームを使っていたので、今よりもっとこってりした味わいだったかもしれない。
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【追加雑学①】不二家にはプレミアムなショートケーキがある
不二家のショートケーキには、ちょっとレアなタイプが存在する。
その名も、イタリアンショートケーキ!
ドーム形のショートケーキで、価格も550円と不二家の商品にしてはちょっとお高め。しかもこれ、基本的にレストラン限定商品なのか、あまり店頭では見かけない。
そこでおすすめなのが、不二家レストランが実施しているバイキング。
ケーキバイキングは60分制限で1814円、飲み物付きで、不二家店頭と同じサイズ&クオリティのケーキが食べ放題。スイーツバイキングは同じく60分制限で2030円、こちらはケーキに加えて食べ放題ラインナップにパフェやあんみつが加わる。
4~5個食べればもとが取れるので、運よく近場にバイキング実施店舗があれば、足を運んでみるといいだろう。
【追加雑学②】ショートケーキのイチゴはいつ食べる?
とある調査によると、ショートケーキのイチゴを食べるタイミングは、男女ともに「最後派」が1割しかいない。男性は「最初に食べる派」が5割を占めるのだが、女性は「最初派」と「途中に食べる派」がほぼ拮抗している。
あなたはどれ派? ちなみに筆者は、「スポンジが残り一口になったところで食べる派」なので、「途中派」ということになるのだろうか。回答としては中途半端だが、三角のとんがったところから食べていくとそうなるので仕方ない。
【追加雑学③】モンブランの語源は山
ケーキ界ではいちごのショートケーキと双璧をなすといってもいいほどの人気を博す、栗のケーキ「モンブラン」。そのモンブランの語源は「山」であることはご存知だろうか?
モンブランは、ケーキの上にクリームをメレンゲ状に絞り出したことから誕生したケーキだが、この形状は、実は山に似せて作っているのだ。
その山とは、フランスとイタリアの国境にある、標高4,810メートルのモンブラン山。そう、この山の名前をそのままケーキの名前として採用したのだ!
ちなみに、モンブラン山は日本における富士山くらいに、フランスでは有名なものらしい。
【追加雑学④】誕生日ケーキにろうそくを立てる理由
いちごのショートケーキといえば誕生日ケーキの定番でもあるが、誕生日ケーキで思い浮かぶのが、年齢の分だけケーキに立てられたろうそくだ。
誕生日ケーキにろうそくを立てるのには、実は悪霊を払うおまじないのような意味がある。
この風習は、15世紀のドイツの「キンダーフェスト」という子どもの誕生会から始まったのだが、当時の人々は、悪霊は子どもの誕生日を狙ってやってくると考えられていた。
そして、その悪霊から子どもたちを守るために、神に願いがとどくようケーキの上に一日中ろうそくをともしていたらしい。
この風習は世界中に広まり、18世紀にはお祝い事の象徴となり、19世紀に入るとアメリカで年齢の数だけろうそくを立てるようになり、現在の風習が完成したのだ。
ショートケーキの雑学まとめ
ショートケーキについての雑学をご紹介してきた。
ふわふわスポンジ・イチゴ・生クリームの「ショートケーキ」は、どうやら日本人にしか通じないようだ。日本人はこと食べ物にかけては自己流にアレンジするのが得意だが、なかでもこのショートケーキの発明は素晴らしいと思う。
日本版ショートケーキがショーケースの中でおすまししている感じなら、アメリカ版は手作り感あふれる家庭の味といったところだろうか。甘いもの好きとしてはどちらも捨てがたいが、やはりふわふわスポンジと生クリームの最強の組み合わせには勝てる気がしない。日本版ショートケーキ最高!