お盆やお彼岸には、お墓参りに行く人も多いだろう。お墓は毎日足を運ぶ場所ではないけれど、ご先祖様が眠っている大切な場所だ。
しかし、大切な場所なのにお墓のことはよく知らないのである。墓石の後ろに立ててある、細長い木の板は何だ? 何か役割があるのだろうか?
今回の雑学では、お墓のことをもっと知るために、お墓の後ろに立てる木の板のことを調べてみた。ご先祖様のためにも、お墓のことをきちんと理解しよう!
【生活雑学】お墓の後ろに立ててある細長い木の板は何?
【雑学解説】卒塔婆は亡くなった人の供養のために立てている
お墓の後ろに立ててある細長い木の板は、「卒塔婆」という名前だ。卒塔婆は仏教を開いたお釈迦様(おしゃかさま)の遺骨を納めた塔の、「ストゥーパ」が由来である。ストゥーパの音に合うように漢字を当て、卒塔婆と書くようだ。
お釈迦様の遺骨を納めた塔が、現代の日本ではなぜ木の板になったのか。日本に仏教が伝わったのは今よりもはるか昔の6世紀であり、時が経つにつれて卒塔婆の形や役割が変化したと考えられている。
昔の日本において卒塔婆はお墓としての役割をもち、石や木で作られた塔のお墓を卒塔婆と呼んでいたらしい。本来のストゥーパが遺骨を納める塔だったことを考えると、卒塔婆がお墓というのは納得できる。
お墓は身分を問わず必要なものだが、庶民にとって塔のお墓を用意するのは難しい。そのため、形がどんどん簡略化されていき、現在の木の板になったそうだ。
役割については、平安時代に変化し始めたとする説があった。メインのお墓とは別に、供養のために石の塔の卒塔婆が立てられたのだ。供養のために卒塔婆を立てるのは、現代の卒塔婆と同じ考えである。
現代の卒塔婆は「追善供養(ついぜんくよう)」という役割をもっている。卒塔婆を立てるのは善い行いとされており、亡くなった人が極楽浄土に行けるよう生きている人が卒塔婆を立て、善行を積むという仕組みだ。
ただの木の板だと思っていたが、立てること自体が善行とされるほど尊いものだったとは驚いた…。きちんと役割を理解しないと、善行にカウントされないのではと不安になる。しっかり覚えておこう。
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【追加雑学①】世界一面積が広いお墓は日本の「大仙陵古墳」
お墓の形や広さは様々だ。国による違いもあるが、お墓の作られた時代や埋葬される人の身分による違いも大きい。古代には身分の高い人のために、巨大なお墓も作られていた。
世界一面積の広いお墓は、日本にあるのをご存知だろうか? 大阪府堺市にある「大仙陵古墳(だいせんりょうこふん)」が、世界一面積の広いお墓なのだ。どんなお墓なのか、動画で確認してみよう。
教科書で見たことがある…! 大仙陵古墳は「仁徳天皇陵(にんとくてんのうりょう)」とも呼ばれているので、仁徳天皇陵の名で覚えた人もいるかと思う。このお墓こそが、世界一面積の広いお墓なのである。
大仙陵古墳の面積は、約46万平方mと記録されている。これほどの規模のお墓が住宅地の中にあるなんて、ふしぎな光景だ。外周をめぐる周遊路は約2.8kmの距離なので、ジョギングにもいいかもしれない。
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【追加雑学②】墓石の代わりに木や花を植えるお墓もある
日本のお墓は墓地に墓石を立てるタイプや、室内のコインロッカーのような場所に納骨する、ロッカー式が広く知られている。近年では墓石の管理が大変なことから、ロッカー式が増えているようだ。
室内のロッカー式は雨の日でもお墓参りがしやすいというメリットがあるが、墓石タイプのお墓に慣れていると少々物寂しい感じもする。だが、墓石は管理が大変だったり、金額が高かったりと負担が大きい。
お墓参りに来た人が温かい気持ちになり、金銭面の負担の少ないお墓として注目されているのが、「樹木葬」だ。樹木葬は墓石の代わりに木や花を植えるお墓で、桜の木を植える桜葬などがある。
樹木葬は、墓石のお墓よりも比較的安価で行えることが多く、植物を植えるので自然にも優しい。そのうえ、桜の木がお墓なんてステキじゃないか…! 自分のお墓の候補として検討しよう。
雑学まとめ
今回はお墓の後ろに立ててある細長い木の板は卒塔婆ということや、お墓に関する雑学を解説した。今まで何も知らずにお墓参りをしていたので、ご先祖様に申し訳ない…。
世界一面積の広いお墓が日本にあることも、初めて知った。日本よりも面積の広い国はたくさんあると考えると、すごいことである。私も、古墳の広さに負けないくらい心の広い人になれるように、がんばろう。
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