浦島太郎という物語、誰でも一度は耳にしたことがあるのではないか。
私は幼いころから「浦島太郎という物語はなんだか理不尽だ」と思っていた。せっかく亀を助けてあげたのに、謎の玉手箱を渡され、つい開けたら年老いてしまうなんて酷すぎる…。
しかし、この物語にはまだ続きがあるらしい…! 今回の雑学では「浦島太郎の後日談」について解説していくぞ!
【面白い雑学】浦島太郎の続きのあらすじとは?
【雑学解説】浦島太郎の後日談は「御伽草子」を読めばわかる
一般的に知られている浦島太郎とは、ざっくりいうと以下のような物語である。
「亀を助けた浦島太郎は竜宮城に招待される。村に帰る際に乙姫から『絶対に開けてはいけない玉手箱』を手渡される。浦島太郎が村に帰ったら長い時間が経過していた。つい玉手箱を開けてしまうと、中から白い煙が。浦島太郎はおじいさんになってしまった…」
しかし、浦島太郎には原作が存在していて、それは「御伽草子」に収録されている。
「万葉集」や「日本書紀」などにも浦島太郎に似た話はあるが、玉手箱が出てきたり竜宮城に行ったりするという共通点があるのは、「御伽草子」に収録されている物語だ。原作のあらすじをざっくり説明していこう。
浦島太郎は海で亀を釣りあげるが、すぐに亀を海に帰してあげる。その後、浜に女性が現れて「漂着したので、故郷に連れ帰ってほしい」とせがまれてしまう。送り返してあげようと、浦島太郎も一緒に小船に乗っていくと、竜宮城に到着した。
そこで女性が浦島太郎にまさかの逆プロポーズ! 浦島太郎は、そこでそのまま結婚をして3年ほどのときを過ごす。しかし、残した両親が心配になったので、少しだけ自分の故郷に戻りたいと女性に告げる。
女性は承諾し「実は、私はあのとき助けてもらった亀なの」といい、玉手箱を渡す。そして「この玉手箱は、ずっと持っていて。でも、開けてはダメ」と伝えて、浦島太郎を送り出した。
浦島太郎が故郷に帰ると、700年もの月日が経っていた。絶望した浦島太郎は、つい玉手箱を開けてしまった。すると煙が立ち上がり、浦島太郎は鶴に変わってしまったのだった。鶴になった浦島太郎は蓬莱山(ほうらいさん)へ飛び立ち、亀である女性と再会し、永遠に結ばれたのだった…。
以上が原作の簡単なあらすじである。よく知られている浦島太郎とは違うラストになっている。
【追加雑学①】「御伽草子」の原作「浦島太郎」と、現代版「浦島太郎」の違い
このように、「御伽草子」に収録された原作「浦島太郎」と、現代版の「浦島太郎」ではちょこちょこ違いがある。
以下の表にまとめてみた。
御伽草子版 | 現代版 | |
亀との出会い | 浦島太郎が釣り上げる | 子供たちにいじめられている |
乙姫との出会い | 舟に乗って漂ってるとこを見つける | 竜宮城で出会う |
竜宮城の場所 | 地上(異界?) | 海の中 |
乙姫の正体 | 浦島太郎に釣り上げられた亀 | 特に言及なし |
玉手箱を開けて | 鶴になる | お爺さんになる |
こうしてみると、けっこう細部が違う。特にエンディングは、現代版はなかなか救いようがない…。
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【追加雑学②】玉手箱を渡したのは乙姫がメンヘラだったからという説
原作の「女性」とは、現代の物語の「乙姫」である。なぜ乙姫は浦島太郎に玉手箱を渡したのか? これについては「乙姫がメンヘラだったから」という説がある。
一緒に楽しく過ごしていたのに、帰りたいと急に言い出した浦島太郎。原作では乙姫は悲しみ、帰りたがる浦島太郎を止めようとする。しかし彼の気が変わることはなかった。
そのため乙姫は「浦島太郎のバカ! どうして私がいるのに帰ろうとするの!? 私が彼の最後の女になるんだから…! そうだ、もう他の女と遊べないようにしちゃえばいいんだ…! 」という気持ちになり、玉手箱を渡したのではないか、という説だ。
また、「玉手箱を開けたらどうなってしまうか浦島太郎にあえて伝えなかった理由」は、「伝えずに渡せば、きっと浦島太郎は箱を開けてしまうだろう」と踏んだからではないかともいわれている。もしそうだとしたら乙姫は相当な策士である…。
【追加雑学③】浦島太郎は玉手箱の中身に納得していた
現在の「浦島太郎」では、「亀を助けて良いことをしたのに、なぜ最後はお爺さんになってしまうのか?」と、少々納得のいかない終わり方をしている。
しかし、御伽草子版「浦島太郎」では、最後は鶴になってしまうものの、また乙姫と出会って夫婦になる。さらに、浦島太郎は箱の中身やその末路について納得していた。
というのも、鶴になって蓬莱山に飛んでいく途中で、
「竜宮城では時間の流れが違うから、普通なら人間は年を取って死んでしまう。箱の中には自分の歳(とし)が入っていたんだ。あの亀は、箱を開けてしまった僕のために、死の代わりに千年生きる鶴にしてくれたんだ」
と、浦島太郎が考える描写があるのだ。「鶴は千年、亀は万年」である。
現代版も御伽草子版も、様変わりした自分の故郷に悲しさを覚えて玉手箱を開けるのは同じだが、御伽草子版の浦島太郎はまだ救いがあるように思える。
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「浦島太郎の続き」の雑学まとめ
今回は、「浦島太郎の続き」についての雑学をご紹介した。子ども向けの昔ばなしだと思っていたが、原作は案外奥が深かった…。
現代版と比べれば、最終的にまた一緒になれる原作のほうがハッピーエンドだと思う。なぜ現代版では微妙に納得のいかない終わり方になったのだろうか?
時代に合わせて昔話が改変されるのはよくある話だが、「浦島太郎」は原作のまま今に伝わっても、何ら問題がないと思うのは私だけだろうか。
浦島太郎の原作は1300年も昔に作られていて、形を変えながら今に伝わっているという。この物語以外にも「原作とは内容が違う昔話や童話」は多数存在するので、興味があれば調べてみるのも面白いかもしれない。
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